森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.09.18
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カテゴリ: 行動のポイント
森田先生は恐怖と欲望の調和について次のような話をされている。
今、戦争で敵と相対してその矢面に立っているとする。
小銃弾が頭をかすめて、自分の前方、後方で破裂して土石を散らす。
恐ろしい、身の毛もよだつ、心臓は高鳴る。
身を隠しながら、一生懸命に敵に向かって射撃していくしか方法がない。
精神は敵のほうに集中して一心不乱になっている。
今や敵弾の飛来も、自分の心臓の高鳴りも少しも感じない。
自分の疲労、苦痛はもとより、生死も何も念頭にはない。ここにいわゆる心頭滅却がある。
思慮も判断も思想の矛盾もない。ただ一念の生の努力があるのみである。


これがもし思想の矛盾にとらわれる時は、恐れるために、自分の死地を切り開くことを忘れて、逃げ場所と隠れるところばかりを考え、敵弾の音と自分の身震いのみが身にこたえて、前後不覚となり、自ら立ち惑う間に、かえって敵弾に身を落とすのである。
また、一方には、いたずらに自ら恐れないようにとし、卑怯と人に笑われないようにと焦る時には、そのすることがすべて軽弾みとなり、虚偽の勇気となり、無謀にも命を捨てるようになり、ただ100人に1人が偶然に成功して、賞を授けられるようなことがある。真の勇気は、素人には勇気とは見えない。
真の勇気は自然であり、思想の矛盾に煩わされず、毀誉褒貶にかかわらず、自分自身の努力そのままになりきったものである。
(神経衰弱と強迫観念の根治法 森田正馬 白揚社 160ページより要旨引用)

森田先生はこのような話をしながら、神経症の克服の仕方について説明されている。
内容はともかく、とても分かりやすい話である。
これによると、目の前の仕事や日常茶飯事、目の前に突きつけられた問題点や課題、夢や目標に向かって努力することが最も大切である。
不安や恐怖、不快な感情、違和感にとらわれて、目の前のなすべきことを放り投げて、それらをやりくりしていると、精神状態がどんどん内向化してくる。
ちょっとした体の違和感や不安な気分にばかり注意や意識が向いてくる。これが神経症の始まりである。神経症に陥らないためには、不安や恐怖などに過度に関わりを持たないことである。
そして、不安を抱えながらも、目の前の仕事や家事に淡々と取り組んでいくことである。

これは症状を克服のためだけではなく、これから先の人生に対しても、同様の態度で臨むことが大変重要になる。もともと神経質者は、細かいことによく気がつく。好奇心が強い。

それらを仕事や生活の面に活かしていけば、大いに人に役立ち、自分自身も「人間に生まれてきて良かった。また機会があれば再び人間として生まれてきたい」と思えるようになるのではなかろうか。





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Last updated  2017.09.18 06:30:06
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通りすがり@ Re:阿久悠さんが「ジョニーへの伝言」に託した思いとは(03/06) この曲の歌詞の意味がわからなくて検索し…
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