神経症に悩む人々と毎日生活を共にしていると、「負け嫌い」の人がきわめて多いことに気がつく。
この「負け嫌い」の現れ方には、大別して二通りある。
その一つは「勝気」であり、もう一つは「負け惜しみ」である。
その根本には、人々に負けることが嫌いであり、優越したい、という共通した性分があるのだが、その人が社会生活において攻撃的な生き方をしている場合には「勝気」となり、防衛的な生き方をしている場合には「負け惜しみ」となるのである。
「勝気」の人は、外向的、積極的であって、人のアラ探しをし、他人を非難したり攻撃することによって、優越欲の満足を得ようとあせる。
一方、「負け惜しみ」の人は、負けるのが嫌なために、競技とか遊戯とか、難しい仕事とかには手を出さず、引っ込み思案となる。
あるいはまた、優等生であった学生は、成績が下がると、 学校に行くのが嫌になって休学したりする。(生活の発見誌 2018年3月号 11ページ引用)
確かに神経質性格を持った人は勝ち負けにこだわる。
その結果、人より優れていると思えば優越感に浸って有頂天になる。
そして、劣っている人を見下して軽蔑したりする傾向がある。
反対に、人より劣っていると思えば、劣等感にうちひしがれて自己否定で苦しむ。
自分の長所を伸ばすことには目がいかなくなり、劣等感なくすることばかりに注意を集中する。
その結果、精神交互作用によって神経症に陥ったりする。
私の知っている営業マンで神経質性格を持った人がいた。
その人は、優秀な営業マンとして会社から何度も表彰されていた。
その人は、自分よりも営業成績で上にいる人をライバルとしてはっきりと認識していた。
そして、営業成績でその人を追い抜くことを最大の目標としていた。
毎週発表される営業成績を比較しては、自分を奮い立たせていた。
彼の営業スタイルは、得意先から依頼されたどんな小さな依頼でもおろそかにせずに、丁寧に取り組むという方法であった。
そして依頼されたことに、プラスアルファを付け加えて対応することを心がけていた。
「得意先は10個役に立つことをしてあげても、 1個気に触ることがあればすぐに逃げていく」と言うのが口癖だった。
神経質の小さなことが気になるという特徴を、最大限に活かした営業スタイルであった。
そのやり方は、間もなく得意先の絶大な支持を得ることとなった。
そのうち、同業他社は注文がもらえなくなり、彼の営業エリアからは実質撤退せざるをえなくなった。
このようにして、彼は会社の中で優秀営業マンの10本の指に入るようになった。
彼は神経質性格を持っていたが、生の欲望の発揮に邁進していたため、神経症とは無縁であった。
森田理論で学んでいる通りの仕事ぶりであったのである。
私は、彼の仕事ぶりを見ていて、神経質の性格の活用の仕方を学んだ。
神経質性格者は、細かいことが気になるが、それを利点ととらえて、きちんと仕事に反映させること。
また、負けず嫌いという性格も持ち合わせているので、ライバルをきちんと見定めて、それを目標として果敢に挑戦していく。
このような気持ちで仕事に取り組めば、神経質性格を持っているこを心のそこから喜ぶことができる。
水谷先生のいう負けず嫌いの人は、優れた人と自分の弱点を比較して、自己嫌悪や自己否定に走るといわれている。。私は、自分と他人を比較して、自分の現状、現実を知ることは大切なことだと思う。
比較するのは大切だが、その結果から自己嫌悪や自己否定してはならないと思う。
弱みや欠点は横に置いて、自分の強み、能力、長所をしっかりと認識することが大切であると思う。
それが自覚できれば、現実にしっかりと根を張って、そこから一方目線をあげて、努力精進していけばよいのだ。
過度な自己内省に陥り、自分を虐めたり、否定することからは将来につながるものは何も生み出すことはできない。
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