森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.08.24
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カテゴリ: 森田番外編
プロ野球のファンの人で、ひいきのチームが負けるとイライラして不機嫌になる人がいます。
負け試合を振り返って、監督や選手の批判を始めます。
選手の采配や、チャンスに凡退した選手をこき下ろすのです。
辛辣な解説者や評論家のようです。
それでも憤懣やるかたない不快感はどうすることもできません。
その日のプロ野球ニースは見る気にもならない。
次の日の朝刊も見る気にもならない。
次の日も不快な感情でいっぱいで生活や仕事、対人関係に悪影響を及ぼしています。
ストレスを発散するはずの野球観戦が、逆に自分の精神状態を混乱させている。


こういう人は、ひいきのチームが勝って、存分に快の感情を味わいたいのです。
ところが勝負事には負けることもあります。
しかし負けてしまうと、不快感という不利益をまき散らすので、決して受け入れることができないのです。ましてやイライラや不機嫌な精神状態は、同時に身体面の不調も招いてしまうのでなおさら許せないのです。
スカパーを契約して全試合を見ている人や年間指定席券を買って球場に出かけて応援している人などは、その傾向が強いと思われます。
かわいさ余って憎さ100倍といった感じです。

これは境界性人格障害を持った人とよく似ています。
過剰に誉めたかと思うと、気に入らないことがあると、手のひらを変えたようにこき下ろすのです。感情の起伏が激しすぎて、人間関係がすぐに壊れてしまうのです。

そんな不快な感情に振り回されるのが嫌なら最初から観戦などしなければよいと思うのですが、試合のある日は朝から楽しみにしているのです。
これは勝てば何とも言えない至福の心境に至ることを神経細胞が覚えているからです。
これは脳の快楽神経系(エーテン神経)にきっちりと埋め込まれており、たびたびその快感を味わいたいという神経の仕組みが出来上がっているのです。

この状況は程度の差はありますが、一種のプロ野球観戦依存症といわれるものです。

最初何気なく始めたことが、得も言われぬ快感になり、しだいにのめりこんでいくというものです。そのうちそれなしでは生きていけなくなる。
最悪の場合、自己破産、家族崩壊、刑事沙汰、精神的・身体的不具合を起こします。
いったん依存症に陥ると、そんなことは分かっていても、自分の力で抜け出すことは大変難しい。もがけばもがくほどアリ地獄の底へと落ちていく。

それはドーパミンなどの神経伝達物質がエーテン神経を刺激して、快楽を得続けるというシステムが常時作動しているからです。
もしこれを遮断すると、精神的にイライラしてじっとしていられなくなる。

そして、さらにのめりこんでいくようになる。エスカレートして使用量が増える。

アルコール依存症になると、医師の指導の下に回復を目指すことになる。
断酒会に入って仲間同士で励ましあう。その時は完全にアルコールは絶つそうだ。
一滴でもアルコールを体内に入れると、脳が目覚めて元の木阿弥になる。

プロ野球観戦依存症はそこまで行きつくことはないと思うが、その心理的メカニズムは他の重篤な依存症に近いという事を自覚しておくことが必要だと思います。





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Last updated  2020.08.24 07:45:40
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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