森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2018.04.30
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田舎のお寺の住職さんから伺った話です。
昔TVドラマに「北の国から」というのがありました。
純という息子が中学を卒業して、東京に出て定時制高校に学びながら働くことになりました。
いよいよ東京へ出発する日、父親の五郎は東京へ向かうトラックの運転手に純を乗せてもらうようにお願いしました。無愛想でぶっきらぼうの運転手に、五郎はペコペコして頭を下げ、純のこと頼みます。
やがてトラックは出発し、助手席に乗った純は両耳にイヤホンをして音楽を聴いていました。
しばらくしたら純の付けていたイヤホンのコードが引っ張られます。
運転手が話しかけているのに聞こえないのでひっこぬかれたのです。
驚いた純に運転手は車のダッシュボードに置いてある封筒をアゴで指し示します。
純は「なんですか」と聞くと、運転手は言いました。

純が恐る恐る封筒を手にして、中を見ると1万円のピン札が2枚、その縁には確かに泥がついている。
その時、純はお札の泥を指でなぞって泣き出してしまいます。

この話は「北の国から」の脚本家である倉本聰さんが、 ガッツ石松さんから聞いた実話をもとに作られたそうです。ガッツ石松さんはとても貧しい家で育ったそうです。
彼はお母さんの事をいつも誇りにしていました。
お母さんはいつもガッツ石松さんに言っていたそうです。
「お前はバカだし、私も貧乏で何もしてやれない。ただお前を信じてやれる事は出来る」
ガッツ石松さんは中学を卒業して、ボクサーを志して東京に出ました
その東京に旅立つ朝、彼はお母さんが働いている工事現場に行きました。
当時お母さんは家族6人を食べさせるために、早朝より男たちに混じって、 日給240円の道路工事の仕事をしていました。
「かあちゃん、じゃ行ってくるから」と言うと、お母さんはツルハシの手を止めて、ポケットからくしゃくしゃになった泥のついた1,000円札を出して持たせてくれました。
ガッツさんはとても感動したそうです。

どんなに貧しくても、決してその1,000円は使ってはいけないと思ったそうです。
その1,000円札にはお母さんのありったけの愛情が込められているからです。
ガッツ石松さんは、つらい時、悲しい時、いつもその1000札を取り出してながめていたそうです。

この話は、涙が出るほど感動的な話です。
それは、生きるのに不器用で、最低限の生活をしているにもかかわらず、自己中心を前面に出すのではなく、利他の気持ちを失うことなく日々懸命に生きているからではないでしょうか。

我々は、必要なものは全て買い揃え、食べたいものはいつでも腹いっぱいに食べるという飽食三昧の生活をしています。
一般的に考えると、自分が豊かであればあるほど、人に対する思いやりも出てくるのではないかと思われます。
ところが、事実は違うということです。生命を維持するために、日々懸命に働かなければならない人ほど、人に対する思いやりも深くなるのではないかと思われます。
物質的に豊かであればあるほど、利他の心が忘れ去られて、ますます自己中心の考え方に突き進んでしまうのです。
巨大な国際企業がなりふり構わず、世界制覇を狙って利益を荒稼ぎしているようなものです。
私は森田理論を学習して、自分の生活を豊かにすることは生の欲望の発揮であり、それはそれで尊いことだと学びました。
ところが、欲望というのは、どんな欲望であっても際限なしに追い求めては、必ずその弊害がやってくるのだと思います。
森田理論では、欲望は不安によって制御してバランスをとらなくてはならないといいます。
これは車のアクセルとブレーキの関係にあたります。
バランスや調和を意識した生き方こそ我々の目指すところではないでしょうか。
そういう意味では物質的豊かさを際限なく追い求めるという生き方は、どこかで歯止めをかける必要があります





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Last updated  2018.05.01 07:34:32
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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