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鵠沼は、神奈川県藤沢市の南部中央にある地域。
北は旧東海道付近、東は境川、西は引地川に囲まれた地域。
南は相模湾に面しており、今は市内の高級住宅地となっている。
鵠沼海岸海水浴場開設をきっかけに、海岸部に「鵠沼館」、「對江館、「東屋」という
3軒の旅館が建った。その中でもとりわけ有名なのが東屋。
東屋は、鵠沼海岸別荘地を開拓した伊東将行が1897年(明治30年)頃開業した旅館で
斎藤緑雨、谷崎潤一郎、志賀直哉、武者小路実篤、徳冨蘆花、与謝野鉄幹・与謝野晶子、
岸田劉生、芥川龍之介といった、明治から昭和の蒼々たる文人墨客が寓居・逗留し、
執筆活動をした旅館。彼らは当時の作品中に折々の鵠沼風物を描写し、
それが「鵠沼風」と呼ばれて大きな評判を得たのであった。
「旅館東屋」は、そうした文化人の社交施設の役割を果たしたのであり
これから高級住宅地へと変遷していったのである。
鵠(くぐい)とは白鳥の古名で、かつてこの辺りには沼が多くあり、
鵠が多く飛来していたと言われ、これが鵠沼の名に。
藤沢駅南口から徒歩にて小田急線沿いを進む。
更に小田急江ノ島線沿いに歩いていき、右手に踏切がある路地を左に曲がると「橘の辻」に。
左は鵠沼花沢町と鵠沼橘の境を行く道で、右が「江の島裏街道」。
この庚申塔(こうしんとう)は正徳5年(1715年)建立。江戸時代、大山詣での帰り道、
この町を抜けて江ノ島に遊ぶ人が多かったとのこと。
脇往還と呼ばれ、所謂バイパス。
橘の辻は二股に分かれる場所なので、道案内も兼ねていた。
右側面には、「右えのしまみち」と刻まれていた。
庚申塔は、中国より伝来した道教に由来する庚申信仰に基づいて建てられた石塔のこと。
庚申講を3年18回続けた記念に建立されることが多いと。
庚申講(庚申待ち)とは、人間の体内にいるという三尸虫(さんしのむし)という虫が、
寝ている間に天帝にその人間の悪事を報告しに行くのを防ぐため、庚申の日に
夜通し眠らないで天帝や猿田彦や青面金剛を祀って宴会などをする風習なのである。
花立公園の庚申供養塔。元文2年(1737)の建立。
庚申塔の右手の道を西に向かうと、普門寺に通じていた。
青面金剛像(しょうめんこんごうぞう)浮彫。
三眼の憤怒相で、一般には足元に邪鬼を踏みつけ、六臂(腕が6本)で
法輪・弓・矢・剣・錫杖・ショケラ(人間)を持つ姿で描かれることが多い。
頭上の両側に日月、足元には三猿が彫られることが一般的。
左手に大東の辻があり、2基の庚申供養塔が祀ってあった。
1基は享保2年(1717)、もう1基は宝暦4年(1754)の建立。
大東の辻近辺。 左が大東町内会館。
大東の辻近くに、明治21年(1888)に旧海軍が鵠沼海岸で大砲の試射の標的に
使った鉄板穴あき鉄板があるとのことであったが見つからなかった。
馬頭観音がブロック塀から引っ込んで立っている電柱の横に。
馬頭観音とはそもそもは仏教の六観音の一つであり、さらに遡るとヒンドゥー教の
ヴィシュヌ神の化身とも。観音像としては珍しく憤怒相で表され、頭上に白馬の頭部を戴く。
これが路傍に祀られるようになったのは、家畜の守護神と考えられたからであり、
同時に道路の安全を願う意味もあったからと。牛馬の供養のために祀られたとも。
茂兵衛の辻の青面金剛像浮彫(左)は宝暦3(1753)年と刻まれていた。
右の道祖神塔は火成岩製 尖頭角柱型文字碑 「道祖神 中東町」と刻まれていた。
明治42(1909)年正月14日と。
本鵠沼2丁目の原地蔵堂。
旧家の墓地の近くに。地蔵堂の正面右手に、
「相模国準四国八十八箇所第5番札所ご詠歌」の掲示板が。
『この里の人の心も月かげも 砥上が原にみがきあぐらん』
「相模国準四国八十八箇所第5番札所」 を示す石柱。
原地蔵は立像丸彫り、厨子入り、69cm 。
鵠沼仲東の辻の庚申塔。
Y字路の付け根にある庚申塔。
手前に馬頭観音菩薩塔 明治29(1896)年11月24日。
後ろに青面金剛像浮彫の庚申塔、元文5(1740)年。
中原稲荷大明神の朱の鳥居が子供広場の老木の先に。
そしてその近くのY字路にあった地蔵尊。
綺麗な赤いよだれかけを着けて。
お地蔵さんは「地蔵菩薩(じぞうぼさつ)」といって、子供を守ってくれる仏様。
よだれかけは、子供の使っていたものをお地蔵様につける事によって、
子供の匂いを覚えてもらい守ってもらうということをしていたと。
赤は赤子(赤ちゃん)の赤という説や、赤色には魔除けの意味があるという説や、
長生きを願ったという説も。
中原稲荷大明神。
正面鳥居には神額が。
社殿近景。
更に歩を進めると右手にヒマワリ畑が広がっていた。
青空に生える百日紅も。
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