森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.11.01
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対人恐怖症の人は、他人を心から信頼できなくて怯えまくっているのだと思う。

人は決して自分の味方になってくれるようなことはない。
それはあたかも、アフリカのサバンナでチーターやライオンなどの肉食獣に狙われている草食動物のようである。圧倒的な力の差があるために、対等な立場で話すことができない。
自分の出来る事は専守防衛のみだと思っている。そうやって自分を守ろうとしてきたのである。
将棋でいえば守り一辺倒だ。守りを固めることは大事だが、攻撃をしないと勝負にはならない。
それは解り過ぎるほど分かっているが、そんなことをすると、社会から放り出されてしまうという観念から抜け出せないのだ。

自分の弱点や欠点を見つけると、それらを目の敵にして、修正したり隠したりする。
ミスや失敗をすると、能力のない奴だと馬鹿にされたり、批判や叱責を受けるのでごまかしたり隠したりする。

人の目に晒すと、自分が無視され、否定されるので、うまく立ち回らなければならないと考えている。
しかし、いくら完璧に防衛ができたとしてもどこかでボロが出てくる。
逃げたり隠そうとすればするほど話が噛み合わなくなる。
また逃げたり隠そうとすればするほど、他人はすぐに見破ってしまう。
その結果、ますます人から軽蔑され無視されいじめられ仲間外れにされるようになる。
専守防衛にばかり注意や意識を向けていると、生きていくことが辛くなってくる。
一人でいることは味気ないが、そのほうがまだ精神的には楽だという風に考えるようになる。

これは長らく対人恐怖症で苦しんできた私の姿である。
私は幸いにも、森田理論学習を続けて、対人恐怖症をどのように修正していけばよいのか学んだ。
そのうちの何点かを紹介してみたい。
まず、対人恐怖症の人は、多くの人が愛着障害を抱えている。

問題は愛着障害の修復である。これには、心の安全基地を作るのが有効だ。
対人恐怖症に陥っている人は、その安全基地を持たずに孤立している人が多い。
安全基地とは、自分の苦しみや悩みを吐き出すことのできる仲間を持つことである。
神経症の人はまずは集談会に参加している人たちだ。これは貴重な安全基地となりうる人たちである。
その他家族、同窓生、趣味やスポーツの仲間、近所の人たち、カウンセラーなど、人間関係の幅を広げることも有効である。


そういう安心感というか、心の後ろ盾を持っておくとつらいときに踏ん張ることができる。
日常生活が破たんするまで、落ち込んでいくことはなくなると思う。
私は所属集談会と支部研修会を通じて知り合った人の中から、貴重なバックボーンを得ることができた。
これがなかったら定年まで会社生活を続けることは難しかったかもしれないと思っている。
こんな貴重な人間関係を見逃していることはもったいないと思う。

注意点として、その中での人間関係のあり方としては、森田理論で言うところの不即不離を心がけることである。人間関係は必要に応じて必要なだけ付き合えばそれで充分なのである。
あまりにもくっつきずぎることは避けたほうがよい。
人間関係の基本は、広く浅くを基本としたほうがよいようだ。
発見誌でも、コップ一杯の人間関係を数個というよりも、コップに少しだけの人間関係をたくさん持っていたほうがよいとあった。

次に弱点や欠点、ミスや失敗は誰にでもある。
普通の人を見ていると、ごまかしたり隠したりすることは少ない。
すぐに自分の非を認めて、全てをさらけ出している。
そうすることで、精神的苦痛を回避し、すぐに事後処理に専念できている。
私たちも少しでもその人たちを見習って行動したいものだ。
私は、ごまかしたり隠したりしたくなったときは次のように自分に言い聞かせていた。
「清水の舞台から飛び降りたつもりで」「まな板の鯉のようなつもりで」
「注射針を刺されると痛みがあるが、その痛みを我慢するとインフルエンザにかからない」
以上の3つのキーワードとして、できるだけごまかしたり隠したりしないように戒めていた。
全部はできなかったけれども、10個のうち2つでも3つでもできるようになると、成功体験ができるのだ。成功体験があると、対応の方向性がわかってくるようになる。

最後に専守防衛という生き方は自分を閉塞状態に追い込んでいく。
高良先生は、人間関係を良くしようと思ったら、これだけは誰にも負けないというものを持てと言われた。仕事、趣味、スポーツ、習い事など何でもよろしい。
ある寿司屋のおやじは、ゴルフはダメ。カラオケは歌えない。麻雀をすればカモにされる。
でも寿司を握らせると自分の右に出るものはいないと言うぐらい自負心を持っていた。
それだけの努力や精進を重ねてきたのである。
雑談の場で自分のこと面白おかしく取り上げられても、笑って聞いていたという。
人間は10年ぐらいひとつのことに取り組んでいれば、たいていその分野ではエキスパートになれる。
自分の得意な分野を持っていると、人から少々馬鹿にされたりからかわれたリしても、ムキになって反論しなくなる。それが心の強力な後ろ盾となって、笑って済ますことができるようになるのだ。
専守防衛から、生の欲望の発揮に向かって舵を切りなおすことが、対人恐怖症を克服するには有効なのである。





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Last updated  2017.11.02 06:39:03
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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