森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2018.03.28
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カテゴリ: 生の欲望の発揮
元聖マリアンナ医科大学精神神経科の教授であった岩井寛さんは、我々に森田理論の活かし方を教えてくださっている。
岩井寛さんは、 1985年9月2日腸管膜S状結腸部にできた大きな腫瘍の摘出手術をされた。
そのガンはすでに肝臓に転移しており、 12日後に肝臓がんの摘出手術も行っておられる。
末期ガンで、余命は3ヶ月と診断された。
その後岩井寛さんは、ガーンという激しい耳鳴りを伴う突発性難聴に苦しんでおられる。
その後両眼が白濁して、眼が見えなくなった。
その後襲ってくる激しい腹痛などの痛みは耐え難いものであったようだ。
岩井寛さんは、ペインクリニックを受けられた。 エピドラカテーテルが脊椎に打ちこまれ、そこから局所麻酔剤マーカインが常時注入されることになった。
これにより下半身の神経がブロックされ痛みはなくなったが、手足と頭以外の機能は失われた。


入院前には、それまで指導していた若手の医師に自分の病気を伝えるとともに、一人一人に、今後の方向性についてアドバイスを与えておられた。
そして自分が担当していた患者さんたちを、1日かけて他の医師に引き継いだ。
8月18日には、かねてより依頼されていたモンテッソーリ学会での講演に出かけておられる。
手術後、目が見えなくなってから口述により、 「色と形の深層心理」という本の校正に取り組んでおられる。それが終わると、 「森田療法」という本の執筆に取りかかっておられる。
小康をえた 1986年3月17日、車椅子で聖マリアンナ医科大学病院に出向き、医師と看護婦30名を集めて40分ほどの最後の講義を行った。
ガン細胞が脳細胞に及ぶのが時間の問題となったとき、岩井寛さんは次のように考えた。
ボロボロに崩れていく肉体の中の精神がどこまで清明を保っていられるか、滅んでいく肉体を自分の精神がどのように受容していくのか、このさまを描写することができるならば、これは自分の生の意味を証す最後の仕事になるのではないか。
そう考えて、かねてからの友人で、死生の問題についてよく語り合った評論家の松岡正剛さんにこれを依頼しようと心が動いた。その時の岩井寛さんの話は40時間を越えていたという。
1986年5月22日ガンとの戦いを終えて岩井寛さんはついに旅だっていかれた。
ガンの痛みに苦しみながらも、残った体の機能を使い、最後まで前向きに生きていかれたその姿勢は森田理論が目指している方向性そのものである。我々に大きな勇気を与えられている。

岩井寛さんは次のように語られている。

また、人間は病むことなく生きるということもありえず、刻一刻と老いていく道を歩んでいるのであり、そして死に至る存在である。
このような事実あるいは現象から人間が逃れ得ないとすれば、それをもあるがままに受容するしかない。
そうしたことを受け入れればこそ、今ここに生きているという現実がより大切な時間・空間として我々の前に現出してくるのである。
その時に、われわれは何らかの生きている意味を見つけ、人間として有意義な生き方をしようという目的本位の行動の重要さを自覚させられる。
私は過去における自分自身のとらわれから脱しようと努めた体験と、あるがままの認識を通して、自己の欲望を真に活かし、目的本位の行動を曲がりなりにもとれるようになったことを、自己の人生の経験の中で非常に大切なことであったと信じている。





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Last updated  2018.03.28 06:30:12
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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