森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2019.10.25
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​​​​ほとんどのスポーツにはコーチがついています。
野球、テニス、陸上、サッカーなどを見ているとコーチが選手に寄り添って指導しています。
ではコーチはどんな指導をしているのか。
あるいはどんなコーチが優れたコーチと云われているのか。
とても興味があります。

コーチングとは、ある人間が最大限の成績を上げるために、その人の潜在能力を開放することを云うそうです。これを具体的に説明してみましょう。

私たち一人一人は、まるで一粒種のようなものです。
種の中には、発芽、成長、開花、結実のすべての可能性がプログラムされています。
たった一粒の種から、何年もかけて大木へと育ち、そのプロセスで多くの実を生み出す驚異の能力を秘めています。ただし、大木へと育つためには、そのための環境が必要です。

まったく光が当たらないところでは、発芽しても大きく育つことは無理でしょう。
可能性を秘めたすべての人間には、能力を開花させ、結実に至らせる「環境」が必要なのです。
その環境を整えて提供するのがコーチの仕事です。

コーチの仕事をする人は、前提として次のような認識を持っているかどうかが肝心です。
次の2つの考え方を持っていないと、信頼され、成果を上げられるコーチにはなれないそうです。

​1、相手は「素晴らしい能力を有する存在である」と認めることです。​

2、人はだれでもよりよく生きること、よりよい仕事をすることを望んでいる存在であると認めることです。

(コーチングの技術 菅原裕子 講談社現代新書  29ページより要旨引用)

2は誰でも向上発展したいという欲望を持っているということです。
森田でいう「生の欲望」のことです。これはすぐに納得できると思います。

勘違いしやすいのは1です。今日はこの問題に絞って考えてみたいと思います。
相手はこのスポーツには向いていないのではないか。

相手に情熱や意欲が感じられないと、相手には能力がないと見放してしまうのです。
それでも指導するということになると、その人の気持ちを無視して、叱責し、スパルタ指導に陥ってしまいます。指導者の思い通りに選手をコントロールしようとしてしまうのです。
選手は指導者の言動に振り回されて、続けることが苦痛になってきます。

私たちは人間として生まれてきただけでも様々な可能性を秘めています。
私たち人間は、もともと優れた能力を持っています。


優れたコーチは、相手の練習、態度、普段の言動や生活ぶりを注意して観察するようになります。
その結果、相手の優れた点や問題点もとても詳しく分かっています。
そしてその人に合わせた指導の引き出しをいくつも持っています。
でも、相手が求めない限りは安易な指導はしません。じっと寄り添いながら観察を続けています。
相手が窮地に陥ってどうしても援助を必要とした時には、真っ先に飛んでいって初めて指導を行います。相手の現状を踏まえて、的確な指導をします。
指導というよりも、ヒントを与えるといったほうがよいかもしれません。
相手が少しでも興味や関心を持てるように刺激を与える。
夢や目標が持てるように一緒に考えてみる。
それに答えて、相手も気づき、工夫を思いついて、ますます熱中するようになります。

これが菅原さんの言われる「環境」を整えてあげるということではないでしょうか。
こういう気持ちを持っているコーチは、安易に相手を批判、叱責、否定することはなくなると思います。
私たちも、目の前の問題点や課題に対して投げやりな人を見て、「この人はダメな人だ」とレッテルを貼ってしまうことがあります。相手のことを早々と見限っているのですね。
そのうち、いつの間にか相手の存在や人間性までも否定してしまっています。
すると相手も敏感にそれを察知して、お互いの人間関係はどんどん悪化してきます。
これは森田でいえば、先入観と決めつけで、自分の「かくあるべし」を相手に押し付けていることになるのです。こんなことがあると、一生涯相手のことを恨むかもしれませんね。

森田理論を学習した人は、相手が苦しんでいるときに、決して相手を見捨てないで、寄り添ってあげられる人間になりたいものです。そういう包容力を身に着けたいものです。
相手がもがき苦しんでいるとき、今は彼や彼女は波の底にいるのだ。
落ち込んだ波は、そのうち必ず持ち上がってくるはずだ。
それを信じて、黙ってじっと待ってあげる。いつまでも寄り添ってあげる。
森田理論学習にコーチングを活用するとするとこういうことになるのではないでしょうか。

私の経験では、自分が神経症のどん底であえいでいた時に、親身になって話を聞いてくれた人のことは決して忘れません。側にいて見守っていてくれたことで救われたのです。
温かくて居心地のよい包容力のようなものに救われたのです。
いつまでも見捨てないで見守っていてくれてありがとうという気持ちです。
苦しいときは、そういう人の存在がとてもありがたいのです。
今度は私がその役割を果たすべき時が来ているのだと思っています。
​​​​





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Last updated  2019.10.25 06:20:06
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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