森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2023.03.24
XML
北海道浦河のベてるの家の活動は、統合失調症を抱えている人たちの自助組織のような感じです。
医療スタッフに支えられながら、絶えず仲間同士で集まり、ミーティングを重ねている。仲間同士で結束して、情報交換を行い、助け合い、仕事を持って自立している珍しいところです。

ベてるの家の活動は、1982年浦河赤十字病院に精神科医川村敏明医師が赴任してきたときから始まった。

その川村医師曰く。
「ちょっと生意気なことをぼくがいうようだけど、(一般的な精神医療が)濃すぎるわけですよ、僕の実感としては、我々が薄い分だけここはいろんな、いわゆる仲間っていわれる人たちとの情報交換、助け合い、ミーティング等が用意されている。本人が自分自身のニーズに気づく、あるいはニーズに応じたものが用意されているんで、わたし、そんなに張り切ったり、そんなに治さなくてもいいわけですよ」

精神科医ががんばらなくても、患者はミーティングや当事者同士の多様な人間関係に支えられて病気と向き合うことができる。
そういうしくみが、この町には備わっている。
精神科医がなにをするのかではなく、なにをしないかが問われ、その分患者や仲間、スタッフがなにをするかかが問われている。

みんなが出番があって、みんながひとこと持っている。


20世紀前半のアメリカで画期的な精神医療をきりひらいたH・S・サリヴァンは、心の問題は「対人関係の障害である」といい、 「似たものは似た者によって治される」 と繰り返し述べている。
その治療の柱は、精神病院に入院してきた患者に「似た者」、つまり患者にできるだけ共感できる資質を持つスタッフを寄り添わせることだった。
そうすることで治療は多大な成果をあげたという。
「似たものは似た者によって治される」というのは、ベてるの家でいう「仲間のところにいって治す」という言い方とよく重なっている。
(治りませんように ベてるの家のいま 斉藤道雄 みすず書房 198ページ)

この考え方は、神経症、精神障害、経済苦、心の悩み、依存症などに陥ってもがいている人たちに光明を与えるものです。
一般的には問題を抱えると、精神科医、カウンセラー、公的援助機関に頼ることになります。それに加えて、同じような問題を抱えた人たちの自助組織に属して、人間的な交流を持つことがとても大事だということです。
自助組織に属していないと、他者によって問題点を解決してもらうということになります。つまり自分の問題として、関わることができなくなります。

自助組織に属していると、自分が当事者としてこの問題にどうかかわっていくのかという立場に立つことができるようになります。
運営するために、さまざまな役割を分担することで、居場所や活躍の場が与えられる。問題を抱えて自分一人で孤立することを防止してくれる。

情報や問題解決のヒントを見つけることもできる。
問題を抱えたことが、自己洞察を深めて、人生をより深く考えることができるようになります。私は自助組織である生活の発見会活動によって、神経症を克服し、貴重な仲間と交流できるようになり、おまけに神経質者としての生き方まで手にすることができました。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2023.03.24 10:44:49
コメント(0) | コメントを書く
[生活の発見会・集談会] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

植木の土を替えるの… New! 楽天星no1さん

大阪公立大学公開講… へこきもとさん

心食動操 メルトスライム25さん
神経症を克服します♪ ROSE33333さん
「私」がいる幸せ えみこた2さん

Profile

森田生涯

森田生涯

Comments

森田生涯 @ Re:阿久悠さんが「ジョニーへの伝言」に託した思いとは(03/06) 通りすがりさんへ コメントありがとうご…
通りすがり@ Re:阿久悠さんが「ジョニーへの伝言」に託した思いとは(03/06) この曲の歌詞の意味がわからなくて検索し…
森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: