森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2018.05.31
XML
1987年プロ野球のドラフト会議の開催日に、古田敦也さんは、立命館大学が用意してくれた記者会見場のひな壇に座り、自分の名前が読み上げられるのを今か今かと待ち構えていた。
「うちは1位か2位で指名します」事前にそう言ってくれていた球団もあり、プロ入りはほぼ確実だと思っておられました。
実際、その場にはマイクやカメラを手にした大勢の報道陣が詰めかけ、決まった瞬間に「おめでとう」の垂れ幕が降りてくる段取りまでされていました。
ところが、最後の最後まで古田選手の名前はどの球団からも呼ばれませんでした。
親も友人も近所の人たちも、テレビ画面を前にして楽しみに待っていてくれたのに、格好が悪くて、大変恥ずかしい思いをされた。プロ野球球団のスカウトに対する裏切られたという思いと、猛烈な悔しさ、怒りが沸き起こってきました。
もしここで、やけくそになって、 「どうせ俺なんかプロ野球の選手になれっこない」と投げやりになってしまえば、そこで僕の人生は終わっていたかもしれません。
古田選手は闘争心に火がついたそうです。いったん社会人野球のトヨタ自動車に入りました。
そして2年後のドラフト会議では、 「今度こそ呼ばれる側になって、絶対に見返してやる」と固く心に誓いました。
翌年の 1988年9月ソウルオリンピックが開催されました。

それが、 2年後のドラフト会議で指名権を得るための近道であると考えていました。
最初は有力選手が70名ぐらい集められました。
その中から振るい落とされて、最終的には20名に絞りこまれます。
その中のキャッチャーの席は2つしかありません。
最終選考で選ばれるためにはどうしたらいいのか。古田選手は必死になって考えました。
合宿が始まる当初から、監督が「キャッチャーは1人は安定的なベテラン、 1人は今後の為にも若い選手を連れて行きたい」と言っていました。
自分は若手なので、 1つの席をめぐって、ライバル達と争わなければなりません。
そこで古田選手は、キャッチャーの強化担当のコーチがどんなキャッチャーを理想としているのか研究しました。
その時のコーチは、元気があって最後まで手を抜かないで一生懸命に練習をする選手を求めていました。
そこで古田選手は常に大きな声を出すようにしました。
ランニングの時でも、そんなに足が速いわけではないのに、 1番前を走りました。カバーリングでも、 「そこまでやらなくてもいいだろう」というところまで走りました。

ここがその後の運命の分かれ道でした。合宿に呼ばれるような選手は、実力的にはほぼ互角です。
古田選手が選抜されたのは、その時の監督やコーチの意向をくみ取り、それに沿った努力を続けたからです。その後古田選手はヤクルトに指名され、野村監督の下で大成功されたのは記憶に新しいところです。
(優柔決断のすすめ 古田敦也 PHP新書参照)

この話から、次の2つのことを投稿してみたいと思います。
1つは、どんなにどん底に突き落とされても、そこで諦めて投げやりの態度を取ってしまってはならないということです。そこを出発点にして前進することです。

少しのミスや失敗が、自分のこれから先の長い人生を左右するような思考に陥ってしまうのです。
自分たちのミスや失敗は、古田選手がドラフトで指名されなかったような悔しさや憤りに比べるとまだマシなのではないでしょうか。古田選手は反骨精神で自分の運命を切り開いていかれました。
私たちの人生には、自分の思い通りにはいかないことの連続です。
そこで、簡単にあきらめてしまって投げやりな行動をとってしまうと後で必ず後悔します。
なかなか受入入れがたいことですが、その理不尽で不快な気持ちを受け入れることしかありません。
その状況の中で、目線を少し上に上げて、運命を切り開いて現状を打開していくのだという気持ちを見失ってはいけないのだと思います。
簡単にあきらめて、投げやりになってしまえば、苦渋の人生が待ち構えているのです。

次に古田選手は、オリンピックの出場選手に選ばれるために、監督やコーチの選手の選抜方法について研究されています。
これは森田理論でいうと、現実や現状をしっかりと観察するということだと思います。
じっと観察していると、監督やコーチがどんな選手を欲しがっているのかが分かります。
すると、自分のとるべき行動がわかるようになります。後は実践するのみです。
そこから古田選手の運命の歯車が噛み合うようになってきたのです。
これは変化の兆しを的確につかみ、その変化に対応した実戦であると思います。

小泉元首相は、平成13年の所信表明演説の中で次のように述べています。
私は変化を受け入れ、新しい時代に挑戦する勇気こそ、日本の発展の原動力であると確信しています。
進化論を唱えたダーウィンは、 「この世に生き残るものは、最も力の強いものか。そうではない。では最も頭のいいものか。そうでもない。最後に生き残るものは、刻々と変化する時代のスピードに適切に対応できた生き物だ」という考えを示している。
森田理論学習では諸行無常、変化流動の流れの中で、自分をその変化に適応させる生き方を提示しています。私はそういう生き方を身につけて、人生を駆け抜けたいと考えています。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2018.05.31 06:30:10
コメント(0) | コメントを書く
[森田理論の基本的な考え方] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

メダカを飼っています New! 楽天星no1さん

泉佐野フィルムフェ… へこきもとさん

激しい運動の後、疲… メルトスライム25さん

神経症を克服します♪ ROSE33333さん
「私」がいる幸せ えみこた2さん

Profile

森田生涯

森田生涯

Comments

kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: