森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.06.05
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カテゴリ: 最新の脳科学
人間の体は不安やストレスにさらされた場合、すぐにスクランブル発進するようになっています。スクランブル発進は当面の危険回避ですから長時間にわたることは想定していません。
今日はその仕組みを見てゆきたいと思います。次の3つがあります。

1、扁桃体がストレス、不快を感じると、ただちに自分の命を守るために闘うか逃げるかの決断を下します。
その情報はノルアドレナリンという神経伝達物質によって青斑核に送られます。
青斑核は危機管理センターの役割を果しています。
そこからただちに防衛態勢をとるように指令が下されています。
不快の原因はあらかじめ分かっていますので、そこに注意や意識を集中して対応します。緊急事態に入るとドパミン主導の報酬系神経回路は一時的にストップされます。時間的には1時間くらいで元の状態に戻ることを想定してこの仕組みは稼働しています。
神経症に陥ると、ノルアドレナリン主導による防衛系神経回路だけが何日にもわたって作動していることになります。
それが慢性化すると、うつ病などの精神疾患につながります。

日常生活や仕事を回避することばかり考えて、積極的に行動できなくなります。
抑うつ状態で精神的に不安定になり、イライラして苦しい。
生きていても楽しいことが何もないという悪循環に陥ります。
それらを振り払うために、瞬間的、刹那的、享楽的な依存対象を見つけて、無理やりドパミン主導の報酬系回路を作動させてバランスを取ろうとする。
カンフル剤のような依存対象は、ほんの一時的に効果があっても、最後には心身ともに破滅の方向に向かいます。

2、過度な不安やストレスに長時間さらされると交感神経の異常を招きます。
アドレナリンの過剰反応が起きます。
一つには血管を収縮させて血行障害や虚血状態を起こします。
組織に老廃物がたまり、痛み、発がん物質、炎症を招きます。
白血球に作用して顆粒球を増加させ、炎症性サイトカインの放出を促します。
その結果、炎症による組織破壊を引き起こします。

短期的に交感神経が活性化して、緊張感を高めて、問題解決にあたることは自然で必要なことです。
しかし長期に及ぶと自分の身体と精神を破壊するものに変化するのです。

3、副腎皮質からはストレスホルモンと言われるコルチゾールが放出されます。
コルチゾールは心拍数を高めて、タンパク質から闘うエネルギーを作り出しています。短期の危機管理に対応しているのです。
また、炎症性サイトカインの過剰放出を抑制しているのもコルチゾールです。

海馬は脳の中でも新しい神経細胞を作り出していますがその機能が失われます。
コルチゾールが過剰に放出されると、炎症性サイトカインは無制限に出続けることになります。
これがガン、胃潰瘍、血管障害、慢性疼痛、うつ病、老化などの病気に繋がってきます。

短期的な不安やストレスは、危機意識を高めて安全を確保するために欠かせないものです。ところがそれが長期に及ぶことは弊害ばかりになる。
最初は味方だったものが次第に自分に刃を向けるようになるのです。
森田は不安やストレスを慢性化させないことが肝心だと言います。
球磨川や天竜川の川下りでは、船頭さんが遊覧船が岩にぶつからないように、竿で常に動きを調整しています。
私たちも、不安とストレスを上手にコントロールする船頭を目指していきたいものです。私はそのコツを森田理論学習によって学びました。





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Last updated  2024.06.04 09:14:14
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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