森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.09.02
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禅僧の枡野俊明さんのお話です。

昔の寺には、必ず石臼というのがありました。
胡麻やさまざまな食材を砕いたりするものです。
食事の支度をするときにはなくてはならない道具の一つでした。
しかしその石臼とて、永遠に使えるものではありません。
30年も40年も使っていれば、やがては表面が摩耗していきます。
少しずつ減っていく石臼は、もう粉をひくには役に立ちません。
あるいは長年使い続けていれば、割れてしまうこともあります。
自然のものですから、それも当たり前のことです。


役に立たなくなったからといって捨てることはありません。
石臼としての命は終わってしまいましたが、次なる役目は何かを考えます。
そこで割れた石臼を漬物石として使うのです。

そうしてさらに30年も漬物石として働いた石は、いつの間にか角が欠けてきて小さくなっていきます。重みが足りなくなった石は、もう漬物石としての役割を果たすことができません。

そこで僧侶たちは考えます。
何とかしてこの石を活かすことはできないだろうかと。
そこで小さくなったその石を、庭に設えるわけです。
水はけの悪いところに置けば、雨のときには石の上を歩くことで足は濡れません。
あるいは飛び石のように設えれば、庭には新しい表情が生まれてきます。

これは禅でいうところの「見立て」というものです。
ものを大切にする心は、きっと人を大切にする心につながっていくのだと思います。


森田理論でいえば、「物の性を尽くす」ということですね。
「物の性を尽くす」ことは、そのものの持っている潜在能力や価値を再発見して、命のある限り活用していくということです。「石ころにも命あり」という話を聞いたことがあります。
この石臼は、石臼冥利に尽きますね。その石臼の潜在能力や価値を見立てた僧侶の人も、物だけではなく、自分、他人、時間、お金などの有効活用を絶えず考えている人だろうと思います。
そういう人はないものねだりをしない人です。欲望が暴走しない人です。
あらゆるものの命を大切にして、人の役に立つ実践を心から喜ぶことができる人です。





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Last updated  2024.06.04 10:30:56
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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