森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.03.23
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森田先生は「具体的に話す」ことを指導されている。

具体的ということについて説明すれば、たとえば「生活を正規にせねばならぬ」とか、「精神を常に緊張していよ」とか、そんなことは抽象的のことで、実際には何の役にも立たない。
ここではその事を例えば、「7時間以上、寝てはいけない」とか、「終日戸外にいるように」とかいう風に、具体的に教えて、それで立派に生活正規、精神緊張の結果が得られるのであります。
これを抽象的に言うようでは、私のいわゆる思想の矛盾で、かえってその結果は思うようにならないのであります。(森田全集第5巻 90ページ)

森田先生は具体性を欠いて、抽象的な話をすることを大変嫌っておられた。
これを循環論理と言っておられる。
神経症の患者に、「どこが悪いか」と聞くと、「神経衰弱だ」という。
「それでは分からぬ。まず症状をいうように」といえば、「物が気になる。いろいろのことが苦しい」と答える。「ともかくも、何が一番苦しくて、第一に治したい事は」と反論すれば、「神経衰弱を治してもらいたい」という。
これを循環理論といって、果てしのないことである。

この時に、何が気になり、それをどのように改良したいかという事を、具体的に実際に追及していけば、初めて煩悶がなくなって、ともかくも、ある一定の方向に、活路が見出されるようになる。
(森田全集第5巻 517ページより要旨引用)

学習会でも、自己紹介などで、「私は対人恐怖症です」などと抽象的な話をする人が多いのが現状です。
話することが恥ずかしいのか、隠しておきたいのか、話すことが面倒なのか分かりませんが大変残念なことです。少なくとも森田が目指している方向ではありません。

ある商工会で、県内の企業348人を対象に、言葉のイメージを調査したそうです。
その一例を紹介しましょう。
大勢とは何人ぐらいでしょうか。回答は、最多が1万人、最小が4人だったそうです。
おじさんは何歳以上の人のことを指しますか。最高は78歳。最小は22歳。
長電話の時間はどれぐらいのことを言いますか。最長は10時間。最小は2分。
つまり会話の中で、大勢、長電話、年寄りなどの抽象的な言葉を使っていると、受け取る人によってさまざまで、発信者の正確な意図はほとんど伝わらないということです。

「みんながそう言っている」という言葉をよく聞きますが、実態を確かめてみると友達の一人だけがそういっていた。私もその話に賛同した。

これを誰それさんが「こう言っていた」「私もその通りだと思う」「その考えを支持します」と具体的に話すればまちがって伝わることはありません。

具体的に話すという態度の獲得は、事実本位の生活態度を身につけるための出発点となります。
事実をよく観測する。具体的に話す。隠しごとをしないで赤裸々に話す。いいわけをしないで話すことは、事実本位の生活態度を身につけるための関門となるわけです。





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Last updated  2020.03.23 06:20:05
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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