森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2024.11.29
XML
磯部潮氏による自閉症の人のお話です。

A君は小学校へ入学してからは悪戦苦闘の毎日でした。
教師は自閉症をまったく理解していなくて、「親の育て方が悪い」「しつけがなっていない」と毎年言われました。
というのも、なまじ高機能自閉症で知能が普通以上だったので、算数とか漢字なんかは他の生徒さんたちよりでき、よけいに誤解が大きくなった気がします。

仲間という概念がA君にはそもそもないので、集団行動はできないし、「気が付くのは他人の欠点ばかり、自分の我を通そうとする」などとずっと言われ続けていました。
PTAの会合なんかに出ると、「A君のせいで困っている」と他の父母にあからさまに文句を言われたことも一度や二度ではないです。

6年生になって、A君は登校を渋るようになったんです。
きっかけは他の子どもに無視されたことのようです。
その時の教師の態度が、表面的には「心配している」と言うのですが、来ないほうがいいという感じが見え見えで、それで私たち親としても、もう普通の学校は懲り懲りだということで、中学からは養護学校へ通学させました。


コミュニケーションもかなりとれるようになり、もともと電車が好きだったので、自分から電車に乗りたいといって私たちを連れだすようになりました。
高校3年生のときには学校の友人と電車で日帰り旅行をするまでになりました。

今は毎日、作業所でパンを焼いています。
私たちはそれでもう十分満足しているのですが、Aはパンの専門学校に行って、将来は自分の店を持ちたいなんて言っています。
これまで苦労の連続でしたが、Aがここまで来られたのはAに関わってくれたすべての方のおかげだと思っています。
Aを理解できる人は数少ないですが、その人たちには感謝してもし過ぎることはないと考えています。
(発達障害かもしれない 磯部潮 光文社新書 156ページ)

自閉症は家や社会から引きこもっている人のことを指すのではありません。
先天性の脳の機能障害などによって、「人付き合いがうまくできない」「人の気持ちを読むことができない」「音に過敏に反応してしまい公共の場所で静かにできない」人たちなのです。
学力面で特段問題がないとされる高機能自閉症やアスペルガー症候群の場合、誤解と偏見を招きやすいのです。
普通の人は、周囲から浮いてしまっている自閉症の人を目の当たりにしたとき、「変わった人だ」「何をしでかすか分からない」「しつけがなっていない」「親はどういう育て方をしているのだ」と腫れ物に触るように非難・中傷を繰り返すようになります。
しかし、彼らの行動特性は親のしつけのせいではなく、純粋に脳の機能障害によるものです。


もしそうだとすれば、自閉症の理解を深めることで、対人恐怖症、社交不安障害への取り組み方が変わってくるのではないかと考えています。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2024.11.29 07:52:35
コメントを書く
[森田療法と他の療法について] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

メダカを飼っています New! 楽天星no1さん

泉佐野フィルムフェ… へこきもとさん

激しい運動の後、疲… メルトスライム25さん

神経症を克服します♪ ROSE33333さん
「私」がいる幸せ えみこた2さん

Profile

森田生涯

森田生涯

Comments

kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: