森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2023.03.17
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森田寮に入院した人のなかに河原宗次郎氏という方がおられました。
この方は額縁商として成功されて25人くらいの社員がいたそうです。
その方のお話です。

商店組合の幹部に選ばれたりしたとき、履歴書を書くのですが、どうも「小学校卒」とは書きたくないのですね。
何とか多少の学歴はあるかのように、てらって書きたいのですね。
私は広島の生まれなんですが、広島に明道中学という、すでに廃校になった中学がありますので、「明道中学卒」と書いたりしました。
これなら、ウソであることが人にはわかりませんからね。

また、あなたの生家のご商売は何ですか」と聞かれると、ほんとうは「うどん屋」だったんですけれども、「食料品販売業です」とか答えていました。

こういう、表と裏の食いちがったような生活をしながら、ごまかしをやっていますと、神経症にひっかかります。


水谷先生が私の一生を「草土記」という本にまとめてくださいました。
よく売れた本です。それで隠しようがなくなりました。
今ではさっぱりしたといいますか、ありのままを話せばいいわけですから、非常に気持ちがいいです。
また、「私は小学校卒だ、うどん屋のせがれだ」とありのままをいっても、人びとからバカにもされないで、むしろ「その割には成功しやがったな」ということでほめてくださいます。
水谷先生に「草土記」を書いていただいたおかげで、私の気持ちがきれいに洗われたといいますか、表面的な見せかけをかなぐり捨てて、自己本来のあるがままの姿にしていただいた、ということが言えるんじゃないでしょうか。
(生活の発見誌 1968年(昭和43年)9月号 37ページ)

誰にも人にはとても話せないような、秘密にしておきたいようなことはあります。
ことさら取り上げて公開する必要はありませんが、これを隠す、ごまかすことにエネルギーを投入することになりますと問題が起きます。
うまく隠したとしても、どこかにほころびが見え隠れしています。
そのほころびが気になり、さらにそれを隠すために、多量の時間やお金をかけて隠蔽工作をしなければ今までの努力が水の泡になってしまう。
すべてがみんなの知るところになりますと、信用は地に落ちてしまいます。


事実は反対です。事実を勝手に誤認しているのです。
自分の恥部を隠さないで、さらけ出す人ほど人が近づいてきます。
たとえば学校のテストで平均点が60点くらいの時、30点くらいの答案をみんなに公開できるような人は、「こんなところで間違えたのか」とからかわれながらも、人との距離はぐっと縮まります。

集談会でも体験発表で感極まりながら、自分をさらけ出す人はほとんどよくなっています。反対にあたりさわりのない、自分の都合のよいところばかりの体験発表は、いま一つというところがあります。
ただしこれは別に問題があるということではありません。


この言葉は森田理論の中でも重要なキーワードです。
これは自分の恥部を隠さすための工夫をやめると、エネルギーの無駄使いがなくなる。その貴重なエネルギーの温存が可能になる。
問題のある事実にしっかりと足場を固めると、今度はそこを出発点にして「生の欲望」の発揮に向かって切り替えることが可能になる。
つまり逆転人生の幕が切って落とされるということになります。
すぐにはできなくても、そういう方向に向いていることが大事になります。
集談会などで切磋琢磨していると、次第に身についてきます。





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Last updated  2023.03.17 06:30:48
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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