森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.02.04
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カテゴリ: 認識の誤り
岡田尊司さんがよくありがちな「認識の誤り」5つを紹介されている。
(ストレスと適応障害 岡田尊司 幻冬舎新書 85ページ参照)
これをもとにして、神経質者の認知の誤りについて考えてみたい。

1、自己否定
どんなに優れた長所を持っていても、自分の欠点に注意を向けて、自分を否定的に見ている。
それが思い込みだということに全く気づかず、本当のことだと固く信じている。
自己否定を抱いている人は、そこからさらに否定的な思考に広がっていく。
自分は無価値なので、誰からも愛されない。誰も自分なんか助けてくれない。
自分がいても迷惑をかけるだけだ。そう思い込むことによって、結果的に行動が萎縮し、実際に否定的な結果しか生み出せず、自己否定を裏づけてしまうことになる。

2、完璧主義
完璧主義は「かくあるべし」と結びついている。

できている点や問題がない点は、当たり前であるので評価に値しないと考える。
完璧主義は、白か黒、全か無かで物事を判断してしまう。二分法的思考である。
90%問題がなくても、10%の問題点があれば、すべてがダメだと決めつけてしまう。加点主義ではなく、減点主義の考え方になり、苦悩でのたうち回るようになる。どこまで行っても自己肯定観に繋がらない。
他人とは敵対するので人間関係が悪化する。

3、自己無力感と依存的思考
自分一人では何もできないし、何も決められないと思い込んでいる。
実際には行動すればできることも多いのだが、いつもしり込みしてしまう。
それよりも誰かに指示され、それに従った方が気が楽だという気持ちが強い。
自分が主体性を発揮して、自ら責任を持つ方が人間本来の生き方であるが、そういう気持ちは毛頭ない。
その方が安全・安心だと思っているが、自分の人生に積極的にかかわらないので、自分の人生を生きているという感じがしない。
特に生の欲望が強い神経質者の場合は深刻である。
森田でいう運命を切り開くというイメージから外れている。

4、過度な一般化と過剰反応

実際には、他人は自分のことで精一杯で、他人のことは関心の度合いが極めて薄いことが多い。

部分的弱点の絶対視とは、自分が抱いている弱点や欠点を、自分の一生を左右するような決して見逃すことのできない一大事とみなして取り扱うこと。
誰でも持っているような小さな不安がすぐに、会社に残るか退職するか、あるいは生死に直結するかのような大問題として取り扱う。

5、混同思考(自分と他者/事実と感情の混同)
自分が考えていること、自分の気持ち、自分の欲求は、他人もほぼ一致していると信じてしまうこと。
このような認識の誤りを持っていると、相手の話に耳を傾けなくなる。

相手が間違った言動をとった場合は、非難や否定をする。
人間関係が対立的になり、しだいに孤立するようになる。

観念優勢になり、観念で事実をねじ伏せようとする。
すると頭で考えたことと事実、現実、現状の間に乖離が出てくる。
それらがお互いに自己主張を始めると、森田では「思想の矛盾」で苦しむようになるという。森田では、事実唯真、事実本位の立場です。
「かくあるべし」を抑えて、事実優先の立場に立つことができると、対立、乖離、溝が解消されるので、それだけで葛藤や苦悩が少なくなるといわれている。

認知療法では、うつ病の人は事実に基づかない思い込みが激しいといわれている。これらの5つの認識の誤りは、認知療法や森田理論学習によって修正できます。
今までの森田理論学習では、認知の誤りは大きく取り上げられているわけではありませんが、一つの学習単元として取り上げるべき内容が含まれています。
自己肯定感の養成、観念優先の態度を事実優先の生活態度に変更することの意味が理解できると肩の力が抜けて楽な生き方ができるようになります。





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Last updated  2022.02.04 06:37:54
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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