森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.11.26
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「純な心」の初一念とは、自分の身の回りに起きた出来事に対して、「シマッタ」「残念」「ショック」「悲しい」等と感じることである。
あるいは他人の身の周りに起きた出来事に対して、「かわいそう」「心配だ」等と感じることである。
自分や他人の目の前に起きた出来事に対して最初に湧き起ってくる感情である。
これらに対しては、その気持ちを周りの人に、私メッセージとして公言してもよいと説明してきた。
初二念に基づく言動は、自分自身に対しても、周りの人に対してもトラブルを発生させる。
そういう時は、初一念を思い出して、そこを出発点にして行動するように説明してきた。

それでは次のような感情の場合はどう考えたらよいのだろうか。
月曜日の朝になって会社に行く気分にならない。
会社に行っても仕事をするのが嫌で仕方がない。

あるいは学校に行って勉強する気にならない。
食事を作ったり、掃除をしたりするのが面倒だ。

これらは自然発生的に湧き起こってきた感情であり、初一念の感情のように思える。
しかしこれは初一念ではないと思う。
その証拠に、この気持ちをもとにした言動は、行動を停滞させて、自己嫌悪に陥ってしまう。
どこが違うのだろうか。この点明らかにしておく必要があると思う。

初一念は身の周りに起きた出来事や事実に基づいて発生する感情である。
それに対して会社を休みたいなどというのは、出来事や事実に基づかないで、観念的にふと湧き起こった感情です。観念的な欲望や不安なのである。
人間は元々生き生きと課題や目標に向かって挑戦してみたいという気持ちを持っている。
しかし同時に、だれでも「休みたい、楽をしたい、人が見ていなければさぼりたい」という気持ちも持ち合わせている。
つまり苦労をしないで、楽をして生活を楽しみたいと思っているのである。


幼児や衝動的欲望の制御機能が壊れてしまっている人が陥りやすい行動である。
気分本位で衝動的な行動は、後で後悔し、他人には多大な迷惑をかけてしまう。
森田では気分本位の行動を諫めている。

この二つの感情は区別して考える必要があるのではないでしょうか。
それでは、観念的な衝動や不安の感情をどう取り扱ったらよいのでしょうか。


これらは事実を見て感じた初一念と同じように取り扱ってはならないと思う。
事実に基づかない気分本位の感情は精神拮抗作用を活用して調和を図ることが大切である。
たとえば会社を休みたいと思ったとたんに、休んだら解雇されるかもしれない。
給料をもらえなかったら家族の生活を守ることができない。
このような反対の感情が対になって湧き起る。
2つの気持ちがせめぎ合いをして、折り合いをつけていくのである。
そうすることで適切な行動へと向かっていく。
あの人とはうまが合わないと思っても、愛想笑いや挨拶ぐらいはしておこうという気持ちが湧き起ってくる。
浴びるほど酒を飲みたい、腹いっぱい美味しいものを食べたいと思っても生活習慣病が気になり適度に調整するようになっている。
つまり人間にはある感情が湧き起ってくると、必ずそれとは反対の感情が湧き起ってくるようになっている。この二つを対立させて調和を取っていくのが重要です。

同じような感情に見えても、その中身は全く違っている。
対処の仕方が変わってくるのである。
森田理論では「純な心」の体得はとても大事であるが、事実に基づかない衝動的な欲望や気分本位の感情とを混同してはならないのである。





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Last updated  2024.06.03 23:31:20
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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