森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.08.18
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カテゴリ: 感情の法則
私たちは、湧き上がってくる感情に対して、是非善悪の価値判断を下しているのではないでしょうか。よくない感情に対しては、無意識のうちに、なかったものとして取り扱う傾向があるのではないでしょうか。

それを具体的に見てみましょう。
例えば両親が、相互に愛し合っていない家庭に生まれたとしましょう。
しかし両親は愛し合っているふりを続けていて、離婚しません。
そうすると、その家では、両親が互いに愛し合っていない、ということが、最大の秘密になります。そのことにだけは、誰も気づいて言葉にすることはタブーになります。

しかし子どもは、否応なしに両者の間の愛情の欠如を感じてしまいます。
なぜならそれが実際に目の前に起きていることだからです。
同時に子どもは、その事実が決して気づいてはならぬ、口にしてはならぬことだということも感じます。なぜならそういうタブーが現実に存在するからです。
かくして子どもは、自分が抱いているこの感情は、決して抱いてはならぬものである、ということも感じます。自然な感情を知らず知らずのうちに抑圧するようになるのです。


もしも自分が感じていることを口にしてしまえば、子どもが住む世界である家庭が崩壊してしまうからです。子どもにはそんなことはできません。
そこで子どもは、親の無言の要請に応じて、「両親は愛し合ってなどいない」という厳然たる事実に基づいた感情を否定し、「そんなことを感じてしまう自分は、悪い子だ」というストーリーを組み上げ、自らの感情を封印してしまうのです。
(生きる技法 安冨渉 青灯社 152ページより引用)

この指摘は、森田理論の感情の法則を考えるヒントを与えてくれています。
本来湧き上がってくる感情には、良いも悪いもないはずです。
それを自分の都合によって価値判断を下して、悪い感情と判定したものは、封印しようとしているのです。このようにして湧き上がってくる感情を取捨選別しているとどうなるでしょうか。
封印しようとすればするほど、注意や意識がそこに吸い寄せられてしまうようになります。
そしてその悪い感情を、自分の体の中に勝手に入り込んだ異物として取り扱うようになります。
異物は排除しないと自分に悪影響を与えますので、排除しようとするのです。
不安や恐怖を敵とみなして闘いを始めることになります。
どうにもならない相手と判断すると、今度は逃げ回ることになります。


あらゆる感情は自然現象です。
人間の意志の力ではどうすることもできません。
土砂災害などに対しては、砂防ダムを造る。
河川の氾濫に対しては、川底の土砂の堆積を取り除く。
堤防を強固に補強し、できればかさ上げする。


しかし、できる限りの対策を取った後は、基本的に自然現象を受け入れるしかありません。
この謙虚な姿勢を持つことが肝心です。
自然現象である感情の発生は、価値批判しないでまるごと受け入れる。
最後まで抑圧しようとすると、感情が暴れ馬のように暴走するのです。
自分や他人を巻き込んで悲惨な状態になります。
感情の取り扱い方は森田理論で学習することが肝心です。
学習すれば容易に分かるようになります。





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Last updated  2020.08.18 06:20:04
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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