森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.02.01
XML
登山家の野口健さんのお話です。

毎年5月下旬になればヒマラヤは雨季がやってくる。
曇りの日が多くなる。雪崩が多くなり、遭難する確率が高くなってくるのです。
そうなると、欧米から来た登山家は、早々にあきらめて帰国する。
日本や韓国の登山隊は簡単にはあきらめない。
事態が好転しなくなって、日本隊は無念のまま撤退する。
韓国隊は「なにがなんでも登頂する」と、悪天候の中を突っ込み、遭難者を出す。
韓国人登山家に、「何で韓国隊は悪天候の中を突っ込むのか」と聞いたら、「我々は国を背負っている。登らないと国に帰れない」と答えたという。

つまり、「目標達成至上主義」という「かくあるべし」にとらわれて、勇気ある撤退ができないのだ。

後の7割は途中で撤退、ないしは遭難で失敗に終わっている。
勇気ある撤退ができないで、雪崩に巻き込まれる、酸素不足、凍傷などにかかるとすぐに死に直結する。
そうなれば2度とチャンスはやってこない。
ヒマラヤにはカチカチに凍った遭難者の遺体がたくさん放置してあるという。

登山家として世界的に有名だった植村直己さんが、厳冬のマッキンリーで消息を絶った。
雪洞の中で発見された日記には、「なにがなんでもマッキンリーに登るぞ」と書いてあったそうだ。
「凍傷にやられた」と追い詰められていく様子が克明に記録されていたにもかかわらず、植村氏は頂上を目指し、行方不明になった。
野口健さんや植村さんの奥さんは、「自滅だと思います」と語っている。
どうして、世界的に有名な登山家である植村さんが「なにがなんでもマッキンリーに登る」と日記に書いていたのか。
植村さんは、マッキンリーに挑戦する前に、冬季エベレスト、南極大陸横断と立て続けに結果を出せないでいた。すると、それまで応援してくれていたスポンサー契約が打ち切られた。
さらにマスコミから評価されるどころか、無謀な挑戦とこき下ろされるようになった。


スポンサーやマスコミからは結果至上主義を押し付けられた。
それを後押しするように、自分自身にも結果のみを求める「かくあるべし」を押し付けていった。
不死身ではない人間がこのような「かくあるべし」に立ち向かっては勝ち目がないのは自明の事実である。「かくあるべし」が一人の世界的に評価の高かった登山家の命を奪ってしまったのだ。
(自然と国家と人間と 野口健 日経プレミヤシリーズ参照)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2020.02.01 06:20:07
コメントを書く
[「かくあるべし」の発生] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

知らぬ間に立派な大… 楽天星no1さん

泉佐野フィルムフェ… へこきもとさん

激しい運動の後、疲… メルトスライム25さん

神経症を克服します♪ ROSE33333さん
「私」がいる幸せ えみこた2さん

Profile

森田生涯

森田生涯

Comments

kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: