2026.10.07
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カテゴリ: AI小説



日中は風邪の症状が治まるんだけど、朝はなんか風邪っぽさが出るんだよね。
寝てるときに寒いのかなぁ。
ということで、風邪薬飲んで会社行ってました。
天気はいいけど長袖で行きました。

今日は何の日

盗難防止の日
ミステリー記念日
バーコードの日
宿毛の柑橘「直七」の日

キットカットのオトナの日
トナーの日
大人のダイエットの日
イオナの日
ストレッチウェルの日
おなかを大切にする日
いい岩魚(イワナ)の日
カセットこんろとボンベの日
イワショウ塗装の日
焼肉屋さかい・炭火焼肉屋さかいの日
生パスタの日

世界宇宙週間
国際文通週間
古紙リサイクル週間
受信環境クリーン月間

ミステリーの日ということで、ミステリー風にしました。

タイトル『捜索済み』


 机に二つの湯呑み。片方の縁には茶渋がつき、もう片方は妙にきれいだった。封の開いた煎餅の袋。読みかけの文庫本。壁には、あちこちを鉛筆で囲んだ県内の地図。
 生活だけが、持ち主の死を知らずに続いている。
 真壁は濡れた上着を脱がず、机の灯りをつけた。
 三日前、この部屋の主だった堀田が、山道で車ごと転落した。警察は運転ミスと見ていた。七十二歳。夜間。雨。事故という箱に収めるには、都合のいい条件が揃っていた。
 だが、元同僚の真壁には引っかかることがあった。
 堀田は夜、車を運転しない。
「白線が二本に見えるんだよ」
 半年も前から、そうぼやいていた。
 真壁は机の引き出しから、黒い革の手帳を取り出した。挟まっていた一枚の写真が滑り落ちる。
 作業服を着た四十代の男。工場の前で、眩しそうに笑っている。
 裏に名前があった。
 ——相良修一。失踪時四十六歳。

     *

「父です」
 翌晩、事務所を訪ねてきた女は、写真を見るなり言った。
 相良由紀。三十二歳。堀田への依頼人だった。
「八年前にいなくなりました。会社のお金を持って」
「それを今になって捜していた?」
「母が亡くなったので。せめて、それだけでも知らせたくて」
 由紀は鞄から県内の道路地図を出した。
 赤い斜線がいくつも引かれている。
「ここは以前の探偵さんが調べた場所です。堀田さんには、重複しないようにお願いしていました」
「以前にも頼んでいたんですか」
「二人。お金が続かなくて、少しずつ」
 真壁は地図を受け取った。
 北の町。海沿いの工業地帯。山間の廃集落。
 捜した範囲というより、塗り残しを埋める作業に見えた。
「お父さんが、この辺りにいる根拠は?」
「失踪した日に、車が県境のカメラに映っていたそうです。その先の消息は、わからなくて」
「堀田は何か言っていましたか」
 女は少し考えた。
「もうすぐ会わせてあげられる、と」

     *

 堀田の報告書は、妙な内容だった。
 相良修一の写真を見せて回った形跡がほとんどない。
 代わりに、古い林道の幅。取り壊された倉庫。八年前には通れた橋。山林の所有者。
 人捜しというより、不動産の下調べだった。
 さらに、前任の探偵二人に電話すると、どちらも似た話をした。
「途中から、娘さんの注文が細かくなりましてね」
「空き家の床下を見てくれとか、井戸が残っていないかとか。お父さんがそこで暮らしているわけもないでしょう」
 真壁は電話を切った。
 雨の窓に、通りの赤い看板が滲んでいた。
 机の上の写真を、もう一度見る。
 失踪した父親。
 床下。
 井戸。
 捜索済みの土地。
 真壁は壁の地図に目を移した。
 鉛筆の丸の一つだけが、消しゴムで薄く消されていた。

     *

 翌日、真壁は堀田の事務所へ由紀を呼んだ。
「お父さんが見つかりました」
 由紀は椅子に座らなかった。
「どこで」
「その前に、教えてください。お父さんを捜していたんですか。それとも、お父さんが隠したものを?」
 女の指が、鞄の持ち手を握り直した。
「どういう意味ですか」
「堀田はずっと人を捜していた。途中で、依頼の意味に気づいた。それであなたに、もうすぐ会わせてやると言った」
「何をおっしゃっているのか——」
「遺体を捜していたんでしょう」
 雨音が大きくなった。
「八年前、会社から金が消えた。経理担当だった父親も消えた。誰もが持ち逃げしたと思った。だが、同じ会社にはあなたも勤めていた」
「調べたんですね」
「あなたは金の行方を知っている。父親が生きていないことも。知らないのは、埋められた場所だけだ」
 由紀はゆっくり椅子に座った。
 真壁は続けた。
「手を貸した人間がいた。その人間と連絡が取れなくなった。ところが年月が経つと、山は造成される。倉庫は壊される。いつ遺体が出るかわからない。だから先に見つけたかった」
「想像ですよね」
「今のところは」
 真壁は黒い手帳から、小さな紙を抜いた。
 堀田の筆跡で、住所が書かれていた。
「ここだそうです」
 由紀は紙を見た。
 ほんの一瞬、眉間の力が抜けた。
 それから言った。
「そこは違います」
 真壁は黙っていた。
 女も、自分が何を言ったのか気づいた。
「……そこは、前の方が調べていますから」
「この住所は、今、私が書いたものです。あなたから借りた地図の、赤く塗られた場所を選んだ」
 真壁は紙を裏返した。
「堀田も、同じことをやったんでしょうね」

     *

 隣の部屋で待っていた刑事が出てきた。
 由紀が立ち上がりかける。
「こんなことで、私を——」
「堀田の車に乗ったことを聞きたいそうです。事故当日の駐車場の映像に、あなたが映っていた」
 真壁は言った。
「堀田は夜に運転しない。現地へ案内してほしいと言われて、あなたに運転を任せたんだな」
 由紀はそれには答えず、机の写真を見つめていた。
 やがて、小さな声で尋ねた。
「父は、本当に見つかったんですか」
「ああ」
「どこに」
 真壁は、窓際の扉へ目を向けた。
 扉が開いた。
 白髪の男が立っていた。
 写真の作業服を、古びたカーディガンに替えていた。背中は少し曲がっていたが、眩しいものを見るように目を細める癖は、そのままだった。
 由紀の口が開いた。
「……死んだって」
 男は頷いた。
「そう言えば、お前はもう捜さないと思った」
 父親を殺してくれと頼まれた男は、殺せなかった。
 相良に事情を話し、娘から離れて暮らすよう勧めた。受け取った金は返さず、娘には仕事を済ませたと伝えた。
 その男は、二年前に病死していた。
 堀田は山を掘る代わりに、その男の生前の交友を洗い直した。そして、隣県の小さな町で相良を見つけたのだった。
「堀田さんはな」
 父親は娘を見た。
「お前が、俺に謝りたくて捜してるんだと思ったんだよ」
 由紀は首を振った。
 父親に向かってではなかった。
 机の上の地図に向かってだった。
 八年分の赤い斜線。その上に、彼女の涙が一滴落ちた。
 真壁は写真を手帳に戻した。
 堀田は、最後の仕事もきちんと果たしていた。
 ただ一つ、間違えていた。
 依頼人がいちばん恐れていたのは、父親が見つからないことではなかった。

おわり







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最終更新日  2026.10.07 18:30:51
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