森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.07.16
XML
引き続き落語家の立川談四楼氏のお話です。

修行時代の落語家は理不尽なことばかりだという。
雀の涙ほどの薄給で、師匠や高座に上がる師匠の世話をする。
機嫌を損なうと小言を言われる。引き上げてもらえない。
そうなると、稽古をつけてもらえない。
稽古をつけてもらえなければ二つ目に昇進できない。
つまりプロの落語家として独立できない。万年前座で終わってしまう。

師匠の立川談志は、とても理不尽な上司でした。
どこの会社でもやりにくい上司はいるでしょう。ワンマンで自分勝手な上司です。

下手をすれば、すぐに破門される。

その談志師匠が、 「矛盾に耐えろ。そこからエネルギーが生まれてくる」 と言いました。

談志師匠は、弟子が付き人や前座の仕事にどう立ち向かっているのかを注意して見ていたのです。
付き人や前座の仕事を無理やりやらされていると思っているような人は、徹底してこき下ろしました。逆に貴重な体験をさせてもらっていると思って、ていねいに取り組んでいる人は、引き立ててくれるのです。
実際そういう人がどんどん伸びていくのを目の当たりにしました。

ある時こんなことを言われました。
薬局がとっくに閉まっている真夜中に、「今すぐ、風邪薬を買ってこい」と命じる。店主を叩き起こして買うもよし。
いさぎよく諦めて、談志の小言を受け止めるもよし。
身に降りかかった理不尽に、どう取り組むのか。
弟子がどう対応するかをじっと見ているのです。


言い訳を考える。感情を爆発させる。出かけて、時間稼ぎをしてごまかす。
こんな師匠についていては、自分の将来はないと師匠の下から逃げ出す。
談志師匠にとっては、そんな弟子には用はないわけです。
落語家の場合、理不尽なことだらけ、矛盾だらけです。
そこを経験して逃げ出さないで、落語家になる夢を追い求めている。

そこをクリアーしていない落語家は、面白みのない噺しかできない。
そういう落語家は一人たりとも立川一門からは、世の中に送り出さないという固い決意の表れでもあったわけです。
落語家になるための登竜門として、 「矛盾に耐えろ、そこからエネルギーがうまれる」 と言い放っていたのです。

この話は、森田理論に通じる貴重な話です。
どんな理不尽な出来事であっても、最終的には事実に従うということです。
自然に服従し、境遇に柔順に従うということです。
さらに、事実に対しては、いい悪いと価値判断、価値評価をしてはいけない。
事実そのものになるということですが、森田先生はこの段階は大学卒業程度と言われています。
一時的な安心を求めて、観念優先で事実を捻じ曲げる、否定する、逃げ出すことがいかに多くの葛藤や悩みを作り出してきたのか。
理不尽な出来事を価値批判しないで、そのまま受け入れることができる人に出会った人は、それだけで貴重な経験をされていると思います。
そういう人が生活の発見会の会員の中に存在しているということは素晴らしいことだと思います。
立川談志師匠は、いろんな評価はされていますが、森田の神髄をついていらっしゃる人だと思います。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2022.07.16 08:34:18
コメントを書く
[観念重視から事実重視への転換] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

メダカを飼っています New! 楽天星no1さん

泉佐野フィルムフェ… へこきもとさん

激しい運動の後、疲… メルトスライム25さん

神経症を克服します♪ ROSE33333さん
「私」がいる幸せ えみこた2さん

Profile

森田生涯

森田生涯

Comments

kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: