森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.08.02
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カテゴリ: 行動のポイント
森田先生が次のように言われている。

ここで入院中に、誰か、僕から、何か教えられた事があるか、思い出して御覧なさい。
黒川大尉そのほかの人で、「ここで何物をも得なかった」という事を、よく告白することがありますが、それは少しも教えられた事がないからである。
(森田全集第5巻 355ページ)

普通は高い診察料や入院費を負担している人は、入院しているだけで神経症は克服できると思います。ところが、入院してみると炊事、掃除、洗濯をさせられる。
ニワトリやウサギの餌を野菜市場で集めてくるように言われる。
下肥の汲み取り作業もさせられる。
プライドの高い人たちにとっては、どうして高額のお金を支払っているのに、こんなつまらない家事をしなければならないのか。情けなくて、悔しくて涙が出てきたというのです。
どうして神経症を治すための森田理論を系統立てて教えてくれないのか。


1919年に森田理論は確立されており、森田理論を叩きこんで、その後実行や実践をさせるという方法も可能であったのです。
森田先生はその方法はとられなかったということです。
あくまでも実行や実践を優先させた。
実行や実践ができるようになると、理論的なことは分からなくても全治者として退院させたということです。これは驚くべきことです。

理論の裏付けは形外会という元入院者の交流会兼勉強会でされていた。
ここでも、系統立てた森田理論をシリーズ化して講話するというものではなかった。
集まった人たちの話の中から、森田理論のポイントをその都度お話しするというスタイルだった。もっと言えば、自分の生活をありのままに見せることで、その後ろ姿を見て森田理論を理解させるという方法をとられていた。

それを実際に理論化されたのは高良武久先生だったというべきであろう。
こうしてみると森田先生は根っからの臨床医であったということです。
東北大学の丸井先生のような学者タイプではなかったということです。

これは私たちの森田理論学習のすすめ方の問題提起をされていると思う。

このやり方で問題ありませんかということです。

森田理論のことは隅から隅まで理解しているが、「今落ち込んでいます」「深夜までネットゲームをたのしんでいます」「パチンコが唯一の趣味です」「毎日暇をもてあましています」などと言う話が出ていることをどう理解すればよいのか。
これは学習と実行が完全に分断されているという事ではないか。
あまりにも観念的になっているのではないか。

理論と行動は車の両輪といわれますが、理論のほうにおおきな車輪がついて、実行、実践、行動の車輪があまりにも小さすぎる。すると行動の周りを理論の車がいつまでも回り続けている。


森田先生が教えていることは、理論があまりにも肥大化している状態では、理論学習は中止して、実行、実践、行動にエネルギーの大半を投入しなさい。
そして将来的には、理論と行動の車輪の大きさを整えなさいという事だと思います。
そうしないと前進できない。葛藤や苦悩が増悪していく。
それを解消するために、益々森田理論学習の深耕に拍車をかける。
悪循環になっているのです。
実践や行動が習慣化されたときに、後付けで森田理論で補強できると鬼に金棒となる。
本当の意味で森田理論が役に立つのである。





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Last updated  2020.08.02 06:20:06
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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