森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2018.03.08
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強迫観念を持ちながら、教師をしている人の話を聞いた。
生徒とその親、校長や教頭先生、同僚教師との人間関係が難しいそうだ。
もし生まれ変わっても、決して教師という職業は選択したくないといわれていた。
私は、教師は専門教科の授業の研究を怠らなければ、勤まるのではないかと思っていた。
そんな単純なものではないようだ。部活や生徒指導などの仕事もある。
土曜日や日曜日は家でゆっくりしたいにもかかわらず、部活の指導に出なければならない。

それよりも、生徒が自分のことをうっとうしいと思っているのではないかと気になる。
実際に、生徒が反抗的な態度をとることもある。
授業中でも騒いで授業の邪魔をする。自分のことを拒否、無視、否定しているように感じる。

自分にはそのような事は出来ない。そのような力もなく、おびえている。
仮に力で押さえつけても、その場は収まるかもしれないが、根本的な解決策にはならないと思う。
その後、注意することすらできなってくる。そのうち、問題のある行動に対して、見ざる、聞かざる、言わざるという態度をとるようになる。次第に生徒との人間関係がぎくしゃくしてくる。
また校長や教頭先生から、 「生徒指導をきちんとしてください。大学出たての先生の方がまだマシだ」などと言われる。毎日針のむしろに座らされているような気持ちになる。
今や袋小路に追い詰められて打開策が見出せない。
退職したいがその後の生活のことを考えると決心できない。

この問題を森田理論で考えてみよう。
この先生は生徒を自由自在にコントロールできると考えているのではなかろうか。
またしなければならないと考えているのではなかろうか。
生徒の前ではいつも堂々としていなければならない。立派な先生だとみられなければならない。
生徒になめられることがあってはならない。

その結果、自分と生徒の関係が対立し、しかも意識や注意が自己内省的に働いて、やることなすことが、悪循環に陥っている。森田でいう思想の矛盾に陥っているのだ。
森田理論はこの問題の解決策を提示できると思う。真剣に学習に取り組んでもらいたいものだ。
「かくあるべし」で凝りかたまっている自分を自覚し、事実本位・物事本位の立場に立つ必要がある。
森田理論学習を積み重ねて、生徒や親、管理職、同僚などとの人間関係に応用できるようにしてもらいたいものである。

次に私の体験した話をしてみたい。

私が昔社会保険労務士を目指していた頃、専門学校に通った。そこに熱血教師がいた。
70代の先生だったが、燃えるような情熱を持った先生であった。
その先生は、毎年約30名の合格者を出すことを目標にしていた。
その目的達成のためには、手段を選ばないというやり方だった。
例えば、授業に集中していない受講者を見つけると、チョークを投げつける。
テキスト破ったこともある。これは前回の講義のときに、テキストはバラバラにして2穴のファイルに閉じこんでくるように指示していたのに、その指示を無視した受講者に対して、とっさにとった行為であった。講義内容は、カセットテープに録音し、通勤途中は常にそれを聞くように指示されていた。
また、自宅ファックスにたびたび問題を送り付けて、回答をさせられた。
生活指導の面でも細かい注意点を常に指示されていた。
爪をきちんと切っているかどうかまで点検していた。
普通に考えれば、腹が立つほど理不尽なことを連発する先生だった。
しかし不思議にも、その先生の指導に対して、反発する人は滅多にいなかった。
その年も32名の合格者を出して、先生は合格者全員を「カニ通」に集めて自腹で祝賀会をしてくれた。
その後、我々は感謝の意味を込めて、毎年1回は先生を呼んで親睦会を開いていた。

この先生は、生徒と良好な人間関係を築くにはどうしたらよいかとは考えていないようだった。
自分のはっきりとした目標を持って、それを達成するために、どのように受講者を鼓舞していったらよいのかを常に工夫をされていた。持てる情熱をすべて注ぎ込むつもりで指導に当たられていた。
その態度は受講者の心に届いていたのだ。どんなに問題行動を起こそうと、その先生にどこまでもついていこうとという気持ちになっていた。

森田先生は入院患者に神経症を治し、人生観を確立させてあげたいという強い目標を持っておられた。
その目的のために、入院患者を叱責されたりすることは度々あったが、それが障害とはならなかった。
むしろ退院した後、森田先生に叱られたことを懐かしく思い出している。
ますます入院患者の先生に対する思慕の念は深まっていったのである。
ここから学ぶべき点は多いと思う。





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Last updated  2018.03.08 06:30:04
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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