森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2018.03.20
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北西憲二先生は、外来森田療法の治療前期として、変化を引き起こす事に力を入れられている。
具体的には、 「ふくらます作業」と「削る作業」である。

「ふくらます作業」とは、あれこれ考えすぎないで、行動を通して直接生活世界に踏み出し経験することから始まります。
神経症に落ち込んでいる人は、注意や意識が症状にばかり向かっている。
精神交互作用によってどんどん混迷の度合いを深めている。
それを打ち破るためには、目の前の生活や仕事に目を向けて、行動することが何よりも大切になる。
森田先生曰く。理屈でわかるよりも体験ができさえすれば治り、治りさえすれば、理論は容易に分かるようになるから、体験を先にする方が得策である。

最初は、日常生活、仕事、人間関係、趣味、集談会などで実践課題の作り、意識的にそれに取り組んでみる。その結果を集談会で発表して先輩方からアドバイスをしてもらう。
1つでもできるようになれば、小さな前進である。

生活の中で、気がついたことをどんどんメモしていくのである。
すぐにできないことでもどんどんメモしていく。
やるべき課題や問題点のストックをできるだけ多く溜め込む。
メモ用紙やカレンダー、スマートフォンなどに確実に記録として残す。
そうすればメモしたことが気になるので少しずつ行動力が向上してくる。
最初は10%でも20%でもこなすことができるようになればしめたものである。
そのうちユーモア小話のネタや川柳などが思い浮かぶようになれば、症状に振り回される度合いはかなり少なくなる。
北西先生は助言として、 「ぐるぐる回る思考を放っておくこと」 「不安を持ったまま行動する」 「待つこと、 一拍置く」ことなどを挙げられている。

次に「削る作業」にも取り組んでいく。
神経症に陥っている人は、 「かくあるべし」という自己が硬直化し肥大化している。
これは、 「理想の自己」が硬直し、 「現実の自己」をがんじがらめに縛っている。

精神が安定した人でも、物事にとらわれ悩み始めると、 「理想の自己」は硬直化して、大きくなり、 「かくあらればならない」 「かくあってはならない」などと、 ○○すべきという「べき」思考で「現実の自己」を縛ってしまいます。
そのような自己のあり方は、人生の変化に対する適応を困難にしてしまうのです。
北西先生は、他者や現実世界を自分の思うがままにコントロールできないということを理解してもらう。
そうしたら苦悩を目の敵にして、あってはならぬものと決めつけることから自由になることを目指します。それまでの価値づけそのものを否定し、 「べき」思考を放棄するように助言します。
これは、このブログで再三取り上げていっているように、 「かくあるべし」的思考を少なくしていく方法です。できるだけ事実本位の生活態度を身につけていくやり方です。

次に、事実をよく観察する態度を身につける。そして、事実を赤裸々に具体的に相手に伝えていく。
森田理論で学習した「純な心」「私にメッセージ」などを生活の中で活用していく。
「かくあるべし」が出てくれば、 「ちょっと待て」と言い聞かせて、自分の素直な感情に立ち返って考えてみる。

北西先生は、 「ふくらませる作業」と「削る作業」は、あざなえる縄のごとく同時進行的に取り組む必要があると言われている。つまり、「症状はそのままにしておいて、闇雲に行動すればよい」というだけでは不十分であると言われている。
2つの作業が車の両輪のごとく、同じ大きさで回転をしていないと、決して前に進むことはできない。
そのほうが神経症の治療にとっては効果が高いといわれているのだ。
これは森田理論学習によって、神経質者の人生観の確立を促すという面から見ても、全くその通りであると思う。(はじめての森田療法 北西憲二 講談社 158ページより要旨引用)





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Last updated  2018.03.20 06:30:05
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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