森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.12.13
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孔子の言葉に、「君子は、和して同せず、小人は同して和せず」という言葉がある。
偉い人は人の意見を尊重して、いたずらにこれを排斥せず、しかも自分の意見は持っている。
普通の人は、人が何か言えば直ちにそうかと思いながらも、いちどは争ってみる。
偉い人は衆議に服従するけれども、自分の見識は動かない。
この言葉のポイントは、偉い人は周囲の状況に合わせることができるということだと思う。
いくら見解の相違があろうとも、最後には周囲の状況に同調するということだ。
自分が周囲から浮き上がってまで、自分の意見をどこまでも主張して押し通そうという態度ではないということだ。

ここで1つ疑問がある。
自分が考えに考え抜いて、これだという確信を持った考え方なら、他人といくら見解の相違があるとそれを押し通すべきなのではないかということだ。

普通一般的には、この考え方に同調する人は多いと思う。

私は森田先生がこの話を持ち出して私たちに何を伝えたいのだろうかと考えてみた。
森田先生は、周囲の人たちをよく観察して、その流れに乗って生活しなさいという事伝えたいのだと思う。谷川流れる水のように、流れに沿って生きていくということだ。
言葉を変えれば、変化に対応した生き方を勧めておられるのだ。事実に従うといってもよい。
私たちが生きている間は、不安や恐怖が絶えず襲ってくる。
それらにいちいち立ち止まってとらわれていては生活が滞ってしまう。
それらをいちいち解決してから次に進むという態度ではなく、未解決のままでも生活を維持していく態度が大切なのである。

この生き方を上手に説明した文章がある。
サーフィンの話である。サーファーは波という、動いているものに乗っかっているのです。
常に波の様子を読まなくてはなりません。波はその日の天候によって変化し、動き、下手をするとサーファーを飲み込みます。
サーファーにとっては一瞬一瞬は緊張の連続です。

自分だけの力ではなく、勢い良く打ち寄せる波の力を自分のものにして、岸まで疾走することができるのです

私たちの生活もそうです。時間は波のように変化して動いています。私たちはその波に乗らないことには生きていけないのです。
人生の波に乗るとは、結局、毎瞬毎瞬、緊張感を持ち、周囲をよく観察し、そのとき、そのときで適切な判断がと れるように努め、自分の生を前に進めていくことです。
流れに乗るということです。流れに乗るとき、人は注意を一点に集中したままではいられません。
四方八方に目を向け、状況を考え、自分の姿勢を判断し、バランスをとっていくのです。

そんなふうに現実の流れ、時間の流れに乗っている時、もはや神経症の悩み、つまり主観にとらわれた状態でいられるはずもありません。
むしろ、目の前に広がる新しい景色に目を奪われ、自分が全く予想もしなかった展開に驚きながら、更に興味や意欲が湧き出してくるのです。
そんなふうに人の心というものは必ず変化していくものなのです。
永遠に神経症の悩みの中にとどまっている事などはありえません。
自然界で静止しているものなどはありません。
全てが流れ、動いて変化していくとしたら、その変化についていくことが安定であるわけです。
森田先生は「不安定即安定」と言いました。不安定な人生にあるがままに服従するとも言っています。
不安定なまま時間の流れ、環境の変化についていこうとするのが流れに乗るということです。
(流れと動きの森田療法 岩田真理 白揚社 64ページより引用)





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Last updated  2024.06.03 07:53:22
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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