森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.09.19
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カテゴリ: 神経質の性格特徴
9月号の生活の発見誌に、神経質性格の持ち主は「罪悪感」が強いという記事があった。

財布の落とし物の場合は、カードや免許証などが入っているので、持ち主がすぐにわかる。
落とし物はすぐに持ち主の所に返る。誰も盗もうなどという気持ちはさらさら持っていない。
持ち主の所に無事に返るとみんなで喜び合う。幸せな光景が繰り広げられる。

アメリカなどでハリケーンがやってきて、スーパーマーケットなどが水浸しになると、付近の住民は急に泥棒に早変わりすることがある。
なかには盗んだ物を戦利品を得たかのように、カメラの前に堂々と差し出している。
「赤信号みんなで渡れば怖くない」といった状態で、盗まなければ損だというような風潮である。
ほとんどの日本人はその姿を見て大変に驚く。

宗教を心のよりどころとしている人が、どうして人のものを盗んで罪悪感が沸き起こってこないのだろうか。大変不思議である。この心理状態が分かる人がおられれば教えてほしいものだ。

私が考えるには、確かに落ちていたお金を盗んで自分のものにすれば、一時的には嬉しいような気がする。しかし、すぐに別の考えが浮かんでくる。
そんなことをすればいつか自分に罰が当たるのではないかという考えである。
森田理論でいう精神拮抗作用がでてくるのです。
別に熱心な仏教徒ではないが、知らず知らずのうちにそういう風に考えるようになったのである。
悪いことををすれば、交通事故にあったり病気になったりするかもしれない。
それは自分だけではなく、家族や親兄弟にも及ぶかもしれない。
そんなはした金を盗んで、それ以上の罰が当たるとすれば割が合わない話だ。
欲しい気持ちはあるが、警察に届けておこうということになる。

この罪悪感というのは、神経質者の場合は特に強いようである。
先日の集談会で、国道の側溝には空き缶などのゴミがたくさん落ちているが、自動車に乗っているときに空き缶を道路に投げ捨てる人がいるか聞いてみた。

その他のケースもいろいろ話し合ってみた。
国道の側溝には、弁当を食べ終わった空箱も捨てられている。
そんなのは常識外だという意見が多かった。
しかし行楽地のごみを家に持ち帰らないで放置する人がたくさんいる。
富士山やヒマラヤは遠くから見ると美しいが、登山者の残していったごみが散乱しているという。


世間では、まだ火のついたタバコでも平気で道路に捨てる人がいる。
またチューインガムや痰や唾などを平気で道路に吐き捨てる人も後を絶たない。
プロ野球の試合を見ていると、多くの選手がグランドに唾を吐いている。
それを見るととても不愉快になる。
犬を飼っている人で、散歩中の犬のフンを片付けるのが飼い主の常識である。
ところが人が見ていないときは、片付けないでそのまま放置している人がいる。

こうしてみると、日本人の中でも罪悪感の希薄な人が多いということがよくわかる。
この記事を書いた方は、罪悪感の強い神経質者は政治家にはなれないと書いておられた。
なぜなら政治家は、すべてと言うわけではないが、嘘つきでなくてはならないし、人を落とし入れなくては出来ない仕事だからと言われていた。まあ、うなづけるところもある。
森田先生も、神経質な人は長にはなれないといわれている。
例えば、校長とか市長とか、何かそういう長のつく人間には不向きであると言っておられます。
それはやはり、神経質性格の人は非常に正直でお人好しで嘘をつけない人間であるからです。

私の感想としては、神経質者は偉大なリーダーや指導者の下で、ナンバー2の位置にいると、大きな力を発揮するように思います。
それは何事にも細かい事まで気になるという神経質性格が十分に発揮できるからです。
神経質性格の人は、偉大な指導者にとってはなくてはならない存在感を示すことができます。
ところが仕事ができるので、長にしてもらったとたんに、統率力がなくて、途端に調子が悪くなってしまう人を数多く見てきました。実は恥ずかしながら、私もその一人でした。

神経質者はつよい罪悪感という感情が自然に湧き上がるようになっている。
つまり強い欲望と同時に、強い不安が同時に湧き上がるようになっている。
それに対して、私たちは強い欲望に力を入れつつも、欲望が暴走しないように不安を活用してバランスをとりながら生活を進めていくということだ。どちらか一方に片寄ってはいけない。
神経症に陥るということはそのバランスがとれていないということだ。
サーカスの綱渡りでいえば、バランスが崩れて地上に落下してしまうということだ。





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Last updated  2017.09.20 21:16:17
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