森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2018.12.21
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先日の集談会後の居酒屋での懇親会の席で、ある方が次のような話をされた。
神奈川県足柄上郡山北町で和田重正さんという方が、登校拒否や出社拒否に陥った人を受け入れて、人間再教育をされていた。その方が晩年になって「無欲の欲」という心境になられた。
私も歳をとってきて、 「無欲の欲」を生活信条として生きていると話された。
この方は、森田理論を学習して40年近くになり、理論的にもしっかりしたものを持っておられ、何よりも森田的な生活を継続されているところがすごい。
私はこの話を聞いて、私達の考えも及ばない境地に達しておられるのだなと感じた。

その一方で、 1つの疑問が湧いてきた。森田理論では「生の欲望の発揮」をとても大事にしている。
人間に生まれたからには「無欲」ということがあり得るのだろうかということである。
森田先生の弟子の古閑義之先生も、 「生の欲望の提唱は、森田先生の晩年において強く主張された重大な事項で、この生の欲望の提唱こそ、森田の神経質解明の根本理論であると主張してやまない」と言われています。

このことについて、家に帰ってから考えてみた。

テレビコマーシャルやインターネットがそれを盛んに煽っている。
知らず知らずのうちに、欲望を追い求める渦の中に巻き込まれている。
その欲望を叶えるために、過度にストレスの溜まる仕事を続けざるを得ない。
人間関係はいつもぎすぎすして対立的である。
そして身体疾患や精神障害で苦しむ人が増えている。
日本人全体がそのような考え方で染まってしまえば、それが当たり前な人間の生き方のように思うようになる。井の中の蛙現象が起きている。
次第に欲望が欲望を呼び寄せ、欲望が暴走しているにもかかわらず、そのことには全く気付かない。
これは、坂道でブレーキの壊れた自動車が疾走しているようなものである。
その上、アクセルを踏み込んでいるので、いずれ重大な事故につながる可能性が高い。

この方は欲望は無制限に追い求めてはならない。
人間には欲望があれば必ず不安も発生するようにできている。

調和を取り戻すためには、欲望の制御が必要な時代である。
この際、調和を取り戻すためには、「無欲の欲」という方針で臨む方がよいと言われているのではないのか。その方針で臨むとやっと調和がとれてくるということだ。

また欲望を制御すると、副産物として、小さなことで感動する場面が増えてくる。
路傍の花を見ても、雑草を見ても感動できるようになる。
他人の思いやりも身に染みる。

つまり神経質者にとって、五感や鋭い感性がますます発揮されるようになる。
私たちはその方向に舵を切ることが、味わいのある人生を送ることにつながるのではないのか。
その方が言いたいことは、人間には精神拮抗作用が備わっている。
欲望が強くなったときは、制御能力を発揮して、バランスのとれた中庸の生き方を目指すことが肝心であるということだと思う。
懇親会は時として生活に密着した素晴らしい話題がでてくるので外せないのである。





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Last updated  2018.12.21 23:48:52
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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