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平壌の記念堂には金日成主席のミイラが安置されている。
北は、金日成バッヂを付けたり「金日成思想」を喧伝し、個人崇拝を露わにした。 当時、毛主席に対抗するもののようだったが、このミイラもレーニンや毛沢東に倣ったようだ。
それら3体は、ベンサム(Jeremy Bentham. 1748-1832功利主義哲学の提唱者) が自分のミイラを保存させたのとは意味合いが違う。 彼の遺体は崇拝の対象とはされていない。 遺言によって、みずからの死体を友人たちの前で解剖させたうえ、その死体をミイラにして飾っておくことにした、という。
みずからの遺体を一個の物体と看倣したのであって、指導者の遺体を「聖遺物」として麗々しくも恭しく安置したソ連、中共、北鮮とは真逆。
さて、レーニンの遺体を埋葬せず、地上で保存しようと提案したのは誰か。
化学者のレオニード・クラシンだと聞く。 革命前のボリシェビキ(共産党の前身)のために財政を担当し、資本家から政治献金を集めていた人物である。
コスミズム (宇宙精神) という思潮に強く共感していたので、資本家でも彼に協力する物好きがいたわけだ。
彼らが追随していた思想によると、死後の蘇生や永生不死は可能であり、人類は意思の力によって自らの肉体を創造・進化せしめることができると構想していた。
米国人が「墓からの甦り」を信じるようになったのに似て、ロシア人も同様に信じたのだった。
また、肉体の再創造によって、空中を飛べるようになる、とも考えられていたそうだ。
片山潜の娘が「労働者階級になるため」として、ロシア人しか働いていない工場に住み込みで働きに行ったそうだが、労働者の子や失業者が職業訓練を受けて就労を目指すとか、工場労働者と交流を深め、幅広い経験を積むというだけならともかく、工場で働くだけで労働者階級になれるはずはない。
たとえば、勤労動員や懲役刑に服したからといって、所属階層や身分意識が変化したりはしない。
「労働」を心身の改造、つまり仙人、聖者になるための「修行」「秘術」と同様にみていたのではないか。
これらの奇妙な考え方は、神秘的というべきか、スピリチュアルというべきか知らないが、朝鮮人はもとより、ロシア人なども唯物論を受容し損なった結果と言えよう。
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