全7件 (7件中 1-7件目)
1
![]()
著 者=諏訪哲史(すわ・てつし)書 名=アサッテの人発行所=講談社発行年=2007.7評 価=★★★☆☆【送料無料】アサッテの人第137回(2007年上半期)芥川賞受賞作品である。内容は、主人公の失踪した叔父の日記を見つけたことから、日頃世の中との係わりを絶ちアサッテの方向を向き・アサッテの言動を行ってきたことの原因を明らかに読み解く形で、小説にしたものである。叔父の時折発する意味不明の言葉については幼少期からの吃音が大きな影響を与えており、言葉の響きを含め音に対する異常な関心にもつに至った経緯を、主人公が小説にまとめるというスタイルそのものが本書になっている。アサッテの人とは、通常用いられる「まわりを見ない・考えない協調性のない自分勝手な理屈で行動する」人と同じ用法である。正直、あまり面白くない。ただ、前半のくだらなさ・退屈さに比べ、後半に叔父の日記の引用が多用される所からは俄然面白くなる。ただ、普通の人は特に共感することもなく読了してしまうだろう。芥川賞とは、筆者の将来性も含めて審議対象だと思うが、今後作も少し期待できると思わせる点が、最大の良い所かもしれない。
2011.09.24
コメント(0)
![]()
著 者=天童荒太(てんどう・あらた)書 名=悼む人発行所=文藝春秋発行年=2008.11評 価=★★★★★【送料無料】悼む人新聞や雑誌などの情報を元に事件や事故の現場を訪れ、その犠牲者を悼む行為を長年続けている主人公=悼む人と、その家族・話題性を元に悼む人を追う記者・犠牲者の加害者として主人公と同行する女性などの心理を描いた小説である。ありそうでなかった、なんて奇抜な設定なのでしょうか。その点だけでも面白く読める。加えて内容も申し分なく惹きこまれる。四国遍路の88か所巡りに似てはいるが、全く違う終わりのない旅のように思える。本書では、犠牲者の加害女性が悼む人の行為を認め、自らも悼む人として分かれて旅をする場面で終わってはいるが、本当の最終結論はどうなってしまうのでしょう。なにが悼む行為の終わりなのでしょうか。そんな様々な余韻を残しながら、本書は静かに本を閉じるといった読後感である。現代社会に投げかける課題もあって、名作と思います。
2011.09.19
コメント(0)
![]()
著 者=真保裕一(しんぽ・ゆういち)書 名=アマルフィ発行所=扶桑社発行年=2009.4評 価=★★★★★【送料無料】アマルフィ2009年フジテレビ製作の外交官黒田康作シリーズ「アマルフィ 女神の報酬」の方が有名だろう。その原作として映画プロットを提供した筆者の執筆である。読み進むうちに自ずとその映画の場面が思い出されるが、最後の展開はかなり違った結末ではある。アマルフィとは、イタリアの世界遺産にも登録された古都で美しい海岸のある街である。小説の内容は、イタリアで生じた少女誘拐事件からテロへ繋がってゆく展開を、イタリア大使館員の主人公黒田康作が謎を解き明かしてゆく物語である。単純に面白い。あらすじは分かってはいるが、惹き込まれる要素はある。さすが、脚本家であり小説家でもある作者の力量であろう。他の作品も読みたくなった。
2011.09.19
コメント(0)
![]()
著 者=楊 逸(ヤン・イー)書 名=時が滲む朝発行所=文藝春秋発行年=2008.7評 価=★★★☆☆【送料無料】時が滲む朝第139回(2008年上半期)芥川賞受賞作品である。1989年の天安門事件の民主化運動を田舎の有名大学で経験し、その挫折とその後に日本に渡って家族を作り穏やかな生活を営む日常を描いた、おそらく著者の自伝的物語である。自伝的物語は、筆者にとって最も書きやすい小説プロットであろう。波乱万丈であればあるほどその引き出しは深く大きい。ただし、その後どのような方向で執筆活動を続けていくのかが最も大事な点であろう。
2011.09.19
コメント(0)
![]()
著 者=金原ひとみ(かねはら・ひとみ)書 名=蛇にピアス発行所=集英社発行年=2004.1評 価=★★★☆☆【送料無料】蛇にピアス第130回(2003年下半期)芥川賞受賞作品である。19歳の主人公が、舌を蛇のように先端が分かれたスプリット・タンにすることに憧れ、舌に徐々に大きくするピアスを付けて恋人と暮らす日常と、最終的には麒麟の刺青をしてもらう刺青屋との間の日常を描いた物語である。2008年9月には、同名で映画化もされたらしい。純文学が対象の芥川賞は、日常を描くことが前提になっているが、非日常的な人物のの日常を描けば良いってもんじゃあない。何も面白さは伝わってこないし、なにが言いたいのか(言いたいことはないのかも知れない)さっぱりわからない。
2011.09.19
コメント(0)
![]()
著 者=モブ・ノリオ書 名=介護入門発行所=文藝春秋発行年=2004.8評 価=★★★☆☆【送料無料】介護入門第131回(2004年上半期)芥川賞受賞作品である。無職でニートのマリファナを吸う若い主人公が、実の祖母を母親とともに自宅介護している最中に感じる、心からの叫びの日常を著した物語である。内容は別としても、文体は章の切れ目もなく余計な感嘆詞も多用され、非常に読みにくい。言いたいことは何なのでしょうか。周りから大変さを分かってくれない自宅介護の実態を知らせることなのでしょうか。もしもそうであるなら、作者に2作品目は全く期待できません。これっきりの一発屋だと断言できます。
2011.09.19
コメント(0)
![]()
著 者=真山仁(まやま・じん)書 名=レッドゾーン 上発行所=講談社発行年=2009.4評 価=(下巻の後)【送料無料】レッドゾーン(上)原作『ハゲタカ』と『バイアウト』が2007年にNHK土曜ドラマ「ハゲタカ」として、そして原作『レッドゾーン』が2009年映画「ハゲタカ」として世に出た、ハゲタカ3部作の第3弾である。著者の真山仁も、最近エネルギーに関する著作も発表していることから、フクシマ以降のNHKのエネルギー問題を扱う番組によく出てくる。本書は単純に面白い。その面白さは、普通のサラリーマンが経験できない世界のことを扱う「のぞき見趣味」的な面と、主人公を始めとする登場人物がいずれもその道のプロでありイソップ童話的な「教訓を得たい願望」がまじりあったような感じである。3部作であり前2作品の続き物ではあるが、NHKドラマを見ていたせいか全く違和感なく読むことができた。下巻も楽しみである。
2011.09.19
コメント(0)
全7件 (7件中 1-7件目)
1


![]()