森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.10.01
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2020年8月22日の中国新聞の朝刊に、相手からの頼み事や依頼に対して、自分が後腐れなく気分よく、相手にも不快感を抱かせない断り方についての記事があった。
これを森田理論の立場から説明してみたい。

まず、なぜ相手の頼みごとや依頼ごとをあっさりと断れないのか。
それは、相手が気分を害して人間関係が悪くなるのではないかと恐れているのです。
特に職場などの上司から頼まれると、「断ると今後の仕事に響くのではないか」とか、「自分が困った時に助けてもらえないのではないか」などと考えてしまうのです。
そこで自分の本音(素直な気持ちや感情)を抑圧し、否定してしまうのです。
人間関係に波風が立つことを恐れているのです。

そんな関係を続けていると、相手に一方的に支配されてしまうということが起こります。
自分の陣地がどんどん浸食されていくようなイメージです。


なんでも「はいはい」と賛同して、自分の言いなりになってくれる人は上司や支配者にとってはやりやすい人です。少々の無理難題を吹っかけても、断ったり反対されることはない。
安全パイとして、普段は意識することが少なくなります。空気のような存在です。
対等な交渉相手とは思わなくなります。子分のような存在だと思ってしまう。
これが後々大きな問題になるのです。

子分は子分のままに生きていけば、命は保証されるかもしれない。
しかし、意思や意欲を持った人間にとっては、針の筵に座っているような状況になる。
そんな生き方は、生の欲望の強い神経質性格者にとっては、我慢できないと思います。
自分の言いたいことを主張して、やりやいことに積極的に取り組んでいきたいという特徴を持った人間だからです。

最初安易な気持ちでとった対応によって、支配被支配の関係が出来上がってしまうと、以後改善することは大変難しくなります。
上司は、あなたがいつも無理を受け入れていたために、かえって「無理をしていた」と気づかない可能性が高い。主体性のない従順な人間だと決めつけている可能性があります。
たまに反発すると裏切られたような気持になるのです。


一回ぐらいは、自分の気持ちを尊重してくれてもいいのではないか思ってしまうのです。
無理を重ねた挙句に関係性が悪化するのですからたまりませんね。
一旦そういう関係性が出来上がってしまうと、覆すことは難しいということです。

もし意を決して、相手の依頼を断ってしまうと、上司や支配者は反逆者、裏切り者として認識することになります。そして態度を豹変させて、反撃を加えることになります。
他の仲間と徒党を組んで仲間から排除するようになるのです。


では森田理論では、この問題についてどう説明しているのか。
人間が二人以上いる時は、意見の対立があるのは当たり前のことだと考えています。
その対立をどのように取り扱うかが、ここで問われています。
方法として、まず自分の考えや気持ちを相手に押し付けることが考えられます。
これは自分の「かくあるべし」を無理やり相手に押し付ける方法です。
当然言い争いになります。喧嘩になります。犬猿の仲になります。
この方法はお互いにエネルギーを消耗して、自滅の道をまっしぐらといった感じです。

もう一つは、自分の考えや気持ちを前面に出すと同時に、相手の考えや気持ちを吐き出させるという方法です。そして、どこに見解の相違があるのか確かめるという作業を行う。
その溝を埋めるために双方が努力して歩み寄るための話し合いをする。
少々の不満が残っても、ある程度のところで妥協する。
その結果に基づいて行動を開始する。

相手から依頼されたことについては、その依頼内容をよく把握する。
納期はいつまでか、自分が適任なのか、能力的に可能なのか状況判断をする。
その際、肝心なことは、自分の都合や自分の気持ちを優先することです。
決して自分の素直や気持ちや感情を抑圧し、無視してはいけない。
その気持ちを相手に伝えることも大切です。

相手の役に立ちたい気持ちは、もともとあるわけですが、自分の本音の部分を第一に大切にしたい。そういう気持ちがあれば、自分の気持ちに反した、安請け合いはしないと思います。
安請け合いをして、自分の正直な気持ちにうそをつくから苦しくなるのです。

今はこの仕事を急いで仕上げないといけないので、申し訳ないが手伝えない。
この後、友達との予定があるので、急にキャンセルはできません。
今日は残業続きで気がめいっているので、気力がわいてこない。
その代わり、あと2時間ほど待っていただければなんとか時間を作ります。
明日は予定がありませんので、明日でよければ引き受けます。
休息をとってエネルギーが回復すれば、お引き受けします。
自分の都合と相手の都合の綱引きをして、ある程度のところで妥協点を見つける態度が欠かせないと思います。これは一般的にはwin winの人間関係作りといわれています。





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Last updated  2024.06.03 22:53:18
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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