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January 24, 2015
カテゴリ： 日本のミステリー小説
みなさん、こんばんは。サッカー残念でしたね。PKまでいったのに、チャンスは沢山あったのに～。
さて今日はミステリを紹介します。
さよならの手口
若竹七海
旗師・宇佐見陶子と民俗学者・蓮丈那智。北村鴻さんが極めてクールな二人の女性探偵を連れてこの世を去ってしまってから、レディース固ゆでたまご業界の閑散としたことったらない。そこに『悪いうさぎ』以来しばらく新作のなかった葉村晶が登場。待ってました！
大震災も乗り越えたフリーの探偵・葉村晶は探偵事務所が廃業したため、知り合いのミステリ専門書店で働いていた。そんな彼女が空家で本の詰まった押入れを探っているうちに床を踏み抜いてしまい、床下に埋められていた白骨死体に出くわしてしまう。むむ、このシチュエーション、ホームズ復活の『空家の冒険』のタイトルみたい。すわ、この白骨死体が事件なのか？と思いきや、物語はそこから少しずれた所から転がり始める。元スター女優が二十数年前に疾走した娘を探して欲しいというのだ。むむむ、またもや、これはレイモンド・チャンドラーの『さらば愛しき女よ』みたい。但し、探しびとは恋人で女性歌手ではなく女優の娘で、探しているのは力の強い大鹿マロイではなく、昔の面影もない女優。このように、読んでいくと過去のミステリ作品のいろんな部分を取り入れているようなストーリーになっていて、ミステリ好きには堪らない。
また、葉村晶の一人称語りとなっているので、他人に対してどう振る舞っていても、実はこの固ゆでたまご探偵、結構情に厚い所がある点が、読者だけにこっそり知らされる仕掛けになっていて、それもまた本シリーズの魅力となっている。いきおい、事件の調査だけやっていればいいというわけにはならず、クライアントや関係者の想いに引きずられる晶は、物語の最初の事件で負傷してからラストまで、相当痛い目にあっている。傷つくのは身体だけでなく、引きずられた分だけ他人の嫌な面をこれでもか、というほど見ることもあるが、それでも彼女は「そういうこともあるだろう」と冷静に世間を見つめ、自分のやるべき事に向かっていく。
タイトルはチャンドラーの『ロング・グッドバイ』のラストの一文から取られている。警察にさよならと言う方法を見つけられない―現役の探偵だから―チャンドラーに対して、その方法を思いがけない所で見つけてしまった晶。散々重たい事件の後にこの幕切れか、と思わず晶と一緒に笑ってしまった。
さて、女探偵はここからどこへ行くのだろう。その先をもっと見たい。
【楽天ブックスならいつでも送料無料】さよならの手口 [ 若竹七海 ] 楽天ブックス
さて今日はミステリを紹介します。
さよならの手口
若竹七海
旗師・宇佐見陶子と民俗学者・蓮丈那智。北村鴻さんが極めてクールな二人の女性探偵を連れてこの世を去ってしまってから、レディース固ゆでたまご業界の閑散としたことったらない。そこに『悪いうさぎ』以来しばらく新作のなかった葉村晶が登場。待ってました！
大震災も乗り越えたフリーの探偵・葉村晶は探偵事務所が廃業したため、知り合いのミステリ専門書店で働いていた。そんな彼女が空家で本の詰まった押入れを探っているうちに床を踏み抜いてしまい、床下に埋められていた白骨死体に出くわしてしまう。むむ、このシチュエーション、ホームズ復活の『空家の冒険』のタイトルみたい。すわ、この白骨死体が事件なのか？と思いきや、物語はそこから少しずれた所から転がり始める。元スター女優が二十数年前に疾走した娘を探して欲しいというのだ。むむむ、またもや、これはレイモンド・チャンドラーの『さらば愛しき女よ』みたい。但し、探しびとは恋人で女性歌手ではなく女優の娘で、探しているのは力の強い大鹿マロイではなく、昔の面影もない女優。このように、読んでいくと過去のミステリ作品のいろんな部分を取り入れているようなストーリーになっていて、ミステリ好きには堪らない。
また、葉村晶の一人称語りとなっているので、他人に対してどう振る舞っていても、実はこの固ゆでたまご探偵、結構情に厚い所がある点が、読者だけにこっそり知らされる仕掛けになっていて、それもまた本シリーズの魅力となっている。いきおい、事件の調査だけやっていればいいというわけにはならず、クライアントや関係者の想いに引きずられる晶は、物語の最初の事件で負傷してからラストまで、相当痛い目にあっている。傷つくのは身体だけでなく、引きずられた分だけ他人の嫌な面をこれでもか、というほど見ることもあるが、それでも彼女は「そういうこともあるだろう」と冷静に世間を見つめ、自分のやるべき事に向かっていく。
タイトルはチャンドラーの『ロング・グッドバイ』のラストの一文から取られている。警察にさよならと言う方法を見つけられない―現役の探偵だから―チャンドラーに対して、その方法を思いがけない所で見つけてしまった晶。散々重たい事件の後にこの幕切れか、と思わず晶と一緒に笑ってしまった。
さて、女探偵はここからどこへ行くのだろう。その先をもっと見たい。
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