森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.05.22
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親鸞聖人の言葉に「悪人正機」説というのがあります。

難しい言葉です。森田理論に近い言葉なので、あえて取り上げてみました。
ここでいう「悪人」というのは、オレオレ詐欺やひき逃げ事故、殺人事件などを起こした極悪非道な人のことではありません。

他の動植物の生命を無理やり奪って、生きながらえている人間そのもののことです。
さらに欲望に目がくらんで、自己中心を前面に押し出して生活している人間のことです。
親鸞聖人の言葉でいえば、煩悩を持って生きている私たち自身のことです。
どこまでも我利我欲にまみれながら生きている私たち自身のことです。
そういう意味で、この世で普通に生活している私たち自身のことです。

人間というのは他の生き物を殺生して、初めて命がつながるという宿命を持った生き物です。

そういう意味では、少し手を抜くと、自己中心的な欲望は暴走してしまいがちです。
どうすることもできない欲望に縛られて生きている私たち自身が「悪人」なのです。

「正機」というのは、阿弥陀様はこの悪人こそ、精神的に救うべき対象としているということです。悪人いうのは、自分は多くの動植物や、他の人に迷惑をかけながらこの世で生きながらえているという自覚をもっている人のことです。そういう心掛けの人は、精神的に安定した境地に達することができるということだと思います。

このことは森田理論に照らして考えると、欲望はどんどん弾みがついて暴走する危険性を孕んでいます。生の欲望の発揮と言いますが、無制限に追い求めてはいけない。
私たち人間には、精神拮抗作用という欲望を制御する機能も標準装備されています。
それを活用して、無制限な欲望の追及は制御していく必要がある。
つまり欲望は不安を活用して、バランスや調和を目指していく必要があるということです。
浄土真宗の場合は、念仏を唱えることで阿弥陀様がその方向に導いてくれます。
私たちの場合は、森田理論を学び、生活に応用することで可能になります。

親鸞聖人の思想は、「他力の思想」だと言われています。
他力の思想は、他人に依存することを連想させます。イメージが悪い言葉です。


ただ親鸞聖人は、そのことをおっしゃっているのではありません。
自分の頭で考えた思想や主張を前面に押し出して、現実、現状、事実を否定するような態度は如何なものかと疑問を投げかけておられるのです。
これが親鸞聖人のいう他力の思想なのです。

これは森田理論でいうと「かくあるべし」を振りかざして、現実や事実を否定してはいけないということです。事実に対しては、どんなに承服しがたい事案であっても、服従する方がよいということなのです。
どこまでも観念の世界、自分の立場を押し通そうとするのではなく、もっと謙虚になって事実本位に生きていきましょう。

「他力の思想」は極めて森田の神髄に近い言葉なのです。





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Last updated  2021.05.22 06:20:05
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
軸受国富論@ Re:森田の正道を歩むとはどういうことか(06/05) かの有名なドクターDXの理論ですね。ほか…

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