森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2019.04.22
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生後1歳6ヶ月までに形成されるという愛着の形成は、おおむね次のような段階を踏むと言われている。

1 、 自閉期
生後間もない赤ちゃんは、自分の心と身体、自分と母親との区別がまだつかない。

2 、共生期
母と子がくっつきあう時期で、このとき、母親と「一心同体」という融合体験を持っているか否かが、その後の自我の発達の基礎となる。

3 、分離開始
母親との融合関係が満たされると、母親からの分離が起こり始める。
この時期の子どもは、母親の顔や衣服のまさぐったり、自分の指をしゃぶったり、シーツを手探りしたりしている。
この移行対象に触れながら、母親と自分が一体ではなく分離したもので、自分とは別のものであるということを認識していく。


「いない・いないいないバー」は、母親との別れの練習とも言える。
急に大切なものがいなくなった! いや、やっぱりいた!という体験は、母親はいなくても現れるのだという安心感につながる。
8ヶ月頃から人見知りが始まるが、これは自分と対象とが分化して、見知った者には安心感、見知らない者には不安を感じるわけで、自我発達にとっては大切な経験である。

5 、分離過渡期を経て分離の完成
①養育者から離れて、自分独自の行動がより自由になる。
②動けることによって視界、つまり外界の見え方が一変し、子供は母親の膝を基地にして、出かけては戻るを繰り返して、次第に行動半径を広げて行く。

エリクソンは、基本的信頼関係を築くことが、乳児期の発達課題だとしました。
母親との信頼関係の獲得が核になって、身近な人への信頼、仲間への信頼、人間への信頼へと、信頼は大きく広がっていき、愛すること、他者のうちに自己を見出すことができるようになって、精神的に安定した人間に成長するのだと唱えました。

この発達過程を通過することなく成長すると、人間の基本的信頼関係を獲得することができなくなる。
これはイスラエルのキブツでの実験で明らかになっている。
人は自分に対していつも対立的で、自分に危害を加える存在のように感じるようになるのです。

そのために、外部の対象物に働きかけるよりも、自分を守るという自己防衛にエネルギーの大半を注がざるを得なくなる。森田でいう、「生の欲望の発揮」「物事本位」の生活が困難になってくるのです。
専守防衛的な生き方は、生産的、創造的、建設的な生き方ができなくなるので、じり貧で閉塞的な生き方になってしまう。生きている喜びや開放感が味わえなくなってくる。
1年6か月までの母親と乳幼児の関係が、その後のその子の人生に大きな影響を与えているというのは大変な驚きであるが、これは事実である。

愛着障害については、岡田尊司氏の「愛着障害」(光文社新書)の中に、「愛着スタイル診断テスト」がある。これによると、基本的には安定型、不安型、回避型の3つがある。
そして、そのバリエーションを含めて8種類に分類されている。

自分の状態が分かれば、あとは愛着障害の改善に向けて舵を切ることができる。
愛着障害は、ある程度修復可能だ。決してあきらめることはない。
そういう方向に向かわないと、他人はとてつもなく恐ろしいだけの存在となる。

その他の参考図書として、岡田尊司氏の「愛着障害の克服」光文社新書
「愛着障害は治りますか」愛甲修子 花風社
などを参照してもらいたい。





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Last updated  2024.04.07 17:18:08
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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