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陰鬱な墓場を抜けて、一応元気よく旅を続けている若者だが、突然素早いリズムの伴奏が始まる。本当に「冬の旅」を初めて聴いていた者には、あまりの落差に驚いてしまう。最初の威勢のいい伴奏の4小節はフォルテ指定なのに、歌が始まる5小節目からピアノ指定になっている。歌詞も日本人の筆者には理解できそうもない。唯一思うのは、「この人酔っ払ってる?」である。一応このブログのタイトルにも入れたが、筆者は "Mut" は「勇気」ではなく、「空元気(からげんき)」だろうと思っている。 あまり試みたことはないのだが、この22番だけは翻訳するとこうなるのではないかと思う。まず「なにかに酔っている」前提の翻訳であるが、江戸弁・東京弁はお許しを。とにかく「自棄(やけ)に」なっての発言と捕らえることができそうである。翻訳案#1 てやんでぇ、雪のやろうが顔にベタベタ くっつきやがるから、払ってばかり ああ、くさくさすっから、 歌でも歌おうか おいっ!俺は気弱になってるかも でもそんなこたぁ気にしねぇ! 愚痴はいうめえ、愚痴はおバカの 独り言さぁ ひどい風も吹雪もなんのその 俺等で楽しくやろうぜぃ 神様が出てこないなら 俺等が神様になってやろうぜぃ!次はちょっとだけ真面目に翻訳翻訳案#2 雪が顔に叩きつけてくる 僕は雪を払い落とす とかく気落ちするから 歌でも歌おう 心のなかで何を言っても 耳は傾けないぞ どんなに不満を心が言っても 感じないんだぞ さあこの世の人々と楽しくやろう 雨風なぞ何のその 神この世におわせねば 我等、神にならん何れにせよ、呑んだくれの寝言に近い。5小節目からの歌を本当にピアノで歌うというのは誰でも躊躇うのだろう。だって、旅の途中であたりに人気が無い場所で、そんなに小声で歌うのは、理解できない。ピアノ指示は、伴奏についており、歌詞を独白と見れば、現実の世界から、自分の心の世界に入った若者は、自由にメゾピアノからメゾフォルテくらいに歌い、心が内向していることを示すべきなのではないだろうか。CDなどで確認しても、ひっそりと歌っている例はあまりない。メゾフォルテくらいで歌って、「お茶を濁している」状態だと筆者は断じる。伴奏の威勢の良さに乗って、あまり強く怒鳴るのも感心はしないが。伴奏は、その外界と若者の心の独白を意識して演奏すべきである。 この若者の身になって考えれば、この歌のように自らを慰め、奮い立たせようとしているが、心の奥底では自分の空元気に気づいている。狂気と自棄の間を埋める心のクッションなのだろう。 ベーレンライター版などでは、第3連の始まる37小節目に二重線が引かれていることに注目したい。歌詞も第3連では初めて若者は"ich" 「私」ではなく、"wir" 「我等」としていることに注目すべきである。さすがにこの時代に、単数形の「神様」になるぞなどという歌詞はまずかろう。作詞者のミュラーにも遠慮はあるだろうし、シューベルトも妙なところでゴタゴタしたくなかったのだろうか。勢い余っての発言だから許せということであるらしい。単数形の「神様」がいらっしゃらないなら、私達が「異教の神々」に成ってしまおうかなくらいのニュアンスであろう。 第3連はメゾフォルテの伴奏が小節の頭から始まり、歌もそれに合わせるかのように、熱っぽく合わせてゆく。第3連は歌詞が2小節の間奏を挟んで繰り返される形式で、全体が4連から成立するかのような構成になっている。3連の二度目の繰り返しは、自棄になった若者の心の叫びとしてフォルテで表現すべきなのだろう。 第1連と2連の上行形と下降形で叙述と命令文のようになっている組み合わせが何度も出るが、各々の前半部分をピアノで自信なげに歌い、後半はやや力強く歌って、問答のような対比感を成立させるという歌い方も試してみたい。 筆者が注意喚起をしたいのは、リズムに乗って、38, 44, 50,56小節の末尾の、"hinein" "sein" が4分音符なのを忘れてしまわないようにという点である。その前の8分音符の繰り返しにつられてしまうと、余りに弾み過ぎて聞こえるからである。クレームブリュレ 2個入 カタラーナ クリームブリュレ プリン プレゼント スイーツ ギフト お取り寄せ 送料無料 冷凍 お菓子 内祝い お祝い クリスマス 洋菓子 Patico 【a】価格:3980円(税込、送料別) (2022/12/31時点)楽天で購入
2022年12月31日
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若者は町外れの墓地にたどり着く。死への恐怖と羨望がない混ぜとなった心には、寒く気味の悪い墓地を見て、安住の地と思えたのだろう。先頭のピアニシモは、3小節目のクレシェンドでピアノ指示の4小節まで緩やかに大きくなって、次第に墓地に近づく若者の心に、ある種の諦観と絶望感を懐かせる。初めの4小節は葬送の鐘の音を暗示して、町の住人に不幸があり、埋葬するのだろうか。少なくとも一つは、新しい墓とかけられた糸杉のリースが若者を招く。墓地に近づく若者の足は疲労で重く引きづっている。だから先程まで聞こえていた鐘の音の速度は極めて遅い。餓えと寒さでよたよたと歩くということで、先頭の Sehr langsm という速度指示が生きてくるのであろう。どれくらいゆっくりかは、歌い手がどの程度に若者を「疲れさせる」かにかかっている。この歌は、この若者のヨタヨタ歩きの度合いが曲想を決定するのだろう。こう考えると、この「宿」にも宿泊はできないのかと、見えない宿の主人を詰る22小節からの、少なからず怒気を含んだ諦めの嘆きの部分からは少しテンポを速め、旅杖とともにまた旅を続ける決心の部分に、そのままつなげることも試してみたいものだ。シューベルトは速度については冒頭の「極めてゆっくり」以外は示してはいない。歌い出しもGで低く物憂げな様子である。「自分の旅はある墓地に行き着いた」から始まる、不気味な歌であるが、若者の落ち着いた声音から、聴き手はじっと様子を見る事となり、若者の反応を待つのだ。「ああ、ここだよ。ここにこそ泊まりたいんだ、と心の中で呟く。」私達聴き手はハッとしてしまう。墓地で宿泊ってことは、墓に入るってことか?と唖然としてしまう。更に若者は墓地の中に入り込む。まだ新しい「緑の(糸杉の?)葬儀の輪は、宿屋の看板に見えてきて、疲れた旅人を冷たい宿に誘う」聴き手は「おいおい、本気じゃあるまいな」とやはり心配になる。やはり幽冥の境の墓地にいることで、聞き手も心配になるのだが、この第3連で、一渡り墓地を歩いた若者は、一つも部屋(墓穴)が空いていないので、少し高めの旋律で憤りを示す。すこし強めの発声で憤ることで良いだろう。「この宿の部屋は全部埋まっているだと?こんなに死ぬほど疲れているのに!」この「死ぬほど」tödlich は、歌詞だけ読めばシャレのようだが、若者の心情としては笑えないものだろう。疲れ切って寒くて多分ひもじい体はを抱えて、もうどうとでもなれ!という気持ちにもなろう。第1連〜3連は2小節の間奏があるのだが、第3〜4連の間奏は1小節分で、若者の苛ついた気持ちが表現されている。第4連の開始時には「ああ無情な亭主め。私を追い出すのか?」とつい音量が上がる。この連の3~4行目つまり曲の最後の部分の歌詞が、注意を引く。「ではまた歩こうではないか、また。わたしの旅杖よ」”Nun weiter denn, nur weiter, Mein treuer Wanderstab"楽譜では上記の歌詞が繰り返されるのだが、"nur"に毎回クレシェンドがついている。一度目の"nur"と二度目の"nur"は、後の方が高く、まるで自らの体と心に言い聞かせている様に思える。一度目の「わたしの旅杖よ」にはピアノの指示があるが、二度目にはついていないことにも注目して歌いたい。閑話休題「旅杖」が出てきたが、私達には馴染みがない代物だろう。舗装された道路のない時代には、道路の状態を確認、蛇などを払う、小川を飛び越えるときの支え、野宿するときの簡易テントの支柱、山賊と戦うときの武器などと用途は沢山あったようだ。でもミュラーの描く『冬の旅』では、この若者はどんな使い方をしたのだろうか?筆者なら野宿するにしても、旅杖があれば、低木の木の股杖を指掛けて屋根の芯材してから、枝を斜めに指掛け、その上から木の葉を並べて屋根を作るだろう。しかし冬の北ドイツの林には、灌木や葉を繁らせる樹木などあるのだろうか?私事であるが、恩師のロゲンドルフ神父様は、今はフランス領のシェルブールのご出身だったが、もう心は日本人になっていて、私達日本人はなんて講義の時に口にしていた。でも一つだけドイツが恋しい点は、ドイツの森だ。とにかく2・26事件のときには大学の屋上から、反乱軍部隊を眺めていた程の在日経験を持つ先生なのだが、恋しいのはドイツの森を歩いた日々なのだと。日本にも森はあるでしょうにと申し上げると、「いや君!違うのは下生えのことだ。日本の森は下生えの植物が多すぎて、まっすぐ歩けないじゃないか。ドイツの森は下生えの植物がとても少ないから、森の中へどこまでも歩いていけるんだ。幼い子供が森の奥へ奥へと簡単に進めるんだ。だからヘンゼルとグレーテルの話は、日本が舞台だったらありえないだろうね。だから森の中を彷徨い歩くワンダーフォーゲルなんて活動が起きたんだよ。」とのお言葉。四ツ谷からほとんど毎日、晴海まで散歩をなさっていた健脚の恩師が懐かしい。というわけで、若者は野宿ではなく、岩陰や炭焼小屋に宿泊していたのだろう。筆者もドイツの雪の森で、野宿はできそうにない。まあ猛獣がいないけれど狼がいそうだから、当時は命がけだったのかな。ゆるニット※12月25日20時ベージュ、ピンク、ブルー、グレー、ブラック、ホワイト、ブラウン、ネイビー、ダークグレー、レッド、ターコイズ再販いたします※価格:6990円(税込、送料無料) (2022/12/26時点)楽天で購入
2022年12月26日
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