森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.01.25
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森田先生は西郷隆盛を高く評価しておられます。

そこで私は、現在西郷隆盛の研究をしています。
ここでは気が付いた3点を紹介したいと思います。

こんなエピソードがあります。
西郷さんは漢詩をたくさん作られて、揮毫されている。
なんでも鑑定団などでよくお目にかかるが真筆のものは高値が付く。

ある時永田さんという人から漢詩を頼まれて揮毫している。
それを永田さんは、元薩摩藩士で後に京都府知事などを務めた中井弘さんに見せた。
その中に、「子孫に美田を買わず」という文言があった。

むっとした永田さんは挨拶も早々に辞去してしまう。
そしてそのことをさっそく西郷さん本人に話してしまった。
普通は自分の考えを真っ向から否定されると苦々しく思うのではなかろうか。

後日、中井弘氏は西郷隆盛に会った。気まずかったに違いない。
しかし、その時、西郷さんは次のように言い放ったという。
「あなたは、先日私の漢詩の内容について強く非難したそうだが、私は元々漢詩を作るのは下手なんだよ」と鹿児島弁で話したという。

漢詩の内容について、中井さんにこんこんと説明するわけでもない。
相手の言動を真っ向から非難するわけでもない。
身分から言えば、西郷さんは新政府の陸軍大将まで上り詰めた人だから、そうであっても不思議ではない。それなのに相手を批判することもなく、ユーモアというオブラートに包んで返答したというのである。このエピソードのような対人関係が西郷さんの普段の態度なのだ。

つまり「かくあるべし」を前面に出して、相手とやりあうことがなかったということなのです。
喧々諤々の議論の時は、静かにみんなの話をじっくりと聞いていることが多かった。

むしろ先見の明があり、自分の考えはしっかり持っていた。
ただそれを前面に出すということはされなかったということだ。
流れに身を任せていたということだ。

しかし衆目一致した結論が出ると、意に添わなくても今度は自分がリーダーとなって先頭に立って行動する。それが間違いかも知れないと思っても、立場上責任を全うするべく最大限の努力をする。これはなかなかできることではないと思う。

次に、明治維新の時は、数々の実績を上げておられます。

ところが西郷さんは、征韓論で敗れると、いつの間にかいなくなり鹿児島に帰ってしまう。
帰省してからは、学校を開いて教育をはじめる。また農業と開墾に精を出す。
私は農業始めたというところに共感が持てる。
西郷さんは、「命もいらず、名誉もいらず、官位もいらず、金もいらない」という気持ちが強かったようです。欲望が暴走している人に、国家の大業はなし得ないとまで言っている。
欲望を抑制する中に本来の人間の生き方があることを見抜いていたのではないかと思う。

3点目として、「我が身は天物なり」と言っている。
「敬天愛人」というのが西郷さんの思想の根幹にある。
私なりに解釈すると、天を敬うということは、2600年も続いてきた天皇制を中心とした日本の国体、日本人の心意気を大切にするということではないか。一人一人の人間の存在や国民の生活を第一にするという考え方である。自然の変化に服従する生き方である。

「我が身は天物なり」というのは、自分の心身は、神様からの預かりものであるという考え方ではないでしょうか。預かりものであるからいずれお返ししなければならない。
預かりものだからこそ大切に取り扱い、精いっぱい活用させてもらう。
そして預かったときよりもさらに磨きをかけてお返しするのだという強い決意が感じられます。
森田理論に照らし合わせてみても、素晴らしい人物であると思います。
さらに西郷隆盛研究を続けていきたい。





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Last updated  2021.01.25 23:45:37
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