PR
Keyword Search
Category
Freepage List
古代ローマ水道 7 (スペイン・セゴビア)
古代ローマの水道橋(スペインのセゴビア編)

カステーリャ(Castilla)は、中世にカスティーリャ王国に属していた地域で、その中にセゴビアの街もある。1985年に世界遺産に登録。
街の中に堂々と今も鎮座するパーフェクトな古代ローマ時代の水道橋である。街のシンボルであり、街の紋章にもなっている。
セゴビア(Segovia)の水道橋
このローマ水道の起源は1世紀前後と不確かで、2つの説がある。
1、初代ローマ皇帝アウグストゥス(在位:BC27年~BC14年)の代にはあった。
2、第13代ローマ皇帝のトラヤヌス(在位:98年~117年)の代に造られた。
アウグストゥス帝の代であれば、アグリッパが指揮している可能性もあるがそれらしき説はない。確かに、スペインはカエサルの時にローマの属州になっているので考えられなくもないが・・。
トラヤヌス帝(マルクス・ウルビウス・ネルファ・トラヤヌス)(53年~117年)は
五賢帝の一人として知られているが、実は元老院議員の子ではあるが、 属州出身者で初めて皇帝になった
事でも知られている。そして 彼の出身地がヒスパニア・バエティカ属州(現スペイン)で
ある。
トラヤヌスは属州アシア総督を務める父の元で軍人としてのキャリアをスタートさせ皇帝になってからは彼の治世に最大規模にローマ帝国を拡大させる。彼が出身スペインの為にローマ水道を造ったとしても不思議ではない。
(あるいは、彼の跡を継いだ第14代皇帝ハドリアヌス(在位:117年~138年)が、帝国各地の巡察旅行(チュニジア編で説明済)中に工事を指揮している可能性もあるかもしれない・・。)
市内から14km離れたフエンフリア山脈の水源フリオ川からの取水らしい。
長さ728m、高さ28.8mに及ぶ水道橋は、世界で最も保存状態の良い水道橋
と言われています。
122の柱と166の美しいアーチで構成されている水道橋は、2万個以上の花崗岩を積み上げて作られています。 接合部は一切何も使われておらず、ただ石を積み上げてアーチの均衡を保ってい
るだけのようです。
これは 古代オリエントの時代からあった工法
で、確かにこれだけの細いアーチをつなげての見事な橋はローマの土木技術のたまものなのでしょうが、同時に疑問もあります。
1世紀前後、特にトラヤヌス帝の時代には、ローマの建築物はローマン・コンクリートを使って建てられる工法が確立されて、それが主流だったのになぜ? 使わなかったのか? (より強固であるはずなのに・・。)
そもそもここの水道は今まで紹介した水道橋とは少し傾向が違う気がします。ローマの建築技法と言うよりオリジナル性の強い工法の気がします。何だか見ていてとてもスペイン的な気がするし・・。
1072年異民族(ムーア人)によって36のアーチが破壊され、1484年に尖方形アーチに修復されたと言う説もあるので、ひょっとするとこの広場一帯の高い部分は後世の修復部分なのかもしれません。
このローマ水道自体は19世紀末まで実際に使われていた
そうです。実用だったからこそ今まで壊れずにいたのかもしれません。
そして、現 在も、アーチの最上部に水道管が敷かれ、街に水を供給
しているそうです。
上から見るとけっこうな高さです。
下はこの橋の上の位置から撮影した街の様子です。(橋左側)
穏やかな街と言う印象があります。
この街の歴史は謎めいています。有力なのはローマ人起源の説だそうですが(ローマ水道があるから?)中世以降の城や教会や歴史は聞こえてきますが、遡っても特に何もで出来ません。浴場とか、競技場とかローマ時代に付きものの残骸さえないので、水道橋がなかったらローマの属州だった事もあやしく思えそうです。
せっかくなので、この街のもう1つのシンボルのアルカサル(王城)の写真を紹介。
ローマ時代の要塞跡に13世紀初頭に建てられた城です。1570年フェリペ2世が結婚式を挙げた城でもあります。そして、ディズニー映画「白雪姫」の城のモデルだそうです。
次回ローマ水道まとめで行きます。
リンク 古代ローマ水道橋 8 (イングランド・バース編 1)
アントニ・ガウディ(Antonio Gaudí) 2 … 2024年03月03日
アントニ・ガウディ(Antoni Gaudí) 1 高… 2024年01月22日
ウィーン国立歌劇場とハプスブルグ家の落日 2023年10月08日