森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.11.12
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形外会で野村先生のお話です。

私の知人に、耳鼻科の医者で、飛行機の二等操縦士の人がある。
飛行機に乗った時の心理を聞きました。
雲が非常に恐ろしいそうです。
雲に包まれると、とんでもないところを、飛んでいるのではないかと、実に不安だそうです。
ある時は、雨が降ってきて雲の上に出た。
ところが雲の切れ目がない。
見渡すかぎり、茫々たる海原のようです。
そのうちに、広い大洋の上を実際に飛んでいるような気持になってしまい、どこかに着陸する海岸はないかとあせった。島が一つ見えたので着陸したら、それは雲の上に出た赤城山で、そこに墜落したそうです。今までは、操縦者の感じに重きを置いていたが、誤りが多いのでこの頃は機械に従うように訓練しているそうです。


飛行機に乗ると不安になって、なかなか落ち着かない。
不安でないようにしようとしてもできません。
それで飛行機の上では、難しいことは、全く考えられなくなる。
込み入った計算などは、とてもできないので、進路なども前に精細に計算しておいて、飛行機の上では簡単なことしかやりません。
私一人がそうかと思ったら、聞けば誰でもそうだそうです。
(森田全集第5巻 528ページより引用)

疑心暗鬼になると、事実が見えなくなる。
パニックになって、自分の都合に合わせて、事実を捏造してしまう。
事実よりも虚偽に身をゆだねてしまい、最後には自滅してしまうということだと思います。

私は濃霧の中で車を運転したことがあります。
10メートル先も見えないのです。

それでも対向車とぶつかるのではないか。
道路をはみ出して、谷底に転落するのではないかと疑心暗鬼になるのです。
目隠しをして車を運転しているようなものですから、当然不安になります。
そうなりますと、不安が憶測を呼んで、より悪い事態を想像してパニックになるのです。
このように事実が見えない。事実が分からないことはとても怖いことです。


白いラインが消えかかっている道路はなおさらです。
夜間で雨降りの運転はさらに恐怖です。
知らない土地で悪条件が重なった運転は、生きた心地がしません。
パニックがさらに大きなパニックを呼び寄せて、事故につながることもあるのです。

こういう悪条件の重なった時は、運転をしないことが大切だと思います。
そういうゆとりを持つことが大事です。
翌日、快晴になって、視界がよくなってから運転すれば、不安もないし、事故も起きません。
さらに一泊して出費が多くなっても、命には代えられません。

これは、普段の生活の中で起きる不安に対しても同様です。
あせり、慌てふためくことで、事実はますます混迷の度を増します。
また事実を先入観や思い込みで決めつけてしまうことは大変危険です。
森田理論では、事実をよく観察する。自分の目で確認する。
事実かどうか実験して確かめる。
他人の話を鵜呑みにすることは間違いが多くなる。
自分が現地に足を運んで確認することが大切である。
事実唯真というのは、「かくあるべし」が入り込む余地がないぐらい、それに注力することが求められるのだと思います。
事実は軽々しく取り扱うことがあってはならないと思います。
念には念を入れて、真実を知ろうとするその態度が、安楽な生き方につながるのです。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」というのは、事実確認ができないときに、慌てふためくさまを的確に現しています。





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Last updated  2020.11.12 06:20:05
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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