森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.04.29
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2017年10月22日に書痙の行方幸吉氏の話を投稿をした。
行方氏は、書痙を治すためにドクターショッピングを繰り返したが治らなかった。
万策尽き果てて、最初は森田先生のところに入院された。
よくならなかった。次に京都の宇佐先生のところに入院された。
そこで森田の言わんとすることがよく分かったといわれている。

行方氏は、森田療法で書痙そのものは、ついに治すことができなかったといわれている。
かっこよく上手に字を書こうと思えば、いつも字が震える。
しかし、書痙にとらわれて、仕事から逃げ出すことはしなかった。
ここが肝心なところだ。与えられた仕事に一生懸命に取り組んだ。

その時に思ったことは、字を書く以外の仕事で、人並み以上に働いてみようと思った。
そして次々と成果を上げて、ついに朝日生命の社長にまで出世されたのである。

もしあの時、私がいつまでも主観的な気分に支配されて、会社に出ることをしり込みしていたら、今の自分はどうなっていたであろうか。
おそらく、生ける屍となって、一族の持て余し者になっていたであろうと思うといわれている。

その行方さんが次のような話をされている。
健康増進部の課長は、人の悪口などは決して言うことができない。
産業医の診察の報告があまりにも簡単すぎで整理できないといつも愚痴をこぼしていた。
課長は産業医に遠回しに訴えるけれども、産業医は全く気が付かない。
私は課長からその話を聞いて、それは何でもない。
私から言いましょうということで、産業医に実情をありのままに話しました。
すると、「ああそうかなあ、なるほど、それは気がつかなかった。それで数年間、問題になっているとは思いがけなかった」といって、さっぱりしたものである。


先日もある料亭で、社から沢山の名士に御馳走をしたことがある。
私は課長と一緒に接待役を頼まれた。
課長は、接待後のお客様の足を心配されて、タクシーを20台も待機させると言う。
これを私が請け負って、お客様に一人一人伺って、「自動車はいかがでしょうか」と尋ねれば、「私はいらない」という人も多かった。
また方向が同じという方には、同乗の段取りを取り付けた。

僕は簡単である。先方もさほど悪くは思わぬらしい。

行方さんは問題点や課題を認識されて、それを解決するためにどうすればよいかと考えられている。そして考えたことを実際に行動に移されている。
かたや課長さんのほうは、観念の世界でやりくりするばかりで、一人で相撲を取っているようなものである。これは森田理論でいうと循環理論という。
「こまった」「どうしよう」という考えが行ったり来たりするのである。
これでは不安が増悪し、イライラして精神状態が悪くなるばかりだ。
どちらが神経症になりやすいかといえば、当然課長さんのほうである。
行方さんは、「こまった」状態を、解決するにはどうすればよいのかと考えられた。
今の困った現状を明確にさせて、そこから目線を上げて考えておられる。
このことを森田理論では、事実に立脚した生活態度という。
観念一辺倒から、実践・行動に重きを置いた生活になっている。
問題や課題が次々に解決して、仕事の好循環に入っている。
神経症を克服すると、ことさら強調しなくても、結果として「事実本位」の仕事ぶりになっているのだ。これを別の言葉でいえば「物事本位」ともいうのである。





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Last updated  2020.04.29 07:43:25
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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