森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2025.02.14
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諸富祥彦氏は「人生を半分あきらめて生きる」 ( 幻冬舎新書 ) という本の中で、「脱同一化」について説明されている。
これは一言でいえば、自分を否定する気持ちをただそのまま、認めて、眺めるということだそうだ。
この方法は、元々、仏教の瞑想法、特にベトナム禅のマインドフルネス瞑想から生まれたものだといわれている。
自分の中から生まれてくるすべての想念に対して、それがどんなものであれ、すべて「ただ、そのまま、認めて、眺める」姿勢を持ち続けることで、どんなにつらく激しい気持ちであれ、それは自分とイコールではなく、自分の一部でしかないことを自覚的に体得していく方法です。

たとえば、「こんな私じゃ、だめ」「こんな私は、嫌い」という思いが湧いてきたら、「そうなんだね。わかったよ」とただそのまま、認めて、眺める。
そう言われて、「こんな嫌な自分のことを認めるなんて、できない」という気持ちが湧いてきたら、その気持ちも、「そうなんだね。わかったよ」と、ただそのまま認めて眺める。
こうやって、どんな自分が出てきても、「ただそのまま、認めて、眺める」のをたびたびひたすら繰返していると、このような落ち込む気持ちと、それを眺めている自分とは別であること ( 脱同一化 ) 、それを眺めている自分こそ自分であり、落ち込んだ気持ちはどれほど強烈であれ、それは自分のごく一部にすぎないことがジワーッと自覚されてきます。
すると、自分の気持ちと自分自身の間に自ずと「距離」 ( 空間・スペース ) が生まれてくるのです。

中学生の頃、教室の中で財布がなくなったと言って大騒ぎした同級生がいた。
みんなその生徒の近くに集り、どこに置いていたのか、いつなくなったのか、いくらぐらい入っていたのかなどと騒ぎ立てていた。
私はその時、みんなから離れひとりでいた。
その時考えていた事は、自分は盗んではいないけれども、自分が疑われるようなことがあってはいけないと思った。
それでおどおどして、いたたまれずトイレに行ったことがあった。
挙動不審な私を見て、教室の中では、 「ひょっとしたらあいつが盗んだのかもしれない」と噂話をしていたということであった。
ひょっとしたら自分が疑われているかもしれないと言う不安は誰でも感じることではないかと思う。 その不安に一旦とらわれると精神交互作用でどんどんと深みにはまってしまう。
自分を守ろうとすればするほど、態度がぎこちなくなり、周りの人からは他にそれらしい人がいないとなると、消去法でどうもあいつが怪しいと思われてしまう。損な性格である。
自分に嫌疑がかからないようにしているにもかかわらず、自分の思いと反対の結果になるのである。

そんな時によい方法があります。
​​ 今の自分の感情をアナウンサーのように実況中継するのです。 ​​
「今私は盗んだのではないかと疑われているかもしれないと、いたたまれない感情に覆われています。今しばらく嵐が通り過ぎるのを待っております。以上現場から中継しました。」
この利点は、一つには自分に沸き起こってきた感情を意識的に客観的に見れるようになるのです。アナウンサーは事実を分かりやすく説明するだけで、是非善悪の価値判断はしていません。
良い悪いなどという価値判断をすると、他人や自分を目の敵にして結局自分が苦しむことになります。 「脱同一化」「客観化」で大事なところはここにあります。
この部分は森田理論でいえば「自覚を深める」ということです。
感情の取り扱いを間違わなければ、時間の経過とともに感情はどんどん流れていくようになっています。






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Last updated  2025.02.14 06:36:45コメント(0) | コメントを書く
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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