森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2019.09.28
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ある大手情報機器メーカーに勤務するAさんは、担当する携帯情報端末の商品企画分野では、自他ともに許すエキスパートで通っていた。
他者からも「○○にAあり」と名前を知られ、数少ない成長分野の商品企画責任者として前途洋々の人生である。このたび新たな携帯電話を開発し、一挙にマーケットシェアを上げたいと野心を燃やして新機種開発に取り組んだ。
彼は、ディスプレイに新しい技術を取り込んだ液晶を採用し、これによって他社との差別化をはかり、斬新な商品イメージを訴求しようとした。
ところが、生産が始まろうという段階になっても新液晶が入荷しない。
部品メーカーの担当者と連日の検討会議を行い、ひたすら督促しても納期に間に合わない。
商品開発スケジュールに大穴をあけてしまった。
すでに宣伝も開始し、販社あての事前告知もしている商品だから、Aさんの責任は大きい。
事業部長から厳重な訓告を受けたのも無理はない。そして、彼が専権を奮っていた商品企画セクションにもう一人責任者が入ることになり、彼の立場は著しく不安定になった。
「次の移動でどこに飛ばされるのか」と部内でも囁かれるきつい立場に追い込まれた。


あるいは、罪悪感で自分を責めたりする。そしてうつ病になる人もでてくるだろう。

一方、よい方に考える人はどうするだろう。
Aさんは迷惑をかけた担当者全員に謝罪した。
自分の責任を明確にしたうえで、二度とミスをしない方法を考え始めた。
部品メーカーの担当者を何度も訪ね、今後二度とトラブルが起きないようにするためにはどうすればよいのか徹底的に検討した。
Aさんの心の中ではもちろん、「馬鹿なことをやってしまった自分」に対する厳しい責任の突き詰めがあったのはもちろんだが、その次に「でも、金銭がからむ大損害でなくてよかった」「辞表まで行かずにすんで幸運だった」と考えた。
それを「今後の自分のための蓄積にして二度とミスを犯さないたたき台にしよう」とつなげた。
今まで順風満帆のエリートコースを歩んできた自分であったが、「この挫折を自分自身の試練と受け止めよう」と思えることができた。
最初は厳しい見方をしていた上司からも、失敗の中から生産技術の基礎をもう一度真摯に学び、二度とトラブルを起こすまいと努力している謙虚な姿勢が評価され、「もう一度チャンスを与えてみよう」と見直された。結果、彼は再び商品企画担当者の地位を維持できた。
同業他社が、その後ソフトの不具合でたびたび回収騒ぎを起こしているのに、Aさんの商品には一度もトラブルが起きていない。
(よいほうに考える技術 野口敬 すばる舎 147ページより引用)


我々は、目の前の不都合な事実を認めることができない。見ようともしない。
いいわけを繰り返し、人に責任転嫁をし、自分を責めてしまう。
これでは、決して事態は好転しないのです。
不都合で理不尽な現実、現状、事実を素直に認めて受け入れるということは、自分のマイナスの立ち位置を確認することだと思う。
たとえマイナスの立ち位置であっても、そこから這いあがっていくことができる。

意欲やモチュベーションが高まっていく。
一方、事実を認めないと、それをいかにごまかすかという方向にエネルギーを投入していくので、事態は益々不利に展開していくのである。自他ともに不幸を選択していくことになるのです。





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Last updated  2019.09.28 06:30:07
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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