帚木蓬生さんの「生きる力~森田正馬の15の提言」 (朝日新聞出版 47ページ)にある言葉です。
物を頼むときは、忙しい人に頼め。
忙しい人には時間があるが、暇な人には時間がない。
ちょっと矛盾するようだが、真実をついている言葉である。
普通に考えると、暇な人にはふんだんに時間があるように思える。
なんでもやろうと思えばできそうな気がする。
しかし、暇な人は頭の回転も悪く、さらに手や足が出ない。
時間が有り余るほどあっても、それを活用する精神状態にはないのだ。
もともと精神が緊張状態にはなく、弛緩状態にあるから無理なのである。
さらに考える事は内向的で、自己嫌悪、自己否定、愚痴、他人否定に偏っている。
つまり、不平不満ばかりで、欲求不満に陥っているのである。
無為な時間ばかりがあるのである。そういう人にできもしない無理を言ってはいけないのだ。
幾つもの案件を抱えて忙しい人は、あれもこれも周囲のことが気になる。
好奇心旺盛で、実際に興味や関心のあることにすぐに手足を出す。
また、しなければならないことや問題点を見つけると、すぐに行動を開始する。
全般的に手を付けることが早い。
仕事が早いか遅いか人物観察すると、その人の精神状態がよく分かる。
傍から見ていると、小さな家事や仕事などをお金を扱うようにとても大事にしている。
気持ちが外向的で、しかも行動的である。
頭の中は同時進行的にいろんな懸案事項を抱えている。
1つのことにいつまでもこだわっていることができない。
細切れ時間を活用して、数多くのことを手がけている。
解決困難なことは見切り発車をして、目の前のやるべきことを数多く手がけている。
行動する癖がついていると、ちょっとした困難や壁を簡単に乗り越える力が備わっている。
帚木先生は、 「小事をおろそかにする人は大事はできない」と断言されていた。
全くその通りだと思う。その上で、受験勉強のコツを伝授されていた。
それは、一つの科目を1時間なり2時間、ぶっ通しで取り組むのはまずいやり方だ。
例えば6つの科目があれば、 10分なり20分に小分けに分けて、どんどん科目を変更していく勉強法だ。
こうすれば、わからない場所があっても、それはそのまま放置して、次の科目に移ることになる。
すると、新たな気持ちでその科目に取り組むことになるので、何とも言えない不快感で苦しむことがない。これは森田理論で言うと、 「休息は仕事の中止ではなく、仕事の転換にある」ということである。
忙しい人は、ぶらぶらと歩いている様な状態ではなく、ランニングをしているようなものだと思う。
ランニングをしていると、手や足は素早く前後に動かしている。体も活動的で緊張状態になっている。
忙しい人は、それに加えて頭がフル回転して緊張状態あるのだ。
そのような状態になると、様々なことに気が付き、弾みがついて、新しいアイデアが泉のようにこんこんと湧き出てくるのだ。
神経質者は、物事に取りかかるのが遅い。
しかし、いったん取りかかると弾みがついていつまでもそのことばかりに熱中している。
そういう状態になると、例えば集談会参加のお誘いをしても、今取り組んでいることに手一杯で、それ以外のことは時間がなくて参加はできないと言われる。これが悪といっているのではない。
実践や行動の取り組み方に問題があり、森田の視点で見ると残念な結果に終わっていると思うのだ。
そういう人の話を聞いていると、オンラインゲーム等では時間無制限で深夜遅くまでとめどなくふけっている。つまり、時間の有効活用は頭にないようだ。さらに規則正しい生活習慣作りも頭にない。
こういう考えでは、森田理論の「物の性を尽くす」という実践がすっぽりと抜け落ちてしまう。
「物の性を尽くす」には、物、自分、他人、時間、お金などがあるが、そのすべての面に渡り、考えが及ばなくなってしまうのだ。何年も森田の学習をしてきたのに残念なことだ。
同じ事を長時間続けていると、だいたい飽きが来るものである。
体や頭脳も使っているその1部分が疲れやすくなる面もある。
そうなると、臨機応変、変化に対応する動きができなくなる。
周りから見ていると、融通がきかない人である。自己中心性が強い人である。
次第にそういう人とは距離を置きたくなるのである。
神経症が治った人は、もちろん今自分が力を入れていることに注意や意識の大半が向いている。
しかし同時並行的に、その周辺のことにも注意や意識が向いているはずである。
ここが肝心なことである。つまり、 1つのことに注意や意識を集中しているのではない。
まんべんなく周囲のことにも注意や意識が行き渡っている状態である。
そういう人は、同時進行で様々な課題や問題を処理することができる。
仕事や勉強の切り替えも早い。
そのことによって多くの事を手掛けることができ、能率が上がるのである。
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