森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.07.14
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山野井房一郎さんが入院中の時、戸村さんという人がいた。

その戸村さんが、あるとき婆やから、庭にある2坪ばかりのニラ畑から、おみおつけに入れるニラをとってくるように頼まれました。
戸村さんは、婆やに、「何に入れてくるんだい」と聞いている。
40過ぎの大人がいちいち聞くことがとみておりました。
婆やは、直径50~60センチもある浅い大きなザルを出してきて「じゃこれに入れてきてください」と言いました。
戸村さんは、「ヨシ、とってくるぞ」といって大きなザルを持って駆け出していきました。
しばらくして「婆やとってきたぞ」というので見ましたら、ザルに山盛りにしてあります。
婆やは、それを見まして、びっくりしまして、「お父っつあん、みんなとってきたのかい」とききましたら、「めんどくさいから全部とってきちゃったよ」と平気で言います。
これには婆やも驚きまして、「お父っつあんはまあ、大変なことをしてくれたものだ」「あんたはしばらく入院だね」というわけです。(生活の発見誌 6月号24ページ)


たぶん子供のころから、過保護に育てられたのだと思われます。
山野井さんは、子供などはあまり大事にしすぎると、何にもできない子供になると指摘されています。少々時間がかかっても、子供ができることを、親が先取りしてしまうと、こんな子供になりますよという見本のような人だった。学校を卒業すると、親から離れて自立して生きていくことになりますが、これでは精神的にも経済的にも親から自立することはできません。
子供ができたら、過保護、過干渉、放任、ネグレクトはご法度です。
基本的には、子供のそばにいて、子供の自立心が育っているのを見守る態度が欠かせません。
一生親に依存する生き方は思い悩むこともなく、安楽な人生に見えますが、砂を噛むような味気ない人生になります。

婆やは味噌汁に入れるニラをとってきてくれと頼んだのに、ザルいっぱいに摘み取ったのはどう考えたらよいのでしょうか。これはお使い根性の仕事だと思います。
言われたことをこなせばよい。少々やりすぎたとしても文句をいわれる筋合いのものではない。
むしろ「よくやった」と誉めてもらえるかもしれないと思っている。
物事本位になっていない。
普通お使い根性の仕事は、言われたことをイヤイヤこなすというものです。
この場合は、エネルギーが有り余っているので、行動に弾みがついて暴走しているのです。


森田では気分がいくら拒否しても、必要なことを必要なだけ手掛けることを大事にしています。
手掛けた行動に、弾みがついて、のめりこんでいくことは問題が生じます。
反対に、気分が乗らなければ、全く行動する気にもならないというのも困ったものです。
どちらの方向に行っても、問題になります。

こういう人は、森田の「欲望と不安」の単元をよく学習してもらいたいと思います。





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Last updated  2020.07.14 06:20:05
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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