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2021年は創作活動に力を注いだ一年でした。来年も宜しくお願いいたします。2021.12.22千菊丸
2021年12月22日
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「薄桜鬼」・「名探偵コナン」のクロスオーバー二次小説です。 作者・出版社・制作会社などとは一切関係ありません。捏造設定ありなので、苦手な方はご注意ください。 女性は、大田千里と名乗り、安室に婚約者の素行調査を依頼してきた。「この人が、婚約者の相沢拓馬さんです。」 そう言って千里から見せられた写真には、好青年そうな顔をした青年が写っていた。「いい人そうじゃないですか。」「でも、最近彼の行動がおかしいんです。わたし達、同棲してもう三年になるんですが、彼が出張だと嘘を吐いて何日も帰って来なかったり、知らない女の私物が彼の鞄の中に入っていたり・・」「婚約者の浮気調査をして欲しいという事ですね。お任せ下さい。」「よろしく、お願いいたします。どんな結果でも受け止めます。」 千里はそう言うと、歳三と零に向かって頭を下げた。「さてと・・土方さん、どうします?」「どうするもこうするも、調べるしかねぇだろうが。」 千里から依頼を受けた二人は、早速相沢の素行調査をする事になった。「ここが、相沢さんの職場か・・」「大手のペットショップ勤務か・・まぁ、とりあえず中に入ってみましょう。」「あぁ。」 歳三が零と共にペットショップの中に入ると、店内には犬や猫、ハムスターやウサギなどの多種多様な動物が居た。「頭が混乱しちまうな。」「土方さんの時代には、ペットショップはありませんよね。」「あぁ。ウサギなんて、初めて見たぜ。」「さてと、相沢さんを探しましょうか。」 二人がペットショップの店長に相沢の事を尋ねると、彼は数週間前に辞めたという。「急に電話で言われてさぁ・・」「へぇ、そうなんですか。」「全く、あいつ嫁も子供も居るのにどうするのかねぇ。」「・・まさか、あいつが妻子持ちとはな。」「店長さんから履歴書貰いましたから、彼の自宅に行ってみましょう。」「あぁ。」 零と歳三が拓馬の自宅を訪ねると、そこには二階建てのアパートだった。「あの、お隣さんなら引っ越されましたよ。」「いつの事ですか?」「そうね・・数週間前の事ですね。」「ありがとうございました。」「それにしても、拓馬って奴はとんでもねぇ野郎だな。」「えぇ。まぁ、千里さんにとってはある意味、クズ野郎に人生を狂わされる前に彼の本性を知る事になって良かったんじゃないですか?」「まぁ、そうだな。」 千里を“ポアロ”で待っていた零と歳三がそんな事を話していると、そこへ彼女がやって来た。「そうでしたか。」「千里さん・・」「クズ野郎に人生を潰されなくて良かったです。ありがとうございました。」 千里はそう言って二人に向かって深々と頭を下げると、店から出て行った。「何とも後味の悪い結末になったな。」「ええ。毛利さん、それは?」「あ、これか?来週、警察学校で講演会をしてくれねぇかって頼まれてな。今その原稿を考えているんだが、どうも上手く書けなくてな・・」「へぇ、講演会ですかぁ。そういえば、毛利先生は、僕と同じ警察学校でしたっけ?」「あぁ。というか、そんなに簡単に身分バラしちまってもいいのか?」「大丈夫ですよ。」「いらっしゃいませ~」「久しぶりだね、零君。」 ドアベルを鳴らしながら入って来たのは、FBI捜査官・赤井秀一だった。「ここへは何をしに来た!?」「そんなに警戒しないでくれ。ちょっと野暮用を頼みたいんだ。」「野暮用だと?」「お~い、ちょっと買い出しに行って来る・・って、あんた誰だ?」 歳三は厨房の奥から出ると、そこには長身の見知らぬ男と零が睨み合っている事に気づいた。「ほぉ、君が・・」「あぁ、あなたは土方さんとは初対面でしたね?この人は赤井秀一、僕の因縁の相手です。」「へぇ。土方歳三だ、宜しく頼む。」「それで、一体僕にどんな野暮用が?」「実は・・妹が今度彼氏を連れて来るんだが・・」「え、真純ちゃんが?」 赤井の妹・世良真純は、ジークンドーの使い手で、かつて女子高生探偵としてその名を馳せていたが、今は英国に留学中だ。「しかし、その彼氏というのがどうも胡散臭くてな。何でも、彼の両親はあのカルト宗教の信徒らしい。」「カルト宗教?」「“輝きの星”という宗教団体を知っているか?」「確か、陰謀論の信者達の集まりでしたっけ?」「最近、コロナ禍でそういった輩が増えていてね。」「調べる必要がありそうですね。」「あぁ。」 赤井から依頼を受け、零は歳三と共に“輝きの星”が主催するパーティーに出席する事になったのだが―「何で、俺が女装なんだよ!」「いいじゃないですか、似合っているし。」「良くねぇよ!」 そう言った歳三は、紫のロングドレス姿だった。「あらぁ、やっぱり良いわね。」 そう言いながら歳三に笑みを浮かべたのは、工藤有希子である。「そのドレス、20年前のものだけれど、デザインは今のものと遜色ないわね。まぁ、やっぱり土方さんのスタイルが良いからよね。」「俺が何で女装しなくちゃなんねぇんだ!」「このパーティーは、“夫婦同伴”なのよ。」「だからって・・」「さ、そろそろ時間よ。」“輝きの星”が主催するパーティーは、ホテルの宴会場で行われた。 招待客は、政財界の名士が多かった。「一見すると、慈善を目的としたパーティーに見えますが、胡散臭いですね。」「あぁ。」 歳三と零がそんな事を話しながら会場を観察していると、会場に一人の女性が入って来た。 彼女は、車椅子に乗った青年の介助をしていた。「彼が、真純君の彼氏ですか。石井光太君かぁ・・」「で、その隣に居るのが光太の姉・優子か。姉弟二人で一体何を・・」「皆さん、“儀式”の時間です。」(“儀式”・・何処か怪しいな。) 歳三は、石井姉弟を尾行した。 彼らはエレベーターで最上階のスイートルームへと向かっていった。 最上階へと歳三が向かうと、スイートルームの前には屈強そうなボディーガードと思しき黒服の二人組の男が立っていた。(潜入は無理か・・) 歳三がそう思いながらエレベーターを待っていると、そこへ一人の青年がやって来た。「迷子ですか?」「ええ・・このホテルに来るのは初めてなので。」「フロントまで、ご案内致します。」「まぁ、ありがとうございます。」 歳三は、そう言うと彼に微笑んだ。 青年の狙いが何なのかを歳三はとうに気づいていたので、彼が自分をホテルの部屋の中へと連れ込もうとした時に、歳三は青年の首に手刀を打って気絶させた。「スイートルームで、彼らの“儀式”が行われているが、中には入れなかった。」「そうですか。何も収穫がなさそうですね。」 会場を後にした零と歳三の背中を、じっと見つめている者が居た。「ただいま。」「パーティー、どうだった?」「何の収穫もなかったよ。あ~、疲れた。」 工藤邸に着いた歳三は、慣れないハイヒールで痛んだ足を擦り、溜息を吐いた。「“輝きの星”は、コロナ禍で突然SNSなどで盛り上がり始めた陰謀論を信じる宗教団体だそうです。団体のホームページを見ると、コロナに効くアロマキャンドルとか、ハーブティーとかを売っているそうですよ。」「所謂ねずみ講ってやつか。あのパーティーも、金集めが目的か・・」「まぁ、そうでしょうね。」「さてと、もう休むか。」 歳三はそう言うと、工藤邸の客室へと入った。 一方、“輝きの星”のオフィスでは、石井優子があるブログを見ていた。「姉さん、何を見ているの?」「今夜のパーティーに来た人、どうやら喫茶店の店員みたいね。」 優子はそう言うと、あのグルメブログを弟に見せた。「へぇ・・」「今度、行ってみましょうか。」「そうだね。」「教祖様。」「何かしら?」 パーティーから数日後、歳三がいつものように“ポアロ”で働いていると、店に一人の女性が入って来た。 黒い帽子とワンピースという、異様な姿のその女性客は、まっすぐ歳三が居るカウンター席へと向かった。「和定食をひとつ、頂こうかしら?」「は、はい・・」(何だ、この女・・) 歳三は少し不審そうな目で女性客を見たが、彼女は時折不敵な笑みを浮かべただけで、何もして来なかった。「ありがとうございました。」(何だったんだ、あいつは?)「姉さん、どうしたの?」「光太、わたし達の敵が見つかったわ。」「姉さん・・」「大丈夫、わたしがあなたを守るわ。」「姉さん・・」「お疲れ様でした。」「トシさん、また明日!」「あぁ。」“ポアロ”で勤務を終えて歳三が毛利家へと向かうと、ポストに何かが入っている事に気づいた。『お前を、殺す。』「土方さん、どうしたの?」「こんな物が、ポストに・・」「不気味だな。一体誰が・・」「今日はもう遅いから、明日ここのアパートの防犯カメラの映像を管理人さんに頼んで見せて貰おうよ。」「そうだな。」 そんな事をコナン達と話した後、歳三が台所で夕食の支度をしていると、外から人の話し声のようなものが聞こえて来た。―本当にやるの?―えぇ。―でも・・ 玉ネギを刻むのを止め、包丁を握り締めながら歳三は恐る恐る玄関へと向かい、ドアスコープから廊下を覗くと、そこには誰も居なかった。(気味が悪いな・・)「姉さん、どうだった?」『相手にはバレていないわ。』「そう・・」『大丈夫、わたしに彼の事は任せて、あなたはなすべき事をなさい。』「わかったよ、姉さん・・」(これから、“彼”をどうするのか、考えないと・・)にほんブログ村
2021年12月21日
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後味悪い話が多いですが、読み応えがありました。
2021年12月18日
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「仁錫様、お見舞いの品が届きました。」「そうか。後でご婦人方にお礼の手紙を書くとしよう。」「余り無理なさいませんように。」「あぁ、わかっている。」 仁錫の寝室から出たパーシバルが厨房で仁錫の食事を作っていると、外が急に騒がしくなった。「パーシバルさん、大変だ!」「何かあったのですか?」「それが、イソク様に会わせろと・・」「そうか。わたしが行こう。」 パーシバルが厨房の裏口から外へ出ると、そこには汚い髪を振り乱しながら一人の女が叫んでいた。「あの小僧を出せ!」「申し訳ありませんが、主はあなたとはお会いになれません、どうかお引き取り下さい。」「何ですって~!」 女は怒りで顔を歪ませると、パーシバルに唾を吐きかけた。「旦那、どうしたんですかい?」 女とパーシバルが揉めている所を見ていた野菜売りが、そう言って女の顔を見た。「ありゃ、こいつは向こうの通りに住んでいるフィッツですよ、旦那様!」「この女を知っているのか?」「はい、知っているも何も、この女は頭がおかしい事でこの界隈は有名なんですよ!さぁフィッツ、家まで俺が送ってやるから。」「あたしはまだ・・」「ほらほら、これ以上旦那を困らせるんじゃねぇぞ。」 野菜売りは意味不明な言葉を喚き散らしている女を連れて、通りの向こうへと消えた。「どうした?外が騒がしかったようだが、何かあったのか?」「いいえ、何でもありません。少し猫が暴れていただけです。」「そうか。」 二階の寝室の窓から外の様子を覗いていた仁錫は、パーシバルの言葉を聞いた後、安心したような表情を浮かべ、寝室の奥へと消えていった。「イソク様、ご昼食をお持ち致しました。」「美味そうだな。」「ええ、ミートパイですよ。」「朝鮮に居た頃は、よく姫様がお粥を作って下さいました。」「お粥・・オートミールのようなものですか?」「あぁ。昔住んでいた妓楼の近くに薬草が生えている山があって、そこに良く薬草を摘みに行った。すっかり山で遊ぶ事に夢中になって、ベクニョ様に叱られたなぁ・・」「ベクニョ?」「当時、世話になっていた妓楼の女将だ。妓楼で暮らしていた頃はいつも人が居て賑やかで、時折あの頃の事を懐かしく思ってしまうよ。」「そうですか。」「それにしても、先程外で騒いでいた女性だが、俺の事を知っているのか?」「さぁ。顔見知りの野菜売りの話では、あの女は頭がおかしいとか。イソク様がお気になさるような事ではございません。」「そうか。」「イソク様は皆さんを安心させる為に、早く良くなって頂かなければ。」「あぁ、わかったよ。」 パーシバルが寝室から出て行った後、仁錫はナイトテーブルの引き出しから一通の手紙を取り出した。 その手紙は、ベクニョの訃報を知らせる、尚俊からのものだった。 ベクニョは、血が繋がっていなかったが、早くに母を亡くした仁錫と椰娜にとっては、母同然の存在だった。 肺病に罹っていたベクニョの最期は、眠るように穏やかなものだったという。 仁錫は、首に提げていたロケットを開いた。 そこには椰娜の写真と、もう一枚、ベクニョと椰娜と仁錫の三人が撮った写真があった。『写真だって!?』 三人で写真を撮った日は、丁度教坊に朝鮮を旅行していた英国人女性がやって来た時だった。 朝鮮の文化や生活、風俗を研究していると言ったその女性は、記念撮影でもしましょうと椰娜達を誘ってくれたのだった。『魂を抜かれたりしないのかい?』『そんなもの、ありませんよ。』 三人で撮った写真は、今も色褪せずに仁錫と椰娜の互いのロケットにそれぞれ納まっている。(どうか、安らかに・・) 仁錫は、ベクニョが眠る東の空に向かって、冥福の祈りを捧げた。 一方、サンクトペテルブルクでも、椰娜はベクニョの訃報を受け、彼女の冥福を祈る為に、朝鮮から持って来た伽耶琴を奏でていた。『ユナお嬢様、アレクセイです。』『暫く一人にして。』『かしこまりました。』『アレクセイ、あの子はどうしたの?』『今日は、ユナお嬢様をそっとさし上げて下さい。』『わかったわ。』 数日間、椰娜は自室に引き籠もり、指先に血が滲むまで狂ったように伽耶琴を奏でた。『一体、あの子はどうしてしまったの?』 オリガは居間で刺繍をしながら、そう言った後顔を顰(しか)めた。『お母様、あの子にとって母親代わりの方が亡くなられたのだから、あの子が塞ぎ込んでしまうのは当然でしょう。』『でもね・・』『わたしが少し、あの子の様子を見て来るわ。』 アナスターシャはそう言うと居間から出て、椰娜の部屋の前に立った。『ユナ、わたしよ。』『お姉様・・』 ドアが開き、部屋の中から現れたのは、まるで死人のように蒼褪めた顔をしている椰娜の姿だった。『大丈夫?』『申し訳ありませんでした、うるさくしてしまって・・』『いいのよ。少し、休みなさい。』『はい・・』 椰娜がそう言ってアナスターシャに頭を下げようとすると、急に激しい眩暈に襲われ、意識を失った。『誰か、お医者様を呼んで!』 椰娜は、貧血と栄養失調で数日間入院する事になった。『辛いのはわかるけれど、無理をしては駄目よ、わかったわね?』にほんブログ村
2021年12月02日
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