2008/01/07
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カテゴリ: カルトと反カルト
宗教は一般に、平信徒の「勝手な」自殺を禁じますが、中には即身仏ということがあり、
1963年以降、南ベトナムのアンクァン寺派の僧侶は、
仏教を迫害する政権に抗議して焼身自殺しました。
厳しく言えば、自殺を利用する宗教活動でした。

1960年代後半に登場した日本人過激派学生は、急速に挫折し、
中には挫折感から自殺する者もいましたが、
何かの宣伝にはなりませんでした。
これに対して、韓国「運動圏」の学生は、ただの失恋による自殺に、
あえて政治的主張を加えるように「血書」をしたためて美化し、悲愴感を演出しました。


軍が住民をスパイとして処刑するなどの強い威圧を前提として、
『生きて虜囚の辱めを受けず』という価値観、軍官民一体化の下で教育された結果、
「潔い自決」によって「皇運を扶翼」しようとしたのでした。
米軍には徹底抗戦の意志を見せ付けたことでしょう。

北朝鮮。1980年代、北のラジオ放送は、抗日遊撃隊の斥候(偵察係)が帰途、敵に見つかり、
逃げ切れないと判断して自決するという「美談」を宣伝していました。
この徳目を「 革命的義理 」と称しました。

1986年、北の将軍様はこの道徳律を次のように説明しています。
・・・・・・・・・・・・・・・・
革命的義理・同志愛 
首領、党、大衆は一つの生命に結合して運命をともにする社会政治的生命体であるため、
革命的義理 と同志愛の関係が形作られます。
・・・・・・首領は社会政治的集団の生命の中心ですから、
革命的義理 と同志愛も首領を中心としたものとなるべきです。
・・・・・・首領は社会政治的生命体の最高脳髄として、集団の生命を代表しているため、
首領に対する忠実性と同志愛は絶対的かつ無条件的なものとなります。


子どもが自分の父母を愛し、尊敬するのは、自分の父母が必ずしも他人の父母よりもまさっているとか、父母から恩徳を受けられるからではなく、
まさに自分を生み、育ててくれた生命の恩人だからです。
革命的義理 を守る人であれば、良いときでも、悪いときでも変わることなく、
ひとえに自分の生命の母体である首領、党、大衆と生死運命をともにするものです。
・・・・・・・・・・・・・・・・

「主体思想教養で提起されるいくつかの問題点について」、
小此木政夫/徐大粛監修『資料 北朝鮮研究 チュチェ思想』所収、
慶應義塾大学出版会、1998年、364-370頁。(抜粋)
・・・を岡崎晴輝氏サイトより再引用



1987年、金勝一(キム・スンイル)と金賢姫(キム・ヒョンヒ)は、
日本人観光客・蜂谷父娘に扮して大韓航空機を爆破し、空港で捕獲されたとき、服毒自決を図りました。


ところで、構成員がすすんで死ぬことを求める指導者・組織は他にもいます。


ネット上で見掛けた某外国人教祖の言葉が記憶から消えません。

1960年代後半から70年代、日本では革新政党や学生の過激派が盛んでした。
この時期、日本を左翼勢力から救うために、一人の日本人青年が左翼に殺されるように仕組み、
これを大々的に宣伝して日本人の愛国心に訴えて、ソ連系 (日本社会党社会主義協会派・社青同) などの左翼陣営に反撃しようと計画していた、
という回顧談です。
荒唐無稽な法螺噺ともいえますが、思い当たる事件があります。


エバ校 の自殺未遂事件です。
過激派(反ソ連系 トロツキー派 )の学生が某ミッション系大学のサークル棟から某サークルを追放しようと策動し、
部室のドアを叩いて騒ぐと、なんと!!ドアが開くや否や中にいた女子学生が3階の窓から飛び降りたというのです。
(さいわい死ななかったので未遂です。)


人権蹂躙です。 (・・・と言っても「馬の耳に念仏」だろうが。)


「なんでもする人たち」という評価は全国に轟きました。
そんな「超過激」学生集団はいまだかつてありませんでした。

このような北朝鮮並みの全体主義にわが国の青年学生が巻き込まれてはならない、
という憂慮が穏健なリベラルの一致点になったことはいうまでもありません。


これらの自殺を見て、いくつかの違いを挙げます。
その組織的自殺によって得られるものは、何でしょうか。

南ベトナムの僧侶の宣伝は親米政権を揺さぶりましたが、
仏教が尊重されるようになったわけではありません。
韓国の反米学生運動は着実に前進するのではなく、一時の勢いに流されました。

北の抗日遊撃隊が自決する利益は、密営(秘密キャンプ)の軍事機密を保つことです。
日本人父娘に扮した国家テロリストの自決も国家機密を保とうとしたものです。
「共和国と首領様の為」でした。

沖縄集団自決は、第一に軍機保護、第二に食糧・塹壕確保、第三に敵兵による凌虐への恐怖からの逃走、といった利益のほか、
沖縄は帝国のため、悠久の大義のために玉砕するまで戦ったのだという名誉もあったことでしょう。
「大日本帝国と天皇陛下の御為(おんため)」です。


さて、サークル棟投身自殺未遂はどうなのでしょうか。

これは、本人の口から知識・情報が漏れないようにするという防衛的なものではありません。
もしも、事前に組織の指令、教唆があったとすれば、
敵に濡れ衣を着せようという意図の下、積極的に「転落死体」を利用しようとしていたのではないでしょうか。

斥候が保秘と忠誠すなわち「性相」を敵の手から防衛する北の儒教倫理とも異質で、
女子学生には命を捧げさせて遺体すなわち「形状」を攻撃材料に仕立てようとするのですから、
天、人ともに許さざる姦計 であったかと思います。





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最終更新日  2008/01/08 10:56:49 AM
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