きょういく ユースフル! ~ 僕は触媒になりたい ~

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2024.05.05
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昨日から、以下の本の読書メモを書いています。


関係支援を核とした学級づくり 「特別でない」特別支援教育をめざして』
(拝野佳生
(はいのよしき)、解放出版社、2023/11、税別2000円)

前書きについてふれた、前回のブログ記事は、​ こちら ​。スマイル


本書には僕の心に突き刺さったエピソードや著者の考えがたくさんあるのですが、全部紹介しているときりがないので、絞りに絞って、書いていきます。

最初の方の記述で、僕がどうしてもふれておきたいのは、
第1章第1節第2項「 在日コリアンとのかかわり 」です。


その学校は、当時、全校児童数の約1割が在日韓国人・在日朝鮮人の子どもたちだったそうです。
(p15)

このとき、著者は、ある人の発言で、「周りの子」にこそ目を向けるべきであると気づかされます。
ある研究会で、朝鮮初級学校の先生が、こんなことを言われたそうです。


・「ことばにこだわるようですが、
  『在日朝鮮人問題』という言い方がありますよね。

  私、これ、どうかと思うのです。
  差別しているのは日本人ですよね。
  問題は日本人なのに、なんで『在日朝鮮人問題』と言うのでしょう。
  私たち朝鮮人が問題ですか?」

(p15より)


僕は、これを読んで、ガツンと、鉄槌をくらったような気がしました。びっくり

そして、これは、「在日朝鮮人問題」に限らず、ほかのことでも、同じことが言えると思いました。

「障害者」の問題にしても、そうです。

「不登校」の問題にしても、そうです。

「学力問題」ですら、そうです。

「あの人たち」「あの子たち」の問題にしてしまっていて、自分たちの問題としてみなしていない。


「問題だ」と問題視している、僕たちのほうが、「問題」かもしれないのです。

まさに、「問題はつくられる」であります。号泣


この後のページに、「在日朝鮮人問題」の当事者である、対象の子どもたちが、ホンネを吐露する場面の記述があります。

自分たちだけ別室で事前に人権学習をしていた話 」(p20)についてです。


・「私、あれ、あんまり好きじゃなかったわ。
  なんで私らだけ特別なん? とか思っていた。」




周りで思っていたことと、当事者が思っていたことが、違っていたのです。

本人たちの思いが、おいてけぼりをくらっていた、というのです。しょんぼり


別室で特別に学習すると言えば、今、「特別支援教育」のなかで、普通におこなわれていることです。

いえ、「特別支援教育」という範疇にとどまらず、「集団での学習や集団生活についていけない子を、特別に個別に見てあげるのが丁寧だ」という考え方が、幅をきかせています。
そういう指導が、その子たちの気持ちを確かめずに、おこなわれています。

ここでも、やはり、「これは、この子たちだけの問題ではない」と思いました。

本書が重要なのは、こういった当事者目線に立った、人権問題としての視点に、気づかせてくれるところにあります。

僕たちは、ともすれば、親切心で対象の子どもたちだけを、別室で少人数で学習させるなどして、本人たちの気持ちも確かめずに、手前勝手な指導をしているのかもしれません。


本書のサブタイトルに、「 『特別でない』特別支援教育 」という言葉があります。

一見、矛盾したように見えるこの言葉に、「学校を特別なものにしない」という、著者の決意が隠されているように思えてなりません。

当事者主体の「『特別でない』特別支援教育」を考え、それを実現しようと実践を重ねていくことは、すなわち「ともに」考えることであり、「ともに」実践をつくっていくことであります。


今回ご紹介した第1章第1節のタイトルは、
人権意識の”変わり目”となったエピソード 」です。

僕は、まさにこの、本書での著者の立ち位置、スタート地点をこそ共有したいと思います。

多くの皆様が本書を手に取って、この第1節だけでも、読んでいただけることを、切に願います。ぽっ


明日以降のブログでは、
第2章 『関係支援』の具体的展開
の内容に、入りたいと思います。

よろしければ、明日もまた、見に来てくださいね。






「困った」子への向き合い方 ~木村泰子『「ふつうの子」なんて、どこにもいない』
 (2021/05/05の日記)​​

「いろいろなものが分けられたことによって・・・」 ~孫泰蔵『冒険の書 AI時代のアンラーニング』その4
 (2023/08/20の日記)





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Last updated  2024.05.05 08:00:11
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