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空飛ぶ絨緞 ? (トルコ絨緞) 1 (ブルサ・シルク)
アラビアン・ナイトの空飛ぶ絨緞
残念ながら本当の千夜一夜物語にその頁はないようです。
邦題「千夜一夜物語(The Book of One Thousand and One Nights, Arabian Nights Entertainments)」
古いイスラム世界のアラビア語の説話集は、 もともと9世紀頃のバグダッドの街の語り物、口誦(こうしょう)文学だったとされているよ
うで、原本と言うものじたいが存在しないそうです。
さらにそれに加えて成立後も様々な作家によって新たに挿話が付け加えられアラビアンナイトの物語は作られたようです。
当初はヨーロッパ人の東方への憧れ、アラブ世界の事を知るための案内書の役割を果たしていた物語なのだと言われています。
私達が通常知る絨緞とペルシャの絨緞は、柄も、きめの細かさも。手触りも、重ささえも全く異なり、職人芸による伝統美込められた芸術品です。
そんな異国(アラビア)の香りする絨緞なら「本当に空飛を飛べるのではないか? 」、
「不思議の絨緞は実は密かに売られているのではないか? 」と、アラブのバザールを見ているとふと思ってしまいます。
不思議の国の絨緞は、無いとわかっていても夢を見させてくれるのです。
下は、イランのカーペット博物館のペルシャ絨緞です。
ところで、アラビアン・ナイトなので、ペルシャ絨緞としましたが、今日はトルコ絨緞作りを紹介します。(両者には同じであって同じでないへだたりがあります。)
最古の絨緞は、南シベリアのアルタイ山脈から発見されたスキタイ王の墳墓から凍りづけで発見された2m×2mの絨緞
で、BC5~BC3とされてます。
1cmあたり、6×6で織られていた驚きの技術だそうで、 デザインはペルシャ的であり、技術はトルコ式
だとされ、 ペルシャ絨緞が先か? トルコ絨緞が先か? と言う論争がある
ようです。
そもそも絨緞は、遊牧民の生活の中から生まれたと考えられています。羊やラクダの牧草を求めて移動を続ける民に、暖かく、携帯にも便利な絨緞は必需品だったからです。
そう言う意味では、絨緞は羊毛で出来きたウール100%が基本だったのかも知れません。(ウールに関して言えば山地に育った羊の背中の毛、それも春毛が優良なのだそうです。)
今日紹介するのは、シルク織りの絨緞です。
ブルサ・シルク
絹糸の元の養蚕(ようさん)は、中国で始まり、1400年頃にアナトリアに伝えられたようです。
トルコ国内の絹の需要をまかなっているのがブルサで、ブルサは桑の葉の環境に適しているようです。
※ 当初シルクの織物を中国から運んでいたソグド人。いつしか、彼らは門外不出の蚕(かいこ)その物を持ち出してソグディアナ経由で伝わったと考えられる。
リンク アジアと欧州を結ぶ交易路 5 ソグド人の交易路(Silk Road)

マユは、湯がかれるとほどけてくるようです。
合わさった糸をほぐして機械にかけて、巻き取っていきます。
絹糸になったらそれらを染色していきます。
トルコの染料も今やほとんど化学染料によるもののようです。
手間のかかる草木染めは少数になっているようです。 高級品は、当然草木染めです。

天然染料で染めた糸を使った絨緞は、年数がたち、洗えば洗うほど、渋く、何とも言えない良い色調が出るそうです。
一方化学染料で染めた物は年月がたつごとに退色するのだそうで、後世残すべき芸術品に化学染料を使うわけはありませんね。親方の認めた技術の有する物が再利用の素材を使って織るのでしょう・・。

赤の染料
は、赤タマネギの皮やヘンナの粉、黒イチゴの実、貝殻虫の一種コチニール(えんじ色)、茜の根が知られているそうです。
青の染料
は、たで科の一年草藍の葉と茎から採取。
黄色の染料
は、山藍、いらくさの茎と花、金木犀やカミツレ、ザクロ、サルビアの花、うるしの枝、オリーブ、はっか、マルメロ。
緑の染料
は、イチジク、西洋カリン、アーモンド、ぶどうの葉、ハシバミの実(ピスタチオ)の殻など。たいがいは黄色と青色の染料を合わせるようです。
つづく・・。
リンク 空飛ぶ絨緞 ? (トルコ絨緞) 2 絨緞の歴史
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