森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.11.11
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上田比呂志さんのお話です。

日本には無数の旅館がありますが、特に評価の高い高級旅館というのはお客様に対して、つかず離れずの距離感を持って接待するという。
森田理論でいう不即不離を接待に応用しているのである。
チェックインを済ませ、宿帳などを記入しつつ、世間話なんかをしながら部屋まで案内してくれますが、そのあとはそっと放っておいてくれます。
サイズ別、色別に浴衣や足袋が用意してあり、備えも万全なのでこちらからあえて呼ぶ必要もありません。
つかず離れず、絶妙な距離感でお客様をリラックスさせてくれるのです。

来てほしい時以外には来ない、手を出してほしい時以外には手を出さない。
この絶妙なバランス感覚です。放っておくというのは、気をつかわない、無関心とは違います。
気づかっているからこそ、放っておく。

だから、相手も余計な気づかいをしなくて済む。

上田さんが、三越の特選売場という高級ブランド品の販売を担当していた時のこと。
そこにいらっしゃるお客様というのは、あらゆるおもてなしを受けていて、たいてい何でもご存じです。商品に関する知識でも、世情や社交界に関することでも、私よりもよほど詳しいのです。
VIPのお客様だからと変に気合を入れて商品の説明をしたり、必要ないのにかまったりというのはこちらの都合であり、お客様は求めていません。
お客様が大切にされているのは、商品を買うまでの時間や空間、雰囲気であり、その商品を買う価値があるかどうかはお客様自身が決定されることなのです。
だから、笑顔で立っていて、余計なことはしないように、そっと控えておいて、「あっ、口を開きそうだな」「なにか聞きたそうだな」と思ったら近づくようにしました。
そこで初めて、「いかがでございますか」と尋ねるのです。

この話は子育てにも、集談会の体験交流でも同じことが言えます。
幼児の場合は、基本的には幼児の好奇心に沿って自由にさせる。
でも親は子供から目を離してはいけません。
親が子供の目のつく範囲に居てじっと見てあげることが必要です。

それ以外は大目に見ている事です。少々ケガをするようなことは、口出し無用です。
物を散らかしたり、壊したりすることも大目にみることが大切です。
そうすると幼児は親の後ろ盾を得て安心して冒険することができます。
自由で、好奇心旺盛で何事にも積極果敢な子供に成長していくのです。

集談会の場合、初心者に中間層やベテランの人が、最初から親切に森田理論を懇切丁寧に説明してあげることは差し控えなくてなりません。

傾聴、共感、受容の態度で初心者に寄り添ってあげることだけで十分です。
相手がどうしていいのかわからなくなって助けを求めてきたときは、丁寧に説明してあげるのです。その時までは、共感、受容の基本姿勢を崩さずに傾聴に徹することです。
森田で神経症を乗り越えた人は、どうしてもすぐにアドバイスするようになります。
それは過干渉、過保護に通じます。そういう対応を受けた人は、せっかく縁あって森田に出会ったにもかかわらず、森田から離れていってしまうというケースが多いように感じます。
(日本人にしかできない「気づかいの」の習慣 上田比呂志66-67ページ引用)





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Last updated  2016.11.11 06:48:25
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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