森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.10.21
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カテゴリ: 行動のポイント
大工さんの棟梁を育てている高校があるという。
その高校では鋸で木を切ることを次のように指導しているという。

木を鋸で切るといっても奥が深いところがある。
まず鉛筆などで線を引く。鉛筆で引いた線には幅がある。その幅を拡大して考えたときに、鉛筆の線の外側で切るのか、内側できるのか、あるいは真ん中できるのか。
細かいことを言うようだが、そういうことを意識しながら鋸を使ってほしい。
また鋸の幅も考えなければならない。鋸の刃は薄いものもあれば、厚いものもある。
どういう鋸で、鉛筆のどこを切るのかを頭に入れておかないといけない。
ほんのわずかな差であっても、たくさんの部材を積み上げていけば大きな誤差となってしまう。

また、鋸で切る時の目線も重要だ。これは挽くときの正しい姿勢による道具の使い方を習得して経験を積まないといけない。右足をどこに置き左足をどうするのか。

定石や基礎をきちんと身につけるためには、まず先生や師匠等に謙虚になって教えを請うことだ必須である。
口うるさくて、腹が立つことがあっても素直になることだ。
普通は叱責されたりすると、すぐに腹をたてて、逃げだしたりしてしまう人が多い。
でもそのような態度では、いつまでたっても極意を習得することができない。
理不尽で腹の立つことがあっても、先生や師匠についていくと、いつの間にか高度な技を自然に身に着けてしまう。
自分が一人でできるようになると自信がつく。それを基にして自分独自のやり方を工夫し創作するようになれば、益々仕事が面白くなる。
その時になって、厳しく指導してくださった先生や師匠のありがたさが身に染みて分かるようになる。
これはノミの使い方、カンナの使い方、釘の打ち方についても言えることだ。

ただ言われた事だけをやっている人と、反発しながらも先輩や師匠の持っている優れた技術を早く身につけたいと思っている人との違いである。その後の仕事に対する姿勢や面白みが全く違ってくる。
それはものそのものになることによって感情が動き出してくるからだ。
感情が動き出して、高まってくると気づきや発見が自然に出てくる。

すると仕事に対して積極的になり、意欲が高まってくる。
このことを森田では「物そのものになりきる」と言います。

だから行動するに当たっては、最初はイヤイヤ仕方なくとりかかっても一向にかまわない。
意に沿わないことを強制的にやらされていても一向にかまわない。
最初は注意や意識が内向きから自然に外向きに変わってきたということに意味がある。

そこで少しだけ目の前の仕事に我を忘れるくらいにのめりこんでみる。
後から振り返ってみたら無我夢中になって、悩みことはすっかり忘れていたという状態だ。
そんな回数を数多く経験するようになることが肝心だ。
神経症が治るということは、実はそのような繰り返しが身についてくるということなのだ。
(棟梁を育てる高校 笠井一子 草思社 48ページを参照)





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Last updated  2017.10.21 06:30:05
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