森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2019.09.25
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岡田尊司さんによると、生まれて間もない赤ちゃん、乳幼児にお母さんがどのように接したかによって、その後のその人の人生は大きく変わってくるという。
特に大切なのは、「応答的な反応」「共感的な応答」だといわれている。

「応答的な反応」というのは、スキンシップや抱っこと並んでとても重要だといわれる。
「応答的な反応」とは、子供が泣けば、すかさず注意を向けて、何か異変が起きていなてか、何を欲しがっているかと、対応することである。
子供が笑えば笑い返し、気持ちや関心を共有することである。

逆に、「応答的でない反応」とは、求めているのに無視する。
求めてもいないのに、親の都合で押し付けることである。
ミルク一つを与えるのでも、時間が来たのでそろそろ与えなければというのは、この応答性を無視したやり方である。
赤ちゃんが、おなかが空いたと泣いたときだけに与えるというのが、子供の主体性を尊重した、応答的な方法だといえる。


求めていないものが、いつも周囲の都合で与えられるということと、欲しいと思ったときに必要なものが必要なだけ与えられるのでは、まったく違う体験になってしまうのだ。
求められたら与えてくれる存在に対して、子供は安心感を持ち、安定した愛着を形成するようになる。
求めても与えてくれなかったり、求めていないのに勝手に押し付けたりする存在に対して、子供は違和感や不安を持ち、心からの信頼を育めない。
親のほうは、一生懸命世話しているつもりでも、子供は絶えず苦痛と違和感を強いられ、愛着は不安定なものとなる。
(生きるのが面倒くさい人 岡田尊司 朝日新書 115ページより要旨引用)

全く違うというよりは、依存的で自立心のない子供に成長していくのか、好奇心旺盛で活動的な子供に成長していくのか。その後の人生に大きな影響を与えてしまう。
「応答的な対応」をするためには、子供のそばを長時間離れてはいけない。
これはイスラエルのキブツの実験で、その弊害が証明されている。
次に、赤ちゃんをよく観察しなければいけない。
観察して、おなかが空いたのか、オシメを替えてほしいのか、抱っこしてほしいのか、近くにいてほしいのか見極めなければいけない。
赤ちゃんの欲しいものを適切に見極めて、適度に焦点の合った応答をしていくことが親の役目となる。

「ダメ」「もたもたしないで早くしなさい」「お母さんの言うことがどうして聞けないの」などと子供に指示命令するやり方も問題がある。


私はこの考え方は、森田理論学習の場にも応用できると思う。
自分がいくら森田理論に精通していても、相手を無視して理論を説明していても何の効果もない。
これでは相手に伝わらない。むしろ反発されることになる。
アドバイスする人の自己満足で終わってしまう。

傾聴、受容、共感の態度が大切となる。
そして、基本的には相手が質問してきた時に、質問内容にだけ答える。
もがいて苦しんでいるときに、適切なアドバイスを行う。
藁をもすがる窮地にいるとき、先の見通しが立たないときこそ、相手に響いてくるのである。

「応答的な対応」は常に相手がよく見えているということだと思う。
「応答的でない対応」とは、相手のことは眼中にはなく、自己満足の世界のことだ。
「かくあるべし」を相手に押し付けることになり、両者の溝はどんどん開いていく。
したがって人間関係はどんどん悪化していくことになる。

明日は「共感的応答」について投稿したい。





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Last updated  2019.09.25 06:30:09
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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