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著 者=井上荒野(いのうえ・あれの)書 名=切羽へ発行所=新潮社発行年=2008.5評 価=★★★☆☆【送料無料】切羽へ第139回(2008年上半期)、直木賞受賞作品である。内容は、とある離島で暮らす画家の妻であり小学校の養護教諭でもある主人公が体験する1年間の物語であるが、あまり変わったことは発生しない。タイトルの切羽(きりは)とは、土木用語で「トンネル工事中等の掘削面」のことで、何かが活動中の最も活発な所というニュアンスで使っているのだろうけれど、あまりしっくりこない。過去・現在・未来へと続く時間軸では、常に日常生活の「現在」が「切羽」であり、それでしかありえない。「切羽へ」と言われてもどこのことへって感じである。むしろ、切羽(せっぱ)<刀の刃と柄の間にある薄い金属>の意味の「行き止まり・切羽つまる」の方が意味深でしっくりくる。ジャンル的には、主人公と交流する男女の行動や思いが本作品最大の見せ場なんでしょうが、恋愛作品でなくほんの淡い思いの表現作品といった所でしょう。主要作品 なし 小説家井上光晴の長女、1961年生まれ東京都出身
2011.08.21
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著 者=海堂 尊(かいどう・たける)書 名=ジーン・ワルツ発行所=新潮社発行年=2008.3評 価=★★★★☆【送料無料】ジーン・ワルツ地域医療崩壊と不妊治療問題への厚生労働省の無能を痛烈に非難したフィクションである。従来、地域医療は、インターンシップ制度という名で大学病院の教授が研修医を派遣することで系列病院化することと見返りに確保されてきた地域医療が、厚生労働省の「白い巨塔」壊滅戦術により一部の人気都市部に集中することで地域医療が崩壊したこと。また、少子高齢化・人口減少問題が重要といいながら、不妊治療や代理母出産にはなんの国の政策も法整備もなされていないこと。これらのことを、登場する主人公の行動によって語らせている。ジーン・ワルツとは、ジーン(Gene:遺伝子)は、4種類からなるデオキシリボ核酸(DNA)のわずか3つの配列の繋がりで生成されるタンパク質が決定される暗号情報であるという、3拍子(Waltz:ワルツ)を踊っているような比喩で用いられている。とてもぴったりしたタイトルである。硬派な内容にしては、一気に読ませる実力のある面白い作品である。映画化やテレビドラマ化されやすいことも良く分かる。ただ、少しラストが大団円で淡泊過ぎるのが欠点か・・・主要作品 チーム・バチスタの栄光(2006) アリアドネの弾丸(2010)
2011.08.21
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著 者=あさのあつこ書 名=スパイクス ランナー発行所=幻冬舎発行年=2011.4評 価=★★★☆☆【送料無料】スパイクス ランナー前作「ランナー」の続編。主人公が走る陸上5000mの記録会での出来事が全て。前作を読まないと、登場人物の事情が良く分からないまま過ぎ去る。また、続編もありそうな気配。タイトルが何を象徴しているのだろうか・・・陸上長距離の苦しさは良く分かる。ラップを刻むことは、その必要時間そのものが当人の実力であり、これまで積み重ねてきた努力の発露でもある。そこには、才能や駆け引きやたまたま運のようなものも介在するが、実力以上の事はまずできないしトップ以外の競技者は打ちのめされること確実な競技でもある。高校野球の監督が良く言う、「バッティングは相手ピッチャーやその時々の調子で変わるが、守備は変わらない」と共通するものかもしれない。NHKドラマになった「バッテリー」、現在アニメ放送中の「NO.6」も同じ著者なんですね。とても同じ原作者とは思えないのだが、すばらしい作品でありそれが才能・タレントというものなんでしょう。
2011.08.21
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著 者=青山真治(あおやま・しんじ)書 名=ユリイカ EUREKA発行所=角川書店発行年=2000.12評 価=★★★☆☆本書は、映画「ユリイカ」のシナリオをもとに映画監督である著者が、オリジナル小説として書き下ろしたもの。バスジャック時に乗り合わせて生き残った運転手と兄妹の物語である。EUREKA(ユリイカ、エウレカとも)とは、アルキメデスがアルキメデスの原理を思いついた時に発した言葉として有名で、一般的に「そうか、わかった!」とのニュアンスで用いられる。その意味で何が分かったのか、生きていく理由か生き残った訳か明確には理解できないが、言葉の響きとしては秀逸。映画も、いつかは見てみたい。参考情報<Wikipedia>主要監督作品: Helpless(1996) EUREKA(2000) サッドヴァケイション(2007) 東京公園(2011)配偶者は、女優のとよた真帆
2011.08.21
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著 者=赤染晶子(あかぞめ・あきこ)書 名=乙女の密告発行所=新潮社発行年=2010.7評 価=★★☆☆☆【送料無料】乙女の密告第143回(2010年上半期)芥川賞受賞作品である。外国語大学ドイツ語学科に通う主人公が、とある講義での課題のスピーチコンテストとして、「アンネの日記」の原文暗唱に苦闘する同級生と教授との日常を著した物語である。テーマはなんでしょうか。集団心理の暴走なのか、女性心理の不可解さなのか、はたまた専門家の言動の異常さなのか良く分かりません。本当に芥川賞って良さが良く分かりません。だって面白くないもん。
2011.08.13
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著 者=津村記子(つむら・きくこ)書 名=ポトスライムの舟発行所=講談社発行年=2009.2評 価=★★☆☆☆【送料無料】ポトスライムの舟第140回(2008年下半期)芥川賞受賞作品である。バツいち30歳前の年収163万円で、いつか世界一周旅行を夢見る派遣社員女性である主人公が、複数の同性同級生との間で生じる様々な日常の営みを淡々と著した本でありる。多分、テーマは「ワーキングプア」や「派遣労働者」、「母子家庭」といった労働者の過酷さに関する現実を知らしめることと思われる。また、同性女性上司から理不尽なパワハラを受け、自殺未遂の後、退職を決意した労働者の悲哀を綴った「十二月の岸辺」が同時収録されている。例によって、純文学は淡々な日記風でまったく面白みはない。多分、ワーキングプアやパワハラで悩む同じ境遇の人は広い日本でたくさんいるだろうから一定の同調と評価はされるであろう。
2011.08.13
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著 者=川上未映子(かわかみ・みえこ)書 名=乳と卵発行所=文藝春秋発行年=2008.2評 価=★★☆☆☆【送料無料】乳と卵これはな、第138回(2007年下半期)芥川賞受賞作品でな、東京の下町に住んどお主人公のアパートの元へな、豊胸手術ちゅうのを目的に大阪から上京してきた姉とな、人と話すんに返事をノートで返すちゅうほど無口な姉の子がおってな、その二人がな、新幹線で帰るまで数日間あって、そのあいだのなんのことはないふつーの日常の物語でな、こういう風にとってもとっても長い大阪弁の文章を特徴のぉ、お話やんかあ、他にはぁ、一方的に知らんティッシュ配りの兄ちゃんに好意を寄せてな、結局殴り倒された「あなたたちの恋愛は瀕死」も同時収録されてんで。多分、一般的には、取り上げるテーマとか主人公の視点とか文体とか表現力とか、そういった評価項目が良い作品と悪い作品を区別する軸になるのだろうが、自分にとっては面白いと感じるか感じないかが作品を区別する最も重要な要素だと思っている。
2011.08.13
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著 者=青山七恵(あおやま・ななえ)書 名=ひとり日和発行所=河出書房新社発行年=2007.2評 価=★★☆☆☆【送料無料】ひとり日和第136回(2006年下半期)芥川賞受賞作品である。高校を卒業後、就職するでもなく大学へ進学するでもなく、ただ東京の知り合いのばあさんの所へ転がり込み、しばらくの間フリーターをしつつ二人で暮らした日常を描いた物語である。バイト先で正社員となり、その家を出て行き一人暮らしを始めるが、物語は何の盛り上がりもないまま、最後には、出張時に電車でかつてのおばあちゃんの家を電車で通過した際の感情で終了する。「ひとり」が好きな人の「平穏な感情」を淡々と描くことが目的の作品なんでしょう。「純文学とは淡々なり」と見つけたり。離れて暮らす自分の両親の日常がどうなのか、少し内省する気分になります。
2011.08.13
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著 者=中村文則(なかむら・ふみのり)書 名=土の中の子供発行所=新潮社発行年=2005.7評 価=★★☆☆☆ 【中古】単行本(小説・エッセイ) 土の中の子供【10P02Aug11】【画】第133回(2005年上半期)芥川賞受賞作品である。子供の時、親に捨てられ遠縁の家で虐待を受け続けた主人公が、成人して感じることを著した内容で、最後には過去を断ち切ってそして一人前の普通の大人になる決意を日常生活とともに示した作品である。ある日、普通の日常から突然逃げ出して浮浪者になった心模様を描く「蜘蛛の声」が、同時収録されている。小説を読み慣れていないせいか、特殊な経験をしたとはいえ普通の人の日常を描く面白さが良く分からない。話の展開や広がりもないし、どうなっていくのかのワクワク感もない。芥川賞ってこんな感じなんでしょうか、良く分かりません。
2011.08.13
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著 者=大道珠貴(だいどう・たまき)書 名=しょっぱいドライブ発行所=文藝春秋発行年=2003.1評 価=★★☆☆☆【送料無料】しょっぱいドライブ第128回(2002年下半期)芥川賞受賞作品である。主人公が、さえない町の昔から世話になった初老の既婚男と、冴えないドライブを何度か経て、カラダの付き合いを決心して不倫同棲を始める物語である。また、相撲力士とのカラダの交際を著した「富士額」、幼馴染で傲慢な友人との友情の決別を著した「タンポポと流星」が同時収録されている。昔、親父の車を借りて、当時付き合っていた女性と初めて車で海岸沿いをドライブしたことを思い出した。あの時は幼くて、「お茶しよう」なんて言いだせず、おしっこしたいのをずっと我慢していたことだけが記憶に残っている。
2011.08.13
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著 者=玄侑宗久(げんゆう・そうきゅう)書 名=中陰の花発行所=文藝春秋発行年=2001.08評 価=★★★☆☆【送料無料】中陰の花第125回(2001年上半期)芥川賞受賞作品である。福島県出身の現職の副住職として執筆し、主人公としての僧侶の日常を綴った作品である。内容は、10年前に4週目で流産したわが子の供養を夫婦であげた際に生じた、少し不思議な体験がクライマックスとなっている。なお、本書には、レイプされ妊娠した子を出産・死産させた主人公が、新たな出会いを通じて今後前向きに生きようと決意する話の「朝顔の音」も同時収録作品として掲載されている。自分が子供の時、おじいちゃんが亡くなってしばらくしてある日、母が「昨晩、おじいさんが私の枕元に立っててくれてたのよ」と、とても嬉しそうに満足した顔で当たり前の様に、朝ご飯の時に話し出して、幽霊でも肉親は別なんだなと不思議に思ったことを思い出した。
2011.08.13
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